どんな場所で働こうとも、仕事をするうえで「ストレス」は避けられないもの。とはいえ、同じ環境にいるはずの同僚たちがいつも元気な一方で、自分だけがストレスに悩まされると、「自分はストレスに弱いのかな……」と不安になりますよね。
元気な彼らは、特別ストレスに強いわけではなく、ストレスを管理する「ストレスマネジメント」のスキルを身につけているのかも。これ以上ストレスをため込まないように、ストレスマネジメントのコツを4つご紹介します。
1. ストレスマネジメントの第一歩は「ストレスを自覚する」こと
厚生労働省が運営する、“メンタルヘルス” に関するWebサイトに掲載されている資料によれば、ストレスマネジメントとは「自分自身で心身の緊張といったストレス反応に気づき、それを解消していくこと」を指すのだそう。この言葉のとおり、ストレスマネジメントの第一歩は、自分で自分のストレスを “自覚する” ことにあります。
意外に思われる方もいるかもしれませんが、ストレスは無自覚であることが多いもの。職場でも、傍から見れば明らかに目がうつろで顔色が優れないのに、「心配ないよ!」と空元気に振る舞っている人はいないでしょうか。彼らもストレスを自覚できていないのかもしれません。
ストレス反応は、主に身体面・心理面・行動面の3つに現れます。次のような傾向がないか、セルフチェックをしてみましょう。当てはまる項目が多いほど、隠れストレスがたまっている可能性が高いので、要注意ですよ。
【身体面】
- 食欲がない、やせてきた
- 寝つきが悪い、朝早く目が覚める
- 動悸がする、血圧が上がる、手や足の裏に汗をかく。
【心理面】
- 悲しみ、憂うつ感
- 不安感やイライラ感、緊張感
- 無力感、やる気が出ない
【行動面】
- 消極的、周囲との交流を避ける
- 飲酒、喫煙量が増える
- 身だしなみがだらしなくなる、落ち着きがない。
2. ストレスの原因「ストレッサー」の正体を知る
思っている以上にストレスをためていると気づいたら、次はストレスの原因「ストレッサー」を突き止めましょう。あなたのストレッサーは、職場内の人間関係でしょうか。それとも、昇進や配置転換などによる環境の変化でしょうか。あるいは、理不尽な顧客のクレーム処理でしょうか。
ストレスの原因がわかったら、次はストレッサーへの対処です。産業医・横山和仁氏らによるストレスマネジメントの研究では、身近な対処法として「ストレスをうまくやり過ごしている人を観察してまねする」ことが効果的なのだそう。
たとえば、 「クレーム処理を終えたら眼鏡をはずして深呼吸をする」といったルーティンが、いつも元気な人にはあるかもしれません。体を締めつける眼鏡や腕時計を外すことはストレス緩和に有効とされており、こうした行動は理にかなっている可能性があります。
このように、同じ職場でストレスマネジメントできている人を “生きる教科書” と思い、どんどん技術を盗みましょう!
実際にマネをしてみて、さらに工夫ができないかどうか考えてみることも大切です。工夫できそうなポイントがあれば、試してみましょう。
(引用元:埼玉産業保健総合支援センター|働く人のためのストレスマネジメント)
3. 身体をリラックスさせてストレスを和らげる
ストレッサーと向き合い、心理的なストレスをマネジメントしたら、次は身体のストレスもマネジメントしましょう。ポイントは、身体を「リラックスさせる」こと。ボディーデザイナーの長谷川浩久氏によれば、就寝前の3分間ストレッチがストレス解消に効果的なのだとか。
具体的には、以下の3つのストレッチを各1分行なうだけでいいのだそう。ストレッチは睡眠の質も高めてくれるので、ストレスで不眠気味になっている人にもおすすめですよ。
- 床に足を伸ばして座り、前屈して裏太ももを伸ばすストレッチ
- 仰向けになり、左右の膝を交互に抱え込んで胸に近づけるストレッチ
- 四つん這いになってお尻を後ろに突き出し、肩甲骨を伸ばすストレッチ
4. 幸せホルモンを分泌する「笑い」でストレスに耐性をつける!
最後は、ストレス耐性を上げて、ストレスマネジメントの仕上げをしましょう。方法はとっても簡単、「笑う」だけ。笑いには、幸福感を高める “エンドルフィン” という脳内ホルモンを分泌する作用があるのです。
東京家政大学准教授の大西淳之氏らによるラット実験によると、“くすぐり” で人間の笑い声にあたる鳴き声を継続的に出させたラットと、そうでないラットでは、恐怖心ですくむ回数が明らかに違ったのだそう。もちろん、恐怖心を感じにくいのは、くすぐられたほうのラット。大西氏はこの結果から、人間も継続的に笑ったほうが、恐怖の記憶が和らぎ、ストレス反応が緩和されるという結論を導き出しました。
笑う手段は、お笑いのDVDを観る、友人と冗談を言い合うなど、何でもかまいません。さらに大西氏によれば、作り笑いでも同等の効果が得られるのだそう。ストレス耐性を上げるために、意識的に笑うことを始めてみましょう。
笑うと、口角を上げる大頬骨筋(だいきょうこつきん)や目の周りの眼輪筋(がんりんきん)などの表情筋が動いて、笑顔ができる。別に楽しいことがなくても、この表情を作るだけで脳は笑っていると錯覚し、気分がほぐれてきます。
(引用元:NIKKEI STYLE|「笑うと健康になる」を遺伝子レベルで検証する)
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ストレスは、完全になくすのが難しいからこそ、管理することが大切です。これ以上ストレスをためないために、4つのステップのストレスマネジメントを実践してみましょう!
(参考)
こころの耳|e-ラーニングで学ぶ15分でわかるセルフケア
厚生労働省|ストレスチェック制度 導入マニュアル
こころの耳|3 ストレスへの気づき
</a rel="nofollow">埼玉産業保健総合支援センター|働く人のためのストレスマネジメント
ヤクルト|もやもやストレスを吹き飛ばせ!3分でできるストレッチですっきり解消
NIKKEI STYLE|「笑うと健康になる」を遺伝子レベルで検証する
【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。