優れたビジネスパーソンは「直観力」が優れているといわれています。では、その直観力を鍛えるには、どうしたらよいでしょう。そのカギを握るのは「腸」かもしれません。さっそくご説明します。

「直観」の正体

EQ(心の知能指数)の提唱者として知られるダニエル・ゴールドマン氏によれば、大脳の深部に位置する大脳基底核には、私たちが意識的に思い出すことができない経験すべてがしまわれているそう。

しかし、その領域があまりにも原始的すぎるため、何か物事に接した際に役立つ過去の経験があったとしても、私たちに言語で伝えることができないのだとか。その代わり、脳の情動中枢や内臓とはよくつながっているので、「気持ち」というかたちで語りかけてくるそうです。それが「直観(あるいは直感)」の正体です。

つまり、「ハッキリとは分からないが、このまま進めるべきではない」「この商談はいける気がする」「この人は信用できるかも」といった感覚は、無意識下にある記憶が内臓にもたらすもの。しかし、もしも内臓がいい状態ではなかったらいかがでしょう。また、気分がすぐれない、落ち着かない、思考がうまく働かない状態だったらいかがでしょう。せっかく大脳基底核がメッセージを送ってきても、それをうまく受け止め、有効な直観として活かすことが難しいのではないでしょうか。

実はそこに「」が深く関係してきます。

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直観は「内臓感覚」である

「どうも腑に落ちない」という言葉の表現がありますよね。“どうもしっくりこない”“なんだか不自然だ”といった説明しがたいニュアンスを伝える際にも使用されますが、この“腑”とは、まさに肝や胃、腸といった内臓のこと。こうした言葉にも示されているとおり、科学的な根拠がある無しにかかわらず、昔から直観は「内臓感覚」として認識されています。

しかも、最近の研究では、全身の臓器が脳を介さず、それぞれ直接メッセージをやりとりしていると考えられているそう。その中で、腸のマイクロバイオーム(常在細菌叢)の状態が、人の気分や思考、行動にまで影響を及ぼしていると指摘されているのだとか。

それに、そもそも「腸は第二の脳」といわれています。

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なぜ「腸」は「第二の脳」なのか

人間の腸には猫の脳と同じ程度のニューロン(神経細胞)があるそうです。「第二の脳」は、単なる比喩ではないということですね。

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のエメラン・マイヤー博士は、興奮を鎮め、リラックスをもたらす神経伝達物質のGABA(ガンマアミノ酪酸)が、腸内細菌によって生産されていると解説しています。それだけではなく、体の中でつくられるドーパミンの50%と、セロトニンの90%が、腸内で生み出されているという報告もあるそう。ドーパミンは意欲や学習などに関わり、セロトニンは生体リズムや睡眠、体温調節などに関わります。「内臓感覚」を有効に活用するには、腸の状態が良好であることは必要不可欠というわけです。

しかも腸はその状態の良し悪しで、「脳」の機能にまで影響を及ぼしてしまうのだとか。直観をもたらす臓器のひとつである「腸」は、第二の脳であり、しかも体の働き全てにかかわる重要な臓器なのです。では腸を守るにはどうしたらよいでしょう。

「直観力」のために腸を守る方法

腸を守るためのルールは次の6つ。すべてが腸内バランスを健全に保つための行動なので、既によく知られている内容かもしれませんが、大切なことなので記しておきます。

1.野菜(食物繊維)をたくさん摂る
2.脂肪分や炭水化物は適度に摂るようにして、過剰に摂取しない
3.「加工された果糖(果糖ブドウ糖液糖)」や「人口甘味料」を避ける
4.ヨーグルトなどプロバイオティクス(生きた菌や酵母)食品を摂取する
5.毎日、適度に体を動かす(散歩やウォーキングなど)
6.精神的なストレスや不安を減らす

なお、「食生活は自分自身で気をつけられるが、ストレスはどうしようもない……」と思う方が多いかもしれません。環境を変えるなど大きな決断や行動が必要な場合、なかなか簡単ではありませんよね。そんな中、『心と体を変える “底力” は “腸” にある 腸脳力』の著者、長沼敬憲氏が、とても重要なことを伝えてくれています。

食習慣とストレス耐性について

長沼氏は、「現代がストレス社会なのではなく、現代の人間がストレスに弱くなった」ということ、そして、その原因が「昔と食習慣が変わったこと」だと説明しています。

過酷な時代を生きて、なおかつ、まだ医療が発展していない時代に無謀とも思える手術を何度も受けたにもかかわらず、足腰が不自由ながらも快活に人生を送る高齢者が筆者のそばにもいます。彼らは長いあいだ、豪勢ではないけれど、豊かな栄養をたくさん含んだ自然な食材を、自分たちで調理し食してきました。

食べるものは、自分の体と脳をつくり、それを健全に保ち、ストレス耐性を高めます。そして、「直観力」を鍛えてくれるのです。「忙しいから適当に食べておこう」ではなく、「いまは仕事が忙しくて大変だからこそ、しっかり時間をとって食事をしよう」にしましょう。

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ちなみに、脳は臓器とコミュニケーションを行う際、迷走神経をつかいますが、腸は食道から肛門にかけて行われる消化活動を、脳からの命令関係なくコントロールしているため、たとえ迷走神経が切断されたとしても、食べ物に反応して機能することが可能なのだそうです。食物科学者ヘリベルト・ワツケ氏もTEDで話していますが、腸は独自に考え、能率よく働いてくれるのです。

※厳密にいうと「直観=直接的・瞬間的に、物事の本質をとらえること」「直感=感覚的にただちにとらえること」と微妙に違いますが、この記事では「内臓感覚(気持ち)」という同じ意味でとらえています。

(参考)
NHK健康チャンネル|NHKスペシャル「人体」 命を支える“神秘の巨大ネットワーク”
@DIME アットダイム|直感で判断するのも正解!よい意思決定を下すためのサイエンス
ログミー|人体が持つもう1つの脳 「腸」の話
GIGAZINE|「第2の脳」があなたの考えや感情をコントロールしている
Study Hacker|リーダーに必要なのは”第六感”? ビジネス社会を生き抜くための「直感力」とその鍛え方
デイビッド パールマター 著,クリスティン ロバーグ著,David Perlmutter原著,Kristin Loberg原著,白澤卓二訳(2016),『「腸の力」であなたは変わる: 一生病気にならない、脳と体が強くなる食事法』,三笠書房.
長沼敬憲著(2011),『心と体を変える “底力” は “腸” にある 腸脳力』,BABジャパン.