イヤーワームとは? 止め方を知って「集中できない」を解決!

イヤーワームとは? 止め方を知って「集中できない」を解決!

「イヤーワーム」をご存じですか? 「なんでかわからないけど、曲が脳内でグルグル回って止められない!」という、あの現象です。

勉強中や仕事中に集中を乱してくる、厄介なイヤーワーム。最近聞いたばかりの曲も、昔どこかで耳にしただけの曲も、さまざまな曲があなたの脳内に現れ、集中力をそいでいきます。

一度流れ出したら気になって仕方がなくなりますよね。そんなイヤーワームの止め方を解説します。

イヤーワームとは

止め方を説明する前に、まず「イヤーワームとは何か」を確認しておきましょう。

イヤーワームは、神経科学の分野で「無意識的音楽イメージ(involuntary musical imagery: INMI)」と呼ばれる現象です。IMTアトランティック大学(フランス)の准教授であるニコラ・ファールジャ氏らによる2015年の論文 "Tunes stuck in your brain: The frequency and affective evaluation of involuntary musical imagery correlate with cortical structure" では、「病的ではなく日常的な経験であり、外部からの刺激なく頭のなかで音楽が流れる」(the non-pathological and everyday experience of having music in one’s head, in the absence of an external stimulus)と説明されています。

音楽教育を受けた人(Individuals who are musically trained)や「音楽と積極的に関わっている人(who actively engage with music in other ways)」は、イヤーワームが起こりやすいそうです。

Q. イヤーワームとは? A. 音楽を聞いていないときに、頭のなかでその曲が流れ続けること

イヤーワームの止め方1:ガムをかむ

イヤーワームの止め方として効果的なのは、ガムをかむことです。神経科学者のフィリップ・ビーマン教授(英レディング大学)らは2015年、イヤーワームに関する実験を論文("Want to block earworms from conscious awareness? B(u)y gum!")として発表しました。

被験者は曲を聞いたあと、その曲について考えず3分間過ごすよう指示されました。考えてしまったときは、コンピューターのキーを押します。

そして次の3分間は、その曲も含め、好きなことについて考えて過ごすよう指示。このときも、曲が脳裏をよぎったらキーを押します。

被験者は、「ガムをかみながら」と「ガムなし」というふたつの条件でこの実験を受けました。その結果、ガムをかみながらのほうが、キーの押された回数が少なかったそうです。

イヤーワームが気になったときは、ガムをかむのがよさそうですね。

Q. イヤーワームの止め方は? A. ガムをかむことで、イヤーワームが気になる頻度が減るかも

イヤーワームの止め方2:曲全体を聴く

イヤーワームの止め方としては、「あえてその曲を聴く」という方法もあります。

精神科医のスリニ・ピレイ博士は、イヤーワームについて「曲全体を聴くことで消えるかも(hearing the entire song may extinguish it)」と話します。「イヤーワームが起きるのは、曲の一部しか思い出せないからだ」と広く信じられているそうです(Harvard Health|Why you can’t get a song out of your head and what to do about it)。

曲のサビや、印象的なイントロなどがイヤーワームになっている場合は、音楽プレイヤーでその曲を再生してみましょう。SpotifyやApple Musicといった音楽ストリーミングサービスが普及した現在なら、簡単にできそうですね。

曲全体を通して聴くうちに、「同じフレーズばっかり繰り返し思い浮かべてしまう……」ということがなくなるかもしれません。

***
楽しい気持ちにさせてくれる場合もあるものの、集中の妨げとなるイヤーワーム。あなたも含め、多くの人が悩んでいます。

ご紹介したふたつの止め方で、イヤーワームから解放されましょう。

(参考)
Farrugia, Nicolas, Kelly Jakubowski, Rhodri Cusack, and Lauren Stewart (2015), "Tunes stuck in your brain: The frequency and affective evaluation of involuntary musical imagery correlate with cortical structure," Consciousness and Cognition, Vol. 35, pp.66-77.
Beaman, Philip, Kitty Powell, and Ellie Rapley (2015), "Want to block earworms from conscious awareness? B(u)y gum!," Quarterly Journal of Experimental Psychology, Vol. 68, No. 6, pp.1049-1057.
Harvard Health|Why you can’t get a song out of your head and what to do about it

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト