ビジネスパーソンを襲う “夜更かし肥満” はこんなにヤバい。自己投資できず太り続ける恐怖。

睡眠不足による様々な弊害が知られるようになり、徹夜の仕事や勉強をよしとする風潮は薄まりました。それでも、いまだに日本は睡眠不足大国といわれています。

新しい研究では、睡眠不足が自己投資までも妨げかねない実験結果が報告されています。その内容と、自己投資の効果、睡眠不足がもたらす負のスパイラルについてお伝えします。

自己投資は好影響をもたらす?

日経ウーマンオンライン上で、564人の読者を対象に実施した「自分への投資に関する調査(2018年3月20日~4月13日)」では、自己投資をしている人の5割は「目標がある」と明らかになっています。

自己投資の内容は、趣味の活動やスキルアップなど。具体的には、ジム、ヨガやゴルフに、茶道などの習い事、語学の勉強や、資格の勉強、書籍、映画・演劇鑑賞、美容関連といったものです。

これらによって仕事に影響や変化があった人は、5割近くもいたそう。たとえば、ステップアップといえる新たな仕事を得たり、業務効率がアップしたり、対人関係がよくなったりなどです。この結果は、自己投資が好影響をもたらしてくれる可能性が、決して少なくないことを示しているのではないでしょうか。

しかし、こうした流れは、睡眠不足によって妨げられてしまうかもしれません。

睡眠不足だと食べ物優先になってしまう?

以前より、睡眠不足は肥満リスクの増加と関連している、と考えられてきました。

そして、それはホルモンの変化が原因だとされていましたが、シカゴ大学の研究では、睡眠不足になると、あるシステムの働きが活発化するために、食べ過ぎを引き起こしてしまうという可能性が示されました。

そのシステムとは、「内因性カンナビノイド・システム」のこと。報酬や快楽としての食物摂取に関係しており、大麻を吸ったときにも働くのだとか。この研究に参加した14名は、睡眠不足のときは1000カロリー近くまで夕方の間食時に摂取しましたが、十分な睡眠をとったあとは600カロリーにとどまったそうです。

そこで、ドイツのハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターなどの研究者らは、睡眠不足による体重増加の根底にある、「ホルモン」と「快楽性」の議論に取り組むために、健康な32人の男性を対象に、高解像度fMRIおよびホルモンの評価を用いたテストを行ったそう(神経科学系の学術誌『Journal of Neuroscience』にて2018年12月17日掲載)。

その結果、ホルモンとは無関係に、睡眠不足が食べ物の価値をグンと高めたことが明らかになりました。実験参加者は、睡眠不足後に限って、食料品以外のものよりも、食料品により多くのお金を費やす意欲が増していたのだとか。

これは、睡眠不足になることで、本や参考書を買おうと思っていた1,000円を、思わず美味しそうな1,000円分のスイーツに使ってしまうことを示唆しています。

睡眠中には何が行われている?

睡眠中、わたしたちの脳とカラダは、修復や記憶の整理を行っているといいます。成長ホルモンを分泌し、疲れをとって傷んだ部分を修復し、記憶情報を整理整頓しては、記憶を脳に定着させているそう。

また、米国ロチェスター大学メディカルセンターの研究チームが2013年10月に発表した研究では、カラダのリンパ系システムと同様に、脳も睡眠中はグリア細胞が縮み、脳脊髄液の流れをよくして老廃物を処理しているという可能性が示されました。そして、その老廃物には、認知症の要因ともいわれている脳のゴミ、アミロイドβも含まれています。

そのほかにも、2018年2月8日のScience誌(オンライン版)に掲載された、東京大学大学院薬学系研究科・池谷裕二教授らの研究では、睡眠中に海馬から発生する「SWR」という脳波が、神経細胞のつながり度合いを弱め、クールダウンさせていることが突き止められました。不要なシナプスを弱め、記憶キャパシティを確保しているとのこと。こうしなければ飽和状態になり、それ以上記憶することができなくなってしまうそうです。

つまり、睡眠時間が不足すると、さまざまなメンテナンスがすべて不十分になってしまうわけです。そんな状態では、冷静な判断ができず、手っ取り早い報酬「食べ物」に投資してしまうのも仕方がありません。

睡眠不足による負のスパイラルとは?

しかし、睡眠不足が続けば、「本を買わずにスイーツにお金を使ってしまったよー」だけでは済みません。負の、というより、もはや恐怖のスパイラルは次のとおり。

睡眠不足が続く→

・カラダの修復ができない ・疲れがとれない ・記憶の整理整頓ができない ・老廃物が処理されない ・脳がクールダウンされない ・内因性カンナビノイド・システム増大

→体調不良。新しいことが覚えられない。食べ物への欲求が増大。投資の多くが食べ物に。→

・仕事中のミス増加 ・イライラする ・どんどん体重増加 ・向上心が減退

→さらに具合が悪くなる。頭が働かない。食べ物への欲求は止まらない。→

・認知症のリスク増 ・うつのリスク増 ・糖尿病のリスク増

少々極端にも見えますが、こうした可能性は多くの専門家が伝えています。こんな状態になる前に、「睡眠」を選択し、価値ある自己投資をしてみませんか?

*** 自己投資の効果や、あらゆる研究で明らかになった「睡眠」に関すること、そして、睡眠不足がもたらす負のスパイラルについて説明しました。快適な明日のために、ぜひ睡眠を大切にしてください!

(参考) 日経ウーマンオンライン|「自分時間」の過ごし方|「自己投資が仕事に好影響」5割、どんなことをした? WSJ|睡眠不足のとき食べ過ぎてしまうのはなぜ? Medical News | Medical Articles|Just one night of sleep deprivation increases the urge to eat Journal of Neuroscience|Sleep deprivation selectively up-regulates an amygdala-hypothalamic circuit involved in food reward 社会保険出版社|良い睡眠で快適生活|なぜ睡眠が必要なの? 東京大学大学院 薬学系研究科・薬学部|睡眠中に脳回路がクールダウンされる仕組みを解明 Study Hacker|「あなたの脳はゴミだらけ」睡眠を軽視しがちな人が知らない3つの真実。 NIKKEI STYLE|ヘルスUP|秋の夜長、夜更かし不調にご用心 休日に2時間長寝

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