「あなたの脳はゴミだらけ」睡眠を軽視しがちな人が知らない3つの真実。

「ちょっぴり生活が不規則かも」「いつも睡眠時間が短い」「寝る間も惜しんでバリバリ仕事中」――そんなふうに睡眠を疎かにしていると、脳がゴミだらけになってしまいます。ゴミだらけの脳は、あなたの人生を台無しにしてしまうかもしれません。さっそく説明しましょう。

脳のゴミとは

脳のゴミ」とは、脳の神経細胞から分泌される「βアミロイド」のことです。この物質は、認知症を引き起こす要因のひとつだといわれています。

国際科学雑誌 BRAIN に掲載(2015年6月1日)されたノースウェスタン大学フェインバーグ医科大学の研究では、老人だけでなく、20代の若者の脳にも「βアミロイド」が蓄積している部位が存在するとわかりました。

慶應義塾大学医学部神経内科・伊東大介医師によれば、「βアミロイド」が一定量に達すると、「タウ」というタンパク質がたまり、脳の神経細胞が破壊され、記憶をつかさどる脳の海馬の働きが低下するそう。そして、学習に深くかかわるアセチルコリンという神経伝達物質も減少し、新しいことを覚えられなくなってしまうのだとか。

つまり、「βアミロイド」は仕事にとっても勉強にとっても大敵。脳内に「βアミロイド」が蓄積することを防がなければならないのです。

「 睡眠中」に脳内のリンパ系システムが働く

「脳のゴミ」をためないようにするには、とにかく睡眠を大切にすることです。

2013年10月、米国ロチェスター大学メディカルセンターの研究チームは science 紙において、「睡眠は大人の脳からの代謝産物の除去を行っている」という論文を発表しました。その内容は、睡眠中は脳内に隙間ができ、その隙間を体液(脳脊髄液)が流れることで老廃物が除去されるというもの。

脳内は、「神経細胞」と「グリア細胞」、「血管」などで埋め尽くされているため、起きているときは体液(脳脊髄液)の流れがよくありません。しかし、睡眠中は「グリア細胞」が縮むため、神経細胞の周囲に大きな隙間ができて、流れがよくなるのだとか。

つまり、カラダの老廃物をリンパ系システムが処理するように、脳内でも睡眠時に「グリンパティックシステム」という老廃物の処理システムが働くわけです。脳にゴミを溜めないようにするには、充分な睡眠が必須ということですね。

ただし、「今日1日ぐらいなら夜更かししても大丈夫」「毎日の睡眠時間はあまり長くないけど、しっかり寝ているから大丈夫だろう」という状況では、まだ危険を避けられていないことになります。次に、睡眠に関する3つの「真実」をお伝えしましょう。

1. たった1日の徹夜で脳のゴミ急増→「気難しくなる」

2018年4月24日に、米国アカデミー紀要においてオンライン発表された研究では、たった一晩睡眠が妨げられるだけでも、人間の脳内には「βアミロイド」が蓄積してしまうとわかりました。

アメリカ国立衛生研究所の研究チームは、20人の健康な男女(平均年齢40歳)の参加者に対し、PET(核医学検査の一種)を使って脳内の「βアミロイド」を測定したそう。1回目は普通に寝てもらったあとに、2回目は一睡もしなかったあとに行いました。

その結果、徹夜したあとの測定で、脳の海馬および視床における「βアミロイド」の有意な増加が示されたそうです。

なおかつ、「βアミロイド」蓄積の程度は、睡眠不足による機嫌の悪さと関連していたとのこと。睡眠不足でイライラしているとき、あなたの脳にはゴミが蓄積しているということです。そして、それは、睡眠不足がコミュニケーションにも悪影響を及ぼすことを示しています。周りの人とうまくコミュニケーションが取れないと、仕事上で連携が取れず、パフォーマンスが下がりかねません。

2. 睡眠負債が続くと脳機能低下→「単純ミス増加」

また、「睡眠時間は短めだけど、しっかり寝ている日もあるし、元気だから大丈夫」という状況も大いに危険です。脳神経科学者で早稲田大学研究戦略センター教授の枝川義邦氏は、自覚がない「睡眠負債」の怖さについて言及しています。

たとえば、本当は7時間睡眠が適切な人が、いつも5時間睡眠で平気だと思っている場合、そのマイナス2時間が「睡眠負債」となり、蓄積されていくそうです。

この「睡眠負債」が長く続くと、脳の機能が低下してワーキングメモリ(短期記憶)の働きが悪くなるため、単純ミスや物忘れが多くなってしまうのだとか。これが仕事に悪影響を及ぼすのは当然のこと。それどころか、免疫力が低下して、肥満や認知症、がんやうつ症状などにもつながってしまうそうです。

枝川教授によれば、自覚がないまま「睡眠負債」に陥っている代表的な兆候は次の3つなのだとか。あなたは当てはまっていないでしょうか?

(1)起きたときのスッキリ感がない
(2)午前中に眠くなる
(3)布団に入るとすぐ眠りに落ちる

(引用元:プレジデントオンライン|"すぐ眠りに落ちる"人は睡眠負債の危険性

3. 睡眠の質が悪いと判断能力低下→「問題解決ができない」

睡眠は、時間だけでなく「質」も重要です。

虎の門中村康宏クリニック院長の中村康宏医師によると、2016年に発表された研究では、睡眠不足や睡眠の「質」の低さは、判断能力を低下させるリスクを50%も高めるとわかったそうです。判断能力が落ちると、計画能力や、意思決定能力、問題解決能力に、抽象的思考能力までも落ちてしまうと中村医師は言います。

認知症をまだ発症していない中高年を対象にしたある調査では、睡眠の「質」が低いほど「βアミロイド」の脳内蓄積が多いことも明らかになっているそう。

たとえ睡眠時間が十分にとれていても、「質」が悪ければ睡眠不足ともいえるのだとか。睡眠の「質の良さ」は最重要事項なのです。

良い睡眠を守る方法

では、質・量ともに充分な睡眠をとるにはどうすればよいのでしょうか? 快眠セラピストの三橋美穂氏や、睡眠専門医の白濱龍太郎先生(「RESM新横浜」院長)、大阪市立大学医学部大学院特任教授の梶本修身医師からのアドバイスを参考にした、「良い睡眠を守る方法」は次のとおり。

1.自分の最適な睡眠時間を知る

「睡眠負債」の症状があったり、睡眠時間が足りていないと感じたりしたら、現在の睡眠時間を30分ずつ増やしていき、仕事や勉強のパフォーマンスや日中の眠気を観察して、自分の最適な睡眠時間を把握する。

2.無理やり寝ずに、睡眠を圧縮する

なかなか眠れない場合、無理やり寝ようとするとストレスになり、余計に眠れなくなるので、少し遅寝・早起きにするくらいにして、睡眠を「圧縮」する。

3.「熱の放射」を妨げるものは避ける

良い睡眠を得るには、入浴やストレッチなどで深部体温(内臓等)を上げたあと、就寝時までに深部体温が下がっている必要があるので、“靴下を履いて寝たり、湯たんぽを抱いて寝たり”などといった、カラダの熱の放射を妨げるようなことは避ける。

4.寝室は眠るためだけの空間に

可能であれば、寝室にテレビは置かず、スマートフォンやタブレットなども持ち込まない。そうすれば、その部屋(スペース)に行くこと自体が「眠り」スイッチになる。

5.朝は自然な音で目覚める

大音量の起床アラームは、毎朝「大変だ! 起きろ!」と非常事態を告げられているようなもの。熟睡感を奪い、脳が疲れる原因になるので、鳥のさえずりや川のせせらぎなどの自然な音を選ぶ(梶本修身医師)。

もしくは、邦楽など、自分が認識できる言語の歌が流れるようにセットしておく。そうすることで脳が歌詞を勝手に認識し、徐々に目が覚める(白濱龍太郎先生)。

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睡眠不足がもたらす恐ろしい現実3つと、良い睡眠を守る方法5つを紹介しました。なお、人間は日光を浴びて体内時計を調節しているので、起床時に朝日を浴びることも大切です。また、自分がよく眠れる最適な温度、湿度、明るさのほか、寝具などにもこだわるといいでしょう。

脳のゴミについては、こちらの記事『脳に「ゴミ」が溜まる3つの最悪習慣。今すぐ改善すべきは就寝前の “あの行動” だった。』でも詳しく説明しています。ぜひ参考にしてみてください。

(参考)
NCBI|PubMed|Sleep drives metabolite clearance from the adult brain.
PNAS|β-Amyloid accumulation in the human brain after one night of sleep deprivation
AASJホームページ|眠りの効用:10月18日号Science掲載(オリジナル)
AASJホームページ|4月19日:眠りが妨げられるとアルツハイマー病の危険が増す(米国アカデミー紀要掲載論文)
NIKKEI STYLE|ナショジオ|睡眠不足に注意! 脳の老廃物掃除は夜勤体制
NIKKEI STYLE|WOMAN SMART|認知症の原因は脳のゴミ 40代なら知るべき基礎知識
プレジデントオンライン|"すぐ眠りに落ちる"人は睡眠負債の危険性
サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト|それでも貴方は寝ないのか?「睡眠不足」の危険すぎる悪影響5つ
ニフティニュース|睡眠中の靴下着用は睡眠の質低下の原因に 厚着や湯たんぽ、電気あんかもNG
ウートピ|アラームは起床の20分前に、大音量はNG! 脳が疲れない目覚め方

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