紫外線の浴びすぎで生じる悪影響への心配から、近年すっかり悪者になってしまった太陽の光。美白意識やインドア派の増加も手伝い、人々が日光を浴びる時間はどんどん減ってきています。しかし、太陽の光を浴びることは、私たちの健康や脳機能の維持・向上において大切なのです。

日光から遠のいてしまう理由

「マイナビ 学生の窓口」が大学生に余暇の過ごし方を尋ねたところ(2016年)、インドア派が94人(61.4%)、アウトドア派が59人(38.6%)と、インドア派のほうが上まわっていたそうです。学生に限らず、近年は読書やビデオ鑑賞、ゲームに家飲みなど、屋外より室内で楽しむ風潮があり、それにともない宅配サービスも進化したので当然の結果かもしれません。

また、80年代ごろまで続いていた日焼けブームは影をひそめ、90年代からは美白ブームが始まり今日まで続いています。過度な日焼けを経験した世代が、親として子に日焼けの恐ろしさを熱心に伝えていれば、なおさら若い世代の美白意識も強まるでしょう。

もちろん、紫外線の浴びすぎは肌の老化を早め、皮膚がんや白内障などのリスクを高めてしまいます。しかし、それはあくまでも“過度”に浴びた場合のこと。病気などの関係で医師から制限されていない限り、日光は適度に浴びる必要があります。

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ビタミンD不足は骨や筋をもろくする

『太陽を浴びれば、医者はいらない』の著者で医学博士の宇都宮光明氏によれば、ビタミンDはカルシウムの代謝(吸収・骨への沈着・血中濃度の調節)に深く関与するとのこと。そのため、ビタミンDが不足すると骨がもろくなり、筋組織まで弱くなるのだとか。脂溶性のビタミンDを含む食品は限られているため、食品から必要量をとるのは難しいのですが、太陽光線を浴びることにより体内で生成されるとのこと。そのため、適度に日光を浴びビタミンDを生成することが大切です。

それに、骨や筋肉をもろくするだけではありません。ビタミンD濃度の低下は、「がんリスク」を高め、「脳機能の低下」まで引き起こす可能性があるのです。

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適度な日光浴がカラダと脳を元気にする

国立がん研究センターは2018年3月8日、血中ビタミンD濃度が高いと、がんになるリスクが下がると発表しました。(論文は英医学誌「BMJ」電子版に掲載)

また、米コロンビア大学遺伝発達学教授、ジェラール・カーセンティ博士は、骨から出る「オステオカルシン」という物質が記憶力アップに関係すると発見しましたが、この物質はビタミンDを補給・生成することでも分泌されるそうです。

2016年にシンガポール国立大学とアメリカのデューク大学が中国の高齢者を対象に行った研究では、血中ビタミンD濃度が低いと、認知機能の低下が起こるリスクが高まると分かったそう。

このように、ビタミンDによるカラダと脳への影響は多大なのです。

でも、効率的だからと、サプリメントでビタミンDを摂るのはおすすめしません。一般的に日光浴や食品からの摂取でビタミンDを過剰摂取してしまうことはほぼありませんが、サプリメントの場合はその可能性を高めるからです。ビタミンDは摂りすぎると、尿毒症や、血管にカルシウムが張りつく症状を起こす場合があるのだそう。自己判断でビタミンDをサプリメントから摂取するのは避けましょう。(ただし、日光を浴びることを制限され医師からサプリメント使用を指示されている場合は、この限りではありません)

ほどよく日光浴、おいしくビタミンD

では、最後に「適度な日光浴時間」と「ビタミンDを含む食品」をご紹介します。

厚生労働省の「『総合医療』情報発信サイト」には、研究者数名による助言として、「少なくとも1週間に2回、午前10時から午後3時の間に5~30分程度、日焼け止めを塗らず肌(顔・腕・脚・背中など)を日光に当てることで十分なビタミンD合成が行われる」としています。

医学博士の宇都宮氏は、週に1回、天気のよい日を選んで、30分以上日光浴することをすすめています。

ただし、季節や地域、時間によって、必要な日光照射時間が変わってくるそう。「骨が強くなれば記憶力もアップする。脳機能を高める6つの習慣」では、国立環境研究所のデータをもとに、地域や季節、時間ごとの「日光照射時間」ほか、「晴天日に日光浴した場合、皮膚に悪い影響が出始める時間」なども紹介しているので、よろしければ参考にしてください。

なお、食品でビタミンDを摂る場合は、脂肪性の魚(サケ・マグロ・サバなど)が最良とのこと。そのほか、牛レバー・チーズ・卵黄にも少量、含有量にバラつきはあるけれどキノコ類にも含まれているそうです。

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ぜひ今週からでも、適度な日光浴を始めてみてください。お日さまを浴びながらボーっとするのもいいですし、脳のパフォーマンスを上げるというウォーキングをしながらの日光浴もおすすめです!

(参考)
David B. Matchar,Choy-Lye Chei,Zhao-Xue Yin,Victoria Koh,Bibhas Chakraborty,Xiao-Ming Shi,Yi Zeng(2016),“Vitamin D Levels and the Risk of Cognitive Decline in Chinese Elderly People: the Chinese Longitudinal Healthy Longevity Survey,”The Journals of Gerontology: Series A, Vol.71, pp.1363–1368.
SciencePortal|2018年3月9日ニュース「『血中のビタミンD濃度が高いとがんリスク低下』 国立がん研究センターが大規模調査」
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