「社内研修のネタが思いつかない」ときに効果的なアイデア発想法。研修の企画は意外な “あれ” でつくれる

アイデアを思いつく人

「社内研修、何かやってよ」と頼まれたものの、その企画や内容に困っている……。そんな研修担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、社内研修の企画アイデアを発想する方法について詳しく解説します。ネタ元を探すところから研修の内容を考えるところまで、具体的なステップをご紹介。部署内のちょっとした研修にも、本格的な社内研修にも使えますよ。

今回ご紹介する発想方法は、ダジャレ(同音異義語)を思いつくことができればどなたでもできるものです。ぜひ参考にしてください。

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STUDY HACKER 編集部
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(参考)

ジェームス・W・ヤング著, 今井茂雄訳(1988),『アイデアのつくり方』, CCCメディアハウス.
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「新しいアイデア」の発想方法

名著『アイデアのつくり方』でジェームス・W・ヤング氏は、アイデア作成の基礎となる一般的原理がふたつあると述べています。

  • アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」

  • 「既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい」

つまり、アイデアの発想につながる「既存の要素の新しい組み合わせ」のためには、物事の関連性を見つけ出すことが重要であるとヤング氏は言っているのです。

(カギカッコ内引用元および上記参考:ジェームス・W・ヤング著, 今井茂雄訳(1988),『アイデアのつくり方』, CCCメディアハウス. ※太字は編集部にて施した)

ですから、社内研修の企画案が思いつかずお困りの方は、物事の関連性を見つけ、既存の要素を組み合わせることを意識してみましょう。やり方は意外と簡単ですよ。ではその具体的方法を、次の項でお伝えします。

相談をする2人

関連性に着目する「なぞかけ」発想法

みなさん、「なぞかけ」をご存じでしょうか? 「◯◯とかけまして、△△と解く、そのこころは、どちらも××でしょう」というものです。

もうお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この「なぞかけ」で求められるのは、先ほどご紹介したヤング氏が主張する「事物の関連性をみつけ出す才能」そのもの。つまり「なぞかけ」には、アイデアを発想する力に通じる要素があると言えます。

もちろん、社内研修の企画アイデアを考えるのにも「なぞかけ」は活用可能。その手順について説明する前に、まずは「なぞかけ」自体がどのように行なわれているのか、ご説明しましょう。

「なぞかけ」はこうしてつくられる

「なぞかけ」では、「◯◯とかけまして」の◯◯というお題が提示されたあとで、残りの部分を考えていきます。

わかりやすいように、例を使って説明しましょう。たとえば、下記のような「なぞかけ」のとき、どのように考えているのでしょうか。

「新NISA」とかけまして「超能力」と解く、そのこころは、どちらも「とうし」ができるでしょう(投資/透視)

この「なぞかけ」を考える手順は次の3つです。

  1. お題から連想されるキーワードをひたすら羅列する
    お題に関連するキーワードを出していきます。「新NISA」であれば、以下の言葉が出せそうですね。
    【投資、老後資金、2,000万円問題、投資枠、非課税、年金、積み立て】

  2. キーワードのなかからダジャレ(同音異義語)にできそうなものをピックアップする
    先ほど挙げたキーワードのなかから、ダジャレ(同音異義語)をつくれそうなものをピックアップします。パッと思いつかなくても、パソコンやスマートフォンの変換機能を使って考えることもできますよ。
    【「投資」を選んだ場合 ⇒「透視、闘志、凍死」】

  3. ダジャレ部分から「△△と解く」を考える
    さきほどのダジャレからひとつピックアップし、連想されるキーワードを考えていきます。いくつか挙げたキーワードのなかからひとつ選択すると、なぞかけを完成させることができます。
    【「透視」⇒「超能力者」「すける」「みぬく」⇒「超能力」を選択】

これで、【「新NISA」とかけまして「超能力」と解く、そのこころは、どちらも「とうし」ができるでしょう】というなぞかけの完成です。

「なぞかけ」発想法の構造

以上の例からわかるように、なぞかけは3パートにわかれています。

  1. ◯◯とかける
  2. △△と解く
  3. そのこころは、どちらも××でしょう。

つくり方の順番として、1のお題をもらったあと、できるだけそのお題から連想されるキーワードを出し、ダジャレ(同音異義語)を考えます。そのダジャレ(同音異義語)から連想される言葉を2に当てはめ、3の着地点を決めて、整えます。実際は、この2と3を交互に考えて整えていくイメージです。

テレビなどでよく見かける、なぞかけの得意なお笑い芸人の方たちは、頭のなかにある膨大な言葉のデータベースへアクセスしながら、このなぞかけを行なっているということですね!

「新NISA」のお題で、少しひねったかたちでもうひとつ整えてみましたよ。

「新NISA」とかけまして、「ろくろ教室での失敗」と解く、その心は、どちらも「とうき」にならないでしょう(投機/陶器)

では、この発想方法を応用して、実際の社内研修のネタをどうやって見つけ、企画に落とし込んでいくのか、実例を紹介しながら解説します。

考える人

「社内研修の企画アイデア」につながる「なぞかけ」の考え方

なぞかけの基本的な考え方はおわかりいただけたでしょうか。本項では「社内研修のテーマを考える」ための「なぞかけ」の活用法をお伝えします。

まずは、「お題を出す」ための情報収集です。

お題はビジネス書ランキングを見て探す

まずは「◯◯とかけまして」という「お題」を収集します。効率よくお題を探すコツは、ビジネス書の売れ筋ランキングを見て、そこにラインナップされた書籍のタイトルを見ていくこと。それは以下ふたつの理由のためです。

  • 現在、売れているビジネス書のタイトルは往々にしてビジネス界隈で話題のトピックであることが多いから
  • 現在、ビジネスパーソンに求められているスキルがタイトルから類推できるから

同じ理由により、週刊東洋経済、週刊ダイヤモンドの表紙からお題を拝借することも有効です。

今回は例として、Amazonのビジネス書ランキングトップ100(2024年2月8日時点)から、以下のタイトルをピックアップしました。

『【新NISA完全攻略】月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方』
『面倒なことはChatGPTにやらせよう』
『行動経済学が最強の学問である』
『図解 人的資本経営 50の問いに答えるだけで「理想の組織」が実現できる』
『戦略ごっこ―マーケティング以前の問題』

これらの書籍タイトルから、お題としてよさそうな言葉を拝借しましょう。例として今回は、【新NISA】をお題とすることとします。

お題からキーワードを羅列する

お題が決まったら、そのお題から連想されるキーワードをひたすら羅列しましょう。

ここでは、新NISAから連想される言葉として、先ほども挙げた【投資、老後資金、2,000万円問題、投資枠の拡大、非課税、年金、積み立て】を使ってみます。

別の書籍タイトルからもキーワードを羅列する

続いて、別の書籍のタイトルのなかからもキーワードを考えていきましょう。

今回は『図解 人的資本経営 50の問いに答えるだけで「理想の組織」が実現できる』から、キーワードを羅列することとします。【資本、組織、企業価値、研修、継続的な人材投資、最大限に引き出す】あたりが出せるかもしれません。

わからない言葉が出てきた場合は、この段階で簡単に調べましょう。

人的資本経営についてはこちらの記事でもご紹介しています。
>>「就職したい!」と思われる会社の特徴、第1位は○○。企業研修で行なう「人的資本経営」の基本

キーワード間の共通項を見つけていく

ここまでで以下のようなキーワードを羅列しました。

「新NISA」から……
【投資、老後資金、2,000万円問題、投資枠の拡大、非課税、年金、積み立て】

「人的資本経営」から……
【資本、組織、企業価値、研修、継続的な人材投資、最大限に引き出す】

これらをよく見て、共通項を見いだしていきます。上記の例であれば、「投資」と「資本」、「投資枠の拡大」と「最大限に引き出す」、「継続」と「積み立て」などに、似たニュアンスがありますね。

共通のキーワードから整える!

先ほど見いだした共通項をもとに、最後に整えます。みなさんであればどう整えるでしょうか?

筆者は、こう整えてみました。

「新NISA」とかけまして、「人的資本経営」と解く、その心はどちらも「継続」が大事でしょう。

アイデアを出す人

「社内研修の企画内容」の考え方

これだけですと、単になぞかけをしただけですので、このなぞかけに盛り込んだキーワードを組み合わせながら、社内研修のタイトルや内容をより具体的に考えていきます

たとえば、

  • 新NISAで考える継続的な人的資本経営
  • 人的資本経営と新NISAの共通項

といった研修タイトルはどうでしょうか? ……少し硬い内容で、企画を詰めるのが難しいかもしれません。

そこで、先ほど見いだしたキーワード間の共通項を、あらためて確認してみます。なぞかけに盛り込んだ「継続」という言葉は、「積み立て」と似たニュアンスをもっていたのでしたね。この「積み立て」を使って考えた研修タイトルと内容がこちらです。

積み立て!人的資本経営シミュレーション

人材に投資する大切さを知ってもらうために、研修参加者は毎年予算を60万円(月5万円)割り当てられます。

研修参加者はその予算内から会社の部、課にそれぞれ予算を割り当てることができます。なぜそこに投資したのかをグループでディスカッションし、会社の売上/利益を上げるためにどのような人材投資を行なっていけばいいのかを研修を通して考えます。

いかがでしょうか。できるだけゲームをつくるように考えると、発想がしやすいと思いますよ。

書籍から連想されるキーワードを組み合わせることで、研修の企画を考えることができました。

***
本記事では、ジェームズ・W・ヤング氏の『アイデアのつくり方』で紹介されている、「物事の関連性を見つける」「既存の要素を組み合わせる」という方法を、「なぞかけ」という手法のなかで実践しながら、社内研修の内容を考えました。

アイデアを考える際は「発散」と「収束」が大切である点は、思考法の書籍に繰り返し書かれています。キーワードから連想される言葉をひたすら考えることが「発散」だとすれば、最後にそこから組み合わせていくのが「収束」にあたります。

研修を作成する際のポイントは、何かと何かをかけ合わせて、そこから共通項を見いだして、研修の企画や内容に昇華させていくことなのです。

最後に研修構築の裏技として、オープンエンド型にすることをおすすめします。

オープンエンドとは簡単に言えば、結論を研修作成側が提示しないこと。研修作成者がどこかに着地させようとすると、グッと研修構築の難易度は上がってしまいます。何かを考えるきっかけ、気づくきっかけを与えるように研修内容を構築すれば、研修のファシリテーターは最後に参加者の意見をまとめることに終始できます。

そんな裏技も頭に入れながら、この記事の発想方法を参考にしてみてください。

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