「無駄な会議」を「理想の会議」に変えるための3つのヒント。会議時間は○分がベスト

無駄な会議を減らす方法

業務時間のほとんどが会議で占められていたり、オンライン会議がすきまなく続いて自分の業務にとりかかれなかったりと、会議の多さに困っていませんか?

「会議時間がもっと短ければ……」「効率的なミーティングがしたい」と、誰でも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

会議はその会社のカルチャーが如実に出るもの。上司が部下に会議の進め方や運営方法、正しい会議のあり方を伝えることは、社員を育成して会社やチームの生産性を上げるうえでとても大切です。

そこで今回は、「無駄な会議」を減らすためのヒントをお伝えします。

【この記事はこんな方におすすめ】

  • 新入社員に “正しい会議のあり方” を伝えたいと考えている方
  • 会議で予定が埋め尽くされ、なかなか自分の業務を進められない方
  • 社内の会議を見直して、より生産的な業務ができるようにしたい方
  • 無駄な会議をひとつでも減らしたい方

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

(参考)

Touch! PERSOL|ムダな社内会議による企業の損失額は年間15億円!
スティーヴン・G・ロゲルバーグ著, 桜田直美訳(2020),『SUPER MTG スーパー・ミーティング』, サンマーク出版.
Harvard Business Review|How to Create the Perfect Meeting Agenda
三菱UFJリサーチ&コンサルティング|パーキンソンの法則
Financial Review|A quest to banish lateness at meetings and claw back lost time

無駄な会議による損失額は◯億円!

「このミーティング、本当に必要なのかな?」と感じてしまうような、形骸化した会議に参加した経験がある方は少なくないでしょう。実際私たちは、無駄な会議をどのくらい行なっているのでしょうか。

これを知る手がかりとなるデータがあります。株式会社パーソル総合研究所が2018年に算出した、「ムダな社内会議による企業の損失額」です。それによると、無駄な社内会議によって、

  • 従業員数が1万人規模の企業で年間約15億円
  • 従業員数が1,500人規模の企業で年間約2億円

もの損失が出ているのだそうです。この金額は、無駄な会議に費やされた人件費。時間にすると、

  • 1万人規模の企業で「年間約67万時間(約332人分の年間労働時間に相当)」
  • 1,500人規模の企業で「年間9万2千時間(約46人分の年間労働時間に相当)」

になるのだとか。(参考およびカギカッコ内引用元:Touch! PERSOL|ムダな社内会議による企業の損失額は年間15億円!

このデータを参考にして、みなさんが勤めている会社における、無駄な社内会議による損失額を算出してみましょう。

たとえば、150人規模の企業に勤めているのであれば、後者の1,500人規模の企業を10分の1にして計算します。無駄な会議による損失額は年間で2,000万円にのぼり、年間9,200時間(4.6人分の年間労働時間)が無駄になっている可能性があるとわかりますね。

無駄な会議が少しでもなくなれば、無駄な人件費が減り、企業の利益は当然上がりますよね。無駄な社内会議にこれほど大きな額と時間が費やされているとなれば、見直さないわけにはいきません。

無駄な会議を減らすことで人件費、時間を大きく削減できる

無駄な会議の見極め方

会議が会社の利益にここまで強い影響を及ぼすのであれば、そもそも会議自体をなくしてしまえばいいのではないか、と疑う方もいらっしゃるでしょう。

ですが、会議そのものが不要なわけではありません。ノースカロライナ大学シャーロット校の学長教授スティーヴン・G・ロゲルバーグ氏は、著書『SUPER MTG スーパー・ミーティング』のなかで、

ミーティングに出席することで、従業員もリーダーも「組織で働く」ということの微妙なニュアンスをより深く理解し、効果的なチームワークを促進することができる

(引用元:スティーヴン・G・ロゲルバーグ著, 桜田直美訳(2020),『SUPER MTG スーパー・ミーティング』, サンマーク出版.)

と述べています。会議は、メンバーが会社のカルチャーに対する理解を深めたり、メンバーどうしが協力し合ったりするのに効果的だということですね。そして同氏は

減らすべきなのは、「非効率的で、無駄なミーティング」

(引用元:同上)

だとも述べます。では、私たちが減らしていくべき無駄な会議とはどのようなものでしょうか。

前出のパーソル総合研究所の調査によると、従業員が「無駄な会議」だと強く思うのは以下の3つのときが多いそうです。

(1)会議が終わっても何も決まっていない
(2)終了時刻が伸びる
(3)些細な議題で会議を開く

(引用元:Touch! PERSOL|ムダな社内会議による企業の損失額は年間15億円!

終了予定時刻を15分もオーバーしている。にもかかわらず、何も決まっていない。資料を見ればわかることを口頭で発表しているだけ――多くの方がこのような会議を経験したことがあるのではないでしょうか。これこそ、積極的に削減するべき無駄な会議です。

決めるべきことが決まらない、時間が守られない、重要ではないことで集まる会議は無駄な会議

無駄な会議を減らす方法

それでは、具体的に無駄な会議を減らす方法をお伝えしましょう。

先ほど挙げた無駄な会議の3つの特徴を、シンプルに反転させた会議を目指せば、無駄ではなくなるはずです。つまり、こうなります。

  1. 決めたかったことが決まる
  2. 時間通りに終わる
  3. 重要な議題を扱う

会議を開く際は、この3つを満たした、無駄にならない本当に意味のある会議にしましょう。

1. 決めたかったことを確実に決める

会議の目的とは、出席しているメンバーで合意形成し、ネクストアクションを決めること。

決めるべきことがない業務数値などの進捗確認などのために、わざわざ会議を開く必要はありません。資料やスプレッドシートなどで共有するといった方法をとるといいでしょう。

2. 時間通りに始めて、時間通りに終わらせる

会議を時間通りに開始し、時間通りに終わらせることを必ず守ってください。前の会議が長引いて、次の会議が始まるのが遅くなり、そのせいで予定時間に終わらず、次の会議も遅く始まる……という負の連鎖を招かないようにしましょう。

ここで注目したいのが、終了時刻だけでなく、開始時刻も遅らせないという点です。

ロゲルバーグ氏が調査したところによると、ほぼ50%の会議が遅れて始まり、開始が10分遅れると、お互いの発言をよく聞かず、妨害する傾向が高まるそうです。 (参考元:前出の『SUPER MTG スーパー・ミーティング』)

遅れて始まった会議では、メンバーが相手の話を遮って発言しがちになるのですね。これでは、会議の質は下がってしまいます。

役職に就いているなどの関係でスケジュールが詰まりやすく、会議の開始時刻に遅れがちな人もいるかもしれませんが、会議を生産的で意味あるものにするために、時間は厳守しましょう。

3. 重要な議題で会議を開く

会議では議題(アジェンダ)を設定することが大切である、とよく言われますよね。「アジェンダを明確にしなさい」と上司から口酸っぱく指摘された経験のある方も多いのではないでしょうか。

しかし重要なのは、「アジェンダが存在していること」ではなく、「設定したアジェンダによって議論を促進し、決めるべきトピックをゴールに導くこと」です。

じつは、アジェンダがあるかどうかは、会議の質にそれほど寄与しないことがわかっています。ロゲルバーグ氏の研究で、

Research has actually found little to no relationship between the presence of an agenda and attendees’ evaluation of meeting quality. 
(研究で、アジェンダの有無と出席者の会議の質に対する評価には、ほとんど関係がないとわかった)

(引用元:Harvard Business Review|How to Create the Perfect Meeting Agenda ※和訳は編集部が施した)

という結果が出ているそうです。

漠然としたテーマを掲げるのではなく、いま何が問題になっているのか、メンバーを集めてどういう意見を集め、最終的に何を決めたいのかを明確にすることが重要です。このような目的がないのであれば、会議を開く必要はありません。

会議改善のスモールステップ

減らすべき無駄な会議の特徴と、目標とすべき理想的な会議については理解できても、会議の体系や内容をすぐに大きく変えることは難しいでしょう。そういった状況でも着手しやすい3つの方法をお伝えします。

時間を50分に設定する

みなさんが働いている会社では、60分が会議のスタンダードになっていませんか?

イギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンは、「パーキンソンの法則」を提唱しました。この法則のなかに、「長い時間の猶予を与えると、人はダラダラと時間を使ってしまう」というものがあります。(参考元:三菱UFJリサーチ&コンサルティング|パーキンソンの法則

「3日でできる作業なのに、納期まで1週間あると、結局1週間使ってしまう」というようなシーンはよく起こりますよね。パーキンソンの法則が言っているのは、まさにこのことです。

あればあるだけ時間を使ってしまうのであれば、会議の時間そのものをを50分に減らしてみましょう。実際、Google共同創業者のラリー・ペイジ氏はCEOに就任した2011年に、1時間のミーティングを50分に短縮したそうです。(参考元:Financial Review|A quest to banish lateness at meetings and claw back lost time

たかが10分かもしれませんが、週、月、年単位にすると膨大な時間が積み上がっていきます。10分の余裕があれば、次の会議の開始を遅らせることもなくなりますね。会議の時間を少し短くするだけなら、すぐにでも実行できるはずです。

不要になった会議は廃止する

自分より上の立場の人が設定した会議について「この会議は無駄です」と声をあげるのは難しいもの。ですが、自分自身が設定した会議については、会議時間の見直しを図ったり、決めるべき事項をしっかり洗い出したりして、改善を重ねましょう時には「会議をしない」という決定を下すことも重要です。

会議の進行役を務める

管理職ではない人の場合、いくら「会議を改善したい」と思っても、会議の体系や会議の進め方を変えることは難しいかもしれません。

それなら、積極的に会議の進行役を務めましょう。進行役としてタイムマネジメントすることで、予定どおりの進行を促せるからです。

会議を進行するなかで見えた問題点を上司やメンバーに共有すれば、議論の活発化にも貢献できます。

***
この記事では無駄な会議を減らすためのヒントを解説しました。会議は会社によってさまざま。完ぺきな会議はないかもしれませんが、無駄な会議を少しでも減らして、効率的に時間を使えるようにしたいですね。

自社の社員に正しい会議のあり方を伝え、より生産性の高い組織をつくりたい方にとって、この記事がお役に立てれば幸いです。

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