超簡単なたった “これだけ” の工夫が、手書きノートの質を大きく高めてくれる5つのワケ

半分に折って使う手書きノートの実践版

仕事や勉強がはかどらなくて困っているが、面倒なことはイヤだ。簡単で効果の高いノート術はないだろうか……。

それなら、片頁をタテ半分に折って線をつけ、手で書くだけのノート術がおすすめです。その驚くべき効果を5つ説明しましょう。

1. 労力を節約できる

放送通訳者・獨協大学非常勤講師の柴原早苗氏は、自身の通訳メモノートや書籍で得た情報などから、ノートの真ん中、タテに線を引いて使うことを思いたそう。また、真ん中の線は、半分に折ってできる線を活かすようにしたとのこと。これでグッと労力を節約できるのだとか。

なぜならば、ページの真ん中に線があると途中で折り返すので、ノートの端から端まで書くために何度もペンを持つ手を横にスライドさせる必要がないからです。次の行へもスムーズに移動できるとのこと。半分に折るだけなので線を引く手間も省けます

ノートに手書きする、ボーダーシャツを着た女性

2. 可読性が上がる

ノートのページがタテに分割されていると、読み返す際にも便利です。1行がパッと読みやすい文字数に収まるので、可読性(読みとれる度合)が高くなるからです。

国立国語研究所の神部尚武氏は、1989年3月発行の『研究報告集(国立国語研究所)』において、「ひとつの注視点に留まるあいだ、情報収集される範囲は9文字~12文字の範囲である」と報告しています。

また、東京都市大学メディア情報学部教授の奥村倫弘氏は、著書『ヤフー・トピックスの作り方』(光文社新書)のなかで、「一度に知覚される範囲は9文字~13文字」と報告された京都大学大学院の研究について言及しています。

ちなみに、 お祝い新聞や企業・団体の広報紙を制作している記者集団の「あなたの新聞」によれば、朝日新聞や読売新聞は(1段)1行に12文字入るそうです(2017年8月27日更新コラムより)

つまり、13文字くらいまでがパッと目に入り、読みやすい文字数ということ。真ん中の線で折り返すノートなら、1行が同等の文字数になるはずです。

半分に折って使う手書きノートのアップ

3. 有用な余白ができる

前出の柴原氏はノートをタテ半分にすることで、罫線にとらわれなくなり、ゆとりをもってノートを使うようになったそうです。すると余白ができ、情報を補足しやすくなったのだとか。

2008年に『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)を上梓した太田あや氏によれば、東大生のノートの共通点のひとつに「余白をとる」という点があるそうです。余白にいろいろ書き加え、学習内容の理解に役立てているとのこと。

ちなみに、アメリカの教科書はページの20%が空白だと、可読性が高いとされているそうです(Wikipedia「可読性」より)。文字数のみならず、余白も読みやすさには不可欠なのですね。

タテに分割することで生まれる余白は、多くの利点に連鎖するようです。

ノートに手書するビジネスパーソン

4. 頭がよくなる

「手で書くこと」も多大な効果をもたらします。

2009年の日本認知科学会第26回大会で発表された研究「手書き文字と活字の認識の差に関するfMRI研究 – ノイズ要素の分離の試み –」では、手書きによる体性感覚・運動感覚・感情要素そのものと、それらを処理する脳の強い活動が、記憶パフォーマンスの向上に役立つと示唆されました。

また、ノルウェー科学技術大学(NTNU)の研究チームが学童と20代の若者を対象に脳の電気的活動を追跡・記録したところ、「キーボードでタイピング」より「手書き」のほうが脳活動が活発であったそうです(2020年7月28日,学術雑誌『Frontiers in Psychology』に掲載)

さらに、京都大学大学院医学研究科の研究グループが、大学生を対象に行なった調査では、手書きによる漢字の習得が、高度な言語能力の発達につながるとわかりました(2021年1月26日,国際学術誌『Scientific Reports』に掲載)。 

手で書けば書くほど、頭はよくなるのです。

ノートに手書きして勉強する学生

5. 視覚機能を強化する

前出の研究「手書き文字と活字の認識の差に関するfMRI研究 – ノイズ要素の分離の試み –」は、手書き文字に含まれるノイズ要素(歪みや擦れ)の影響で、脳の後頭葉が活性化すると示唆しています。

医学事典の「MSDマニュアル」によれば、後頭葉には視覚情報を処理する中枢があり、以下機能があるとのこと。

  • 視覚情報を処理・解釈
  • 視覚的記憶の形成を可能に
  • 視覚情報を頭頂葉の空間情報と統合

したがって、手書きは後頭葉を元気にすることで、視覚機能を高めてくれると期待できるわけです。

***
「半分に折って使う手書きノートが最強なワケ」を5つ紹介しました。ただタテに折り、手書きするだけです。ぜひお試しくださいな。

(参考)
中村太戯留,田中茂樹,田丸恵理子,上林憲行(2009),「手書き文字と活字の認識の差に関するfMRI研究-ノイズ要素の分離の試み-」,日本認知科学会第26回大会,pp.176-177.
神部尚武(1989),「読みの眼球運動における一つの停留中の情報の受容範囲」,国立国語研究所,研究報告集,Vol.10,pp.59-80. 
STUDY HACKER|「東大生のノート」は普通のノートと何が違うのか? ただ “美しい” だけではなかった。 
京都大学|漢字の手書き習得が高度な言語能力の発達に影響を与えることを発見 -読み書き習得の生涯軌道に関するフレームワークの提唱-
ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト|若者も子どもも、タイピングより手書きのほうが、脳活動が活発に
MSDマニュアル家庭版|部位別にみた脳の機能障害 - 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 
日本著者販促センター|奥村 倫弘 氏(書籍『ヤフー・トピックスの作り方』より) 
太田あや(2008),『東大合格生のノートはかならず美しい』,文藝春秋.
あなたの新聞|【新聞の作り方】見出しの形と大きさの基本を学ぶ 
ハイキャリア|第41回 ノートの使い方を変えてみた
Wikipedia|可読性

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