短いのに伝わる文章を書くための超シンプルな二つの方法

文章を入力している様子

実務能力に自信があっても、文章が下手なせいでで評価が落とされるのでは——。文章力に苦手意識のある人は、「上手な文章を書けたら」と切実に思いますよね。ですが、「読書量を増やそう」などと遠回りする必要はありません。

コンサルタントが活用する簡単なコツさえ掴めれば、文章を書くことに抵抗がなくなるはず。今回の記事では、BCG出身者が使う文章術をお伝えしましょう。

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

✕始めから短くまとめる→〇多く書いて半分削る

文章のNG例として、冗長さを思い浮かべる人も多いでしょう。ただ、文章力の高いコンサルタントは始めから短い文章を書きません。多く書いてあとから削るのです。

BCG出身者、「考えるエンジン講座」代表の高松智史氏は、濃い文章にするために次のルールを提案しています。

それは「文字数を気にせず書いてから、文字数を意識して削る」こと。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|コンサルが教える「伝わる文章」術!どの業界でも通じる他を圧倒できるシンプルな方法とは?

冗長な文章にならないように、はじめからきれいなムダのない文章を書こうとしていませんか? しかし、始めからいらない言葉を判断するのは難しいことです。ならば、いっそのこと思い切って多く書いて、あとでどんどん削っていく——大幅な推敲をすればいいのです。

では、どのくらいの量を削ればいいのでしょうか。驚くことに高松氏は「2倍位の文字数で書いて、あとは無駄な文字を削っていく」と述べます。言い換えれば、始めに書いた量を半分に削って、内容を圧縮させればいいのですね(カギカッコ内引用元:同上)

とはいえ、「どの部分を削ればいいのだろうか……?」と悩む人もいるでしょう。この問題に対し、「形容詞」に注意を払うべき——と語るのは、国立国語研究所・教授であり、言語学者の石黒圭氏。

文章に形容詞を多用すると、読者の理解を得にくくなります。なぜなら、形容詞は直感的で主観的な言葉だからです。

(引用元:PRESIDENT Online|形容詞を多用すると文章はバカっぽくなる

たとえば、同僚の企画に対し「すごくすばらしい案だね!」と感動を伝えたとしましょう。よく口にする「すごい」「すばらしい」は主観の域。言われて悪い気分にはなりませんが、相手に感情以外の情報は伝わらないため、「どの部分に感動したのだろう?」と思われてしまうでしょう。

そうでなく、形容詞を使わず「自社の強みとニッチな市場に目を向けた、競合他社には真似できない案だね」と言い換えれば、説得力のあるフィードバックになりますよね。文章も同様、形容詞を避ければ相手に伝わる文章に変わるのです。

上記をふまえて、文章をブラッシュアップするとどうなるでしょうか。試しに筆者がビジネスシーンにおける書き方をテーマに、コラムの文字数を気にせず書いてみましたよ。

【テーマ:ビジネスシーンにおける書き方】

<初稿>

ビジネスで求められるのは、心揺さぶる小説、あるいは詩のような美しく情感豊かな長い文章ではありません。感情面に訴えることは大切ですが、ビジネスであるならロジカルに組み立てられたスマートな短文が好ましいでしょう。読み手は早く答えが知りたいですし、文学のように華美な表現が散りばめられた、複雑な文章を読んでも疲れて飽き飽きするだけです。

(合計:165字)

さすがに上記の例は、“くどい” という印象が否めません……。文章量の割には伝わる情報が少なく、筆者の「うまい表現を使いたい」という自意識も透けて見えそうですね。

では、形容詞を中心に削ってみるとどうなるでしょうか。

<削る>

ビジネスで求められるのは、心揺さぶる小説、あるいは詩のような美しく情感豊かな長い文章ではありません。感情面に訴えることは大切ですが、ビジネスであるならロジカルに組み立てられたスマートな短文が好ましいでしょう。読み手は早く答えが知りたいですし、文学のように華美な表現が散りばめられた、複雑な文章を読んでも疲れて飽き飽きするだけです。

上記の例をもとに、文章をまとめてみましょう。

<整える>

ビジネスで求められるのは、小説のような美文ではありません。簡潔に述べた短文のほうが好ましいでしょう。なぜなら、読み手は早く答えを知りたいからです。

(合計:75字)

大幅に削っても、初稿段階の意味とズレていませんね。全体的にすっきりし、本当に伝えたいことだけが残ります。今回の例では、図らずも半分以上削減できましたが、大胆に削ることを意識してみてください。

パソコンを操作している様子

✕とりあえず書いてみる→〇雲雨傘の三構成で書く

慣れないうちは「とりあえず書いてみよう」とするもの。でも、それではちぐはぐな文章になりかねません。

私たちは本を読むとき、無意識に、作者の言いたいこと、この章の大切なポイント、実例(ストーリー)などを汲み取って理解しますよね。BCG出身、グロービス経営大学院でクリティカルシンキングを担当する河村有希絵氏によれば、文章を書くときは、文を読み解く方法の逆をすればいいのだとか。

自分が文章を書くときには、その逆で、先に構造を考えてから文章化するのです。

(引用元:東洋経済オンライン|コンサルで通用する思考力は「小学校国語」で学ぶ

そこで、参考となるフレームワークが「雲・雨・傘」(=空・雨・傘)の三構成です。

外資系コンサルティング会社、アクセンチュア出身の大石哲之氏は、著書の『コンサル一年目が学ぶこと』で「雲・雨・傘」の論理を以下のように端的に述べています。

「黒っぽい雲が出てきたので、雨が降り出しそうだから、傘をもっていったほうがいい」

これは、事実と、解釈と、アクションの区別をつけることのたとえです。

(引用元:東洋経済オンライン|コンサル1年目が学ぶ「雲雨傘」の論理とは何か

整理すると、「雲・雨・傘」のそれぞれが象徴するのは事実(雲)・解釈(雨)・アクション(傘)の三段階。具体例とともに見ると、以下のとおり。

  • 雲=事実:誰が見てもわかる客観的な事実
    例:リモートの導入で社員の成果物の上がりが30%落ちている
  • 雨=解釈:事実から推測されるもの
    例:社員同士が顔を合わせることがないため、モチベーションが低下しているのでは
  • 傘=アクション:事実・解釈をふまえてとる行動
    例:定期的な顔合わせをする・管理ツールを導入する

(上記参考元:同上)

上記を見れば、話の流れをひとつのストーリーとして読むことができますね。最初の例をもとに、文章を作成すると——

〇年〇月から施行したリモートの導入以来、社員の進捗度の低下が見受けられます。この状況から推測すると、コミュニケーション不足やマネージャーの監督下でないため、モチベーションを保持できないと考えられます。

そこで提案したいのは、定期的なミーティング・テレワーク管理ツールを導入することです。新しい取り組みにより、社員のモチベーション向上を図りたいと考えています。

雲→雨→傘の手順を踏めば、ロジックを成立させることが可能。「何から書けばいいのかわからない」と頭が真っ白になったとき、雲→雨→傘の順に情報を書き出してみてはいかがでしょう。

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文章を書くことを難しくとらえなくても大丈夫。“多く削る・構成を意識する” の2点さえ押さえておけば、どんなケースでも対応できますよ。ぜひ活用してみてくださいね。

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