仕事がはかどらない。ムダも多い気がする。もっと速く仕事を終わらせたいのに……。
同じタスク、同じ作業をしているはずなのに、なぜかあの人のほうが仕事が速い……。こんなふうに、仕事のスピードについて悩んではいませんか?
今回は、仕事のスピードが速い人がやっている意外なことをご紹介しましょう。
【ライタープロフィール】
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。
プレジデントオンライン|「いい文章の書き方について」…仕事ができる人なら、このタイトルが「ダメな文章の典型例」だとわかる
一般社団法人日本ビジネスメール協会|ビジネスメール実態調査2023
STUDY HACKER|ミスを増やさずに仕事スピードを上げられる意外な方法。仕事能力アップの鍵は “音楽” にあった
メールタイトルに目的を書く
忙しいのにメールで時間がとられてしまう……。メールの内容を誤解されがち……。こんな悩みがあるなら、あなたのメールはわかりにくいのかもしれません。伝わりやすい文章に必要なのは、タイトルや冒頭で目的を伝えることです。
『天才を殺す凡人』の著書であり、ワンキャリア取締役の北野唯我氏によると、「文章のわかりやすさが仕事の速さに直結する」のだそう。(カッコ内引用:プレジデントオンライン|「いい文章の書き方について」…仕事ができる人なら、このタイトルが「ダメな文章の典型例」だとわかる)
多くの人にとって、仕事上のコミュニケーション手段は、メールやチャットツールがメインでしょう。文章がわかりにくければ、意思の疎通がスムーズではなくなり、仕事のスピードまで落ちてしまう……というのも頷けます。
加えて、一般社団法人日本ビジネスメール協会のビジネスメール実態調査2023によると、『1日平均は送信「15.24通」、受信「49.97通」』で「メールを1通読むのにかかる平均時間は1分23秒」「メールを1通書くのにかかる平均時間は5分49秒」だそうです。(カギカッコ内引用元:一般社団法人日本ビジネスメール協会|ビジネスメール実態調査2023 )
受信したメールをすべて読むには1日約60分、送信に約80分の時間を使っている計算になります。つまり、1日約2時間20分もの時間をメールに費やしているのです。
この2時間20分もの時間を少しでも短縮するテクニックとして有効なのが、メールのタイトルや冒頭に目的を書くこと。真っ先に目的が目に入れば、文章を最後まで読むことなく内容を予想できますよね。優先順位をつけて返信すべきメールを選別できるため、大幅に時間を短縮できるでしょう。すると、メールのやりとりは少ない回数ですみますし、相手の負担も減らすことができるのです。
では、具体的にはどんな “目的” を書けばよいのでしょうか。ビジネス文章の目的は以下の3つに行き着くと北野氏は説きます。
(A)相談(=整理してほしいこと)
(B)共有(=知っておいてほしいこと)
(C)意思決定(=なにかを決めてもらうこと)
(引用元:プレジデントオンライン|「いい文章の書き方について」…仕事ができる人なら、このタイトルが「ダメな文章の典型例」だとわかる )
たとえば、以下のメールタイトルを読み比べてください。
- 本日の打ち合わせについて
- 本日の打ち合わせの事前内容共有
- 予算について
- 予算に関して意思決定のお願い
2のタイトルのほうが、本文のイメージが湧きませんか? タイトルの時点で、相談・共有・意思決定のどれが目的なのかを示すことで、受け取った側はこれから読む文章をある程度予想できるのです。
相手に目的を伝えることにより、何に対して返信をすればいいのかがわかるため、真意を確かめたり、不足事項を確認したり……といったメールを何度もやりとりする必要がなくなるのです。
実際に筆者も、相談・共有・意思決定を意識してメールタイトルを書いてみました。実際に送信予定のメールがこちらです。
これまで筆者が送信していたメールと比較してみると、筆者のメールはかなりわかりづらかったことを実感しました。タイトルや冒頭に “目的” を書くことによって、メールの受信者は迅速に対応できますし、不要な確認メールのやり取りを減らすことができます。筆者も実践した結果、メールのやり取りがスムーズになりました。
加えて、「所要時間」を伝えることでさらにわかりやすくなると北野氏。(引用元:同上)たしかに、所要時間を伝えることで、返信や対応に必要な時間を見積もることができます。これにより、スケジュールの調整がしやすくなり、スムーズな対応が期待できるでしょう。
仕事でメールを書くことの多い人は、ぜひお試しを。ムダなやりとりがなくなり、時間を短縮できるはずです。
仕事前にアップテンポの音楽を聴く
作業スピードを上げようとすると、チェックが漏れてしまう。
「素早く仕事をしよう」と思うとミスをしてしまう……。
こんなふうにお悩みではありませんか? 作業のスピードを上げても、ミスが増えてしまったら元も子もありませんよね。
このお悩みを解決する簡単な方法が、テンポの速い、好きな音楽を聴くこと。これだけで、仕事の精度を落とすことなくスピードを向上させることができるのです。
脳科学者で、DJとしても活動している宮崎敦子氏はSTUDY HACKERのインタビューで「速いテンポの音楽を聴いてから仕事を始めることで、ミスを増やさずに作業スピードを上げられる」と述べています。(カッコ内引用元:STUDY HACKER|ミスを増やさずに仕事スピードを上げられる意外な方法。仕事能力アップの鍵は “音楽” にあった )
みなさんのなかには仕事をしながら「集中力の高まる作業用BGM」や「環境音楽」といったものを聴いている方も多いかもしれません。これらは仕事中の集中力アップやリラックス効果を狙ったものですが、宮崎氏いわく作業スピードを上げるのには”仕事前” に速いテンポの音楽を聴くのが有用なのですね。
さらに、宮崎氏の研究の結果によると「ちょっと疲れている人、長時間の仕事をこなしたい人などは、なるべく脳の負荷を抑えるために、テンポが速くて、かつメロディーがある音楽を仕事の前に聴くのが有効」なのだとか。(カッコ内引用元:同上)
多くのビジネスパーソンは長時間デスクワークをし、仕事以外の日常でも膨大な情報のなかで生きています。つまり、常に脳に負担がかかっている状態。脳疲労をためないためにも、なるべく脳の負荷を抑えたほうが仕事のクオリティは上がるはず。
仕事の前にアップテンポの音楽を聴くだけで、脳の負荷を抑えてミスなく作業のスピードが速くなるのなら、やらない手はありませんよね。
もともと筆者はクラシック音楽が大好きで、普段仕事をする際にはゆったりしたテンポの曲を流していました。しかし、今回は仕事の前に速いテンポのクラシック音楽を流し、仕事がスピードアップするのか試してみました。
聴き始めてから数秒で頭がスッキリしましたよ。5分ほど聴き、ノリノリな感覚で始業時間です。不思議と頭の回転が速くなったような感覚があり、たしかにいつもより作業スピードが上がりました。たった5分で仕事スピードを上げられるなら、毎日できそうですよね。
***
「メールのタイトルをわかりやすく書く」「仕事前にアップテンポの音楽を聴く」このふたつだけなら今日からでも試すことができるはず。メールの効率化によりコミュニケーションがスムーズになり、アップテンポの音楽で作業スピードを上げられれば、あなたも “仕事の速い人” に近づけるはずです。