上司が欲しがる「参謀級」の部下になるために。“2つの口癖” で行動力を高めよ

伊庭正康さんインタビュー「高いフォロワーシップのために率先力を上げる方法」01

上司や会社から重宝される「デキる部下」になるには、上司への「提言力」と自ら行動する「率先力」で成り立つ「フォロワーシップ」を高めていく必要がある――。そう提唱するのは、研修トレーナーの伊庭正康(いば・まさやす)さん(『「本当にデキる部下」はたった3%。あなたは “理想型” になれている? 10項目で確認を』参照)。今回は、提言力と率先力のうち、率先力を高めるための方法を教えてもらいます。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

4つのレベルに分かれるビジネスパーソンの率先力

率先力のレベルの違いによって、当然ながらその人の言動は変わります。率先力を高めるための方法をお伝えする前に、まずは具体的なシチュエーションにおける、率先力のレベルによる言動の違いを見てみましょう。

私は、率先力のレベルは4つに分かれると考えています。コロナ禍においてリモートワークを推奨しようとしている上司に対して、それぞれのレベルの部下がどのような言動をするのかを示してみましょう。

レベル1は「積極的な人」です。積極的というだけに、一般的な人より率先力はあります。こういう人は、リモートワークの推奨を上司が提案したとき、ただ賛成するだけではありません。「賛成ですが、ひとつ質問をしてもいいですか?」というふうに、質問を投げかけたり自分なりの意見を述べたりもする。上司の立場にある人なら、「おかしいことはおかしいと言ってほしい」という人がほとんどでしょうから、レベル1の人も十分にありがたい存在です。でも、それはその人、個人の意見に過ぎません

それが、レベル2の「主体的な人」になると、同僚の意見をまとめるようになる。「チームのメンバーの意見を聞いたところ、大半のメンバーがリモートワークには前向きです。ただ、こんな問題点を心配する声もありました」というふうに、上司と部下の橋渡し役になるのです。

伊庭正康さんインタビュー「高いフォロワーシップのために率先力を上げる方法」02

率先力に秀でた「参謀級の人」は、じつはお得な役回り

さらに、レベル3の「支援する人」になると、文字通り上司を支援します。「リモートワーク推奨に反対意見をもっているメンバーが複数いるため、一度、メンバー全員を集めて話をしたほうがいいと思います」「必要な情報があれば、私が集めておきましょうか?」といったふうに、上司や同僚が動きやすくなるように調整をします。

そして、レベル4の「参謀級の人」は、さらに進んで上司の代わりにリーダー役を買って出るようになります。このケースなら、「よろしければ、リモートワーク推奨に反対意見をもっているメンバーに私から話をしておきましょうか?」というふうな提言ができるのです。

このレベル4の役回りは、なかなか大変そうですよね。ただ、実際にはそうでもありません。上司から感謝されることはもちろんですが、上司の代わりに、いわば汚れ役を買って出ているのですから、「よくそんな役をわざわざやるよなあ」と同僚からも一目置かれます。もちろん、それだけ率先して動ける力があれば社内での評価も上がり、将来的な出世にもつながります

また、本来は上司がやるべきことを代わりにやっているだけですから、大きな責任もありません。責任はあくまでも上司のものです。仮になんらかの失敗をしてしまっても、責任を問われるリスクは限りなく低い。そういう意味では、ものすごくお得な役回りとも言えます。

伊庭正康さんインタビュー「高いフォロワーシップのために率先力を上げる方法」03

率先力を高める魔法の言葉「私にできることはありますか?」

だとしたら、そんなお得なポジションに就くためにも、率先力を高めていきたいものです。そうするためにやることは2つ。どちらも、普段の会話において使うメソッドです。1つは、発言のなかの「会社は〜」「上司は〜」という主語を「われわれは〜」に変えること。

同僚同士での会話では、「リモートワークもまともにできないなんて、うちの会社は古いよね」「上司は古いよね」というふうに、愚痴っぽくなってしまうことも多いでしょう。でも、愚痴をこぼしてただ会社や上司を非難するだけではなにも変わりません。

しかし、「会社は〜」「上司は〜」を「われわれは〜」に変えて、「リモートワークもまともにできないなんて、われわれは古いよね」だったらどうでしょう? 「だったら、なんとかしなければいけない!」という気持ちになるはず。そうして、自ら率先して行動する力をもつことにつながるのです。

率先力を高めるためのもう1つのメソッドが、「なにか私にできることはありますか?」を口癖にすることです。部下という立場にいると、無意識のうちにもどこかで「上から指示されたことをやっておけばいい」という気持ちをもってしまいがちです。もちろん、それでは率先力は高まりません。普段から「自分がやるんだ!」という意識を自分自身に植えつけるため、あらゆる場面で「なにか私にできることはありますか?」と口にするようにしましょう。きっと、みなさんの意識と行動は大きく変わるはずです。

伊庭正康さんインタビュー「高いフォロワーシップのために率先力を上げる方法」04

【伊庭正康さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「本当にデキる部下」はたった3%。あなたは“理想型”になれている? 10項目で確認を
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【プロフィール】
伊庭正康(いば・まさやす)
1969年1月1日、京都府生まれ。研修トレーナー。株式会社らしさラボ代表取締役。1991年、リクルートグループ入社。法人営業職に従事し、プレイヤー部門とマネジャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、株式会社フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社・株式会社らしさラボを設立する。リーディングを中心に年間200回を超えるセッション(営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演)を行っている。実践的なプログラムが好評で、リピート率は9割を超え、その活動は日本経済新聞など多数のメディアで紹介されている。『目標達成するリーダーが絶対やらないチームの動かし方』(日本実業出版社)、『なぜ、一流は歩きながら仕事をするのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている 上司と組織を動かす「フォロワーシップ」』(PHP研究所)、『計算ずくで目標達成する本』(すばる舎)、『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ』(PHP研究所)など著書多数。YouTube「研修トレーナー伊庭正康のビジネスメソッド」もスタート。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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