「本当にデキる部下」はたった3%。あなたは “理想型” になれている? 10項目で確認を

伊庭正康さんインタビュー「デキる部下はフォロワーシップが高い」01

まだ若いビジネスパーソンなら、今後のキャリアを考えても、上司から「デキる部下」と思われたいものです。ところが、研修トレーナーの伊庭正康(いば・まさやす)さんは、「本当の意味でデキる部下は、全体のわずか3%に過ぎない」と言います。そして、デキる部下になるために大切なのが「フォロワーシップ」というものだそう。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

フォロワーシップの重要性が増している現代

フォロワーシップという言葉を聞いたことがありますか? これは、アメリカのカーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が1992年に出版した著書のなかで提唱したもので、上司の盲点を把握し、サポートする姿勢のことです。

このフォロワーシップが、いまのビジネスシーンでは特に重要なものになっていると私は考えています。というのも、時代の変化によって上司には見えない部分、盲点が以前より明らかに増加しているからです。

環境の変化がいまほど激しくなかった時代なら、上司は自らの経験則から判断を正しく下すことができました。でも、いまはとにかく環境変化のスピードが上がっている状況です。つまり、上司が若い頃から培ってきた経験則が通用しない場面が増えている。そのため、変化が激しい現場にいる部下から上がってくる情報を整理して、正しく判断するハードルが以前より格段に上がっているのです。

そこで重要になるのが、フォロワーシップ。部下が主体的に上司の盲点を把握してサポートすることが大切になります。いわば、部下の主体性に上司のパフォーマンス、ひいては会社の業績がかかってきているとも言えます。そのため、2010年頃から多くの会社が積極的にフォロワーシップ研修を行なうようになってきたのです。

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フォロワーシップが低ければ、出世レースで不利になる

ただ、それだけフォロワーシップの注目度が上がっているなかでも、本当の意味でしっかりとフォロワーシップを発揮できている人は、驚くほど少ないと思います。私が行なっている研修を通じての実感からすれば、その数字は全体のわずか3%というところでしょうか。

フォロワーシップを発揮できている部下には、「問題発見マニア」とでも言うべき特徴があります。ただ指示通りに動くだけではなく、組織が抱える問題を自ら発見し、その解決策などを上司に提言し、かつその実現のために行動することができるのです。

では、もしフォロワーシップを高められないと、どんなデメリットがあるのか? それにはさまざまなものがありますが、わかりやすいところで言えば、職場にある問題をそのまま放置することになりますから、問題が山積する居心地の悪い職場で働き続けなければならないこともひとつ。こういう人たちは、愚痴をこぼしながらも問題解決のために動くことはありません。そんな職場や心理状態で働いていては、成果も挙げにくくなるでしょう。

一方、フォロワーシップが高い人は、率先して問題解決に動きます。そう言うと聞こえはいいのですが、フォロワーシップが高い人が考えているのは、ただ「自分にとって居心地がいい職場にしたい」ということ。でも、それが結果的には成果や会社の業績アップにつながるのですから、会社からすれば社員のフォロワーシップを高めたい、あるいはフォロワーシップが高い人を重要なポストに就けたいと考えて当然でしょう。つまり、フォロワーシップが低い人は、それだけ出世レースでも不利になるということです。

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自らのフォロワーシップをチェックして足りない力を知る

では、みなさんは、フォロワーシップをしっかり発揮できる3%に入れているでしょうか。下のチェックリストで、みなさんのフォロワーシップのレベルを確認してみましょう。注意してほしいのは、みなさんの上司になった気持ちで、みなさん自身を評価するということ。A、Bともにすべて○ならそれぞれ満点の10ポイントとなります。

【フォロワーシップチェック】

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結果はどうだったでしょうか。では、A、Bそれぞれのポイントを下のチャートに当てはめてみてくださいAは問題の「提言力」Bは自ら行動する「率先力」を表します。ともに8点以上なら「理想型というわけです。この理想型に当てはまるのが、先にお伝えしたわずか3%の人たちなのです。

【フォロワーシップの5類型】

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ポイント数が少なければ、フォロワーシップに関してなんらかの問題があるということはみなさんにもすぐに想像できるでしょう。消極型は、上司への提言もしなければ行動もしないので問題だらけです。順応型は、問題提起はしないけれど、指示されたことに対しての行動力はあります。いわゆる「イエスマン」ですね。それから、孤立型は、文句を言うだけ言って行動しないタイプ。この3タイプが高く評価されるわけもありませんから、もしどれかに当てはまってしまったのなら要注意です。

ただ、この3タイプは、普段からどこかで問題点を指摘されることもありますから、自分の問題を自覚しているケースもある。一番気をつけなければならないのが、提言力も率先力もほどほどにある「実務型でしょう。それなりに実績を残すこともできて同僚たちの評価も悪くありません。でも、そのままでは会社から重要なポストに抜擢されるようなこともない。言ってみれば、とてももったいないのです。

いずれにせよ、このチェックリストによって自分に足りない部分がわかったはずです。今後、その足りない部分を埋めていくことができれば、上司や会社から重宝される人材になれると思います。

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【伊庭正康さん ほかのインタビュー記事はこちら】
意見を言うだけの「残念な部下」から、上司が手放さない「最高の部下」に変わる方法
上司が欲しがる「参謀級」の部下になるために。“2つの口癖” で行動力を高めよ

【プロフィール】
伊庭正康(いば・まさやす)
1969年1月1日、京都府生まれ。研修トレーナー。株式会社らしさラボ代表取締役。1991年、リクルートグループ入社。法人営業職に従事し、プレイヤー部門とマネジャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、株式会社フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社・株式会社らしさラボを設立する。リーディングを中心に年間200回を超えるセッション(営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演)を行っている。実践的なプログラムが好評で、リピート率は9割を超え、その活動は日本経済新聞など多数のメディアで紹介されている。『目標達成するリーダーが絶対やらないチームの動かし方』(日本実業出版社)、『なぜ、一流は歩きながら仕事をするのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている 上司と組織を動かす「フォロワーシップ」』(PHP研究所)、『計算ずくで目標達成する本』(すばる舎)、『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ』(PHP研究所)など著書多数。YouTube「研修トレーナー伊庭正康のビジネスメソッド」もスタート。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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