「勉強してもわからない!」イライラする真の理由とは?

勉強がわからないためイライラする女性

せっかく集中して勉強していても、「わからない」と感じてイライラしてしまうことは、誰にでもありますよね。自分でいくら考えても理解できず、時間だけが過ぎていく……こんな状況にストレスを感じた経験があるのではないでしょうか。

今回は、勉強中に「わからない」と感じる問題の原因を分析し、イライラした気持ちの解消法をご提案します。適切なテキストを選ぶ勉強法、行き詰まってしまったときの対処法を知り、「勉強がわからない」というイライラに別れを告げましょう。

勉強がわからないでイライラする原因

「勉強してもわからない」とイライラしてしまうなら、以下に挙げる3つの原因に当てはまっているかもしれません。

背景知識がない

まず考えられるのは、必要な背景知識が欠けているため、テキストに書かれている言葉の意味が理解できていないケースです。

たとえば、「自己資本」という用語。“自己” も “資本” も知っているでしょうが、“自己資本” となるとピンとこないかもしれません。「自己資本=金融機関から借りたお金以外の資本」という知識をもっていないと、意味を想像するのはほぼ不可能でしょう。

勉強していると、普段の生活では使わない言葉も多く登場します。少しでも疑問に感じた言葉は、勝手に解釈せず、そのつど意味を調べましょう

テキストが難しすぎる

使っているテキストが難しすぎるか、自分に合っていないという原因も考えられます。たとえば、まったくの初心者が、いきなり上級者向けのテキストを手に取ってしまったら、理解しにくいのは当然です。

テキストや問題集を選ぶとき、「せっかくなら」とレベルが高いものを買いたくなるかもしれません。もしくは、他人からすすめられたテキストを、十分に検討せずに購入してしまうこともあるでしょう。口コミや評判も判断材料としては重要ですが、やはり自分で読み比べてから決めるのが一番です。

特に、最初のテキストを選ぶ場合には、複数を読み比べ、自分にとって読みやすいか、独力で理解できそうか、慎重に吟味しましょう。参考書の詳しい選び方は後述します。

情報を脳内で整理できていない

ひとつひとつの情報は理解しているものの、各情報がどのような関係にあるのか自分で整理できていないため、「わからない」と感じるのかもしれません。

たとえば、本を1冊読み終えたとしても、内容をスラスラと人に説明するのは難しいはず。本1冊ぶんの膨大な情報が、未整理のまま脳内に散らかった状態だからです。これらの情報を「取り出して使える」状態にするには、ノートに書き出すなどして、吸収した知識をまとめる必要があるでしょう。

勉強中に「わからない」とイライラする原因としては、以上の3つが考えられます。

勉強がわからないためイライラする男性

勉強がわからないでイライラするときの対処法

勉強がわからないでイライラする場合の対処法としては、以下の5つが考えられます。

調べる

わからない言葉に出会ったら、シンプルですが「調べる」のが一番です。

すぐに調べられる手段としては、やはりインターネットでしょうか。瞬時に、かつピンポイントで調べられる利点があります。ただし、インターネット上の情報は玉石混交です。得た情報が信頼できるものかどうか、しっかり吟味する必要があるでしょう。

正確な知識が欲しいなら、解説書や用語集など、信頼できる資料を参照します。自分がもっている資料で不十分なら、図書館や本屋で入手し、類書を読み比べてみましょう。電子辞書に収録されている百科事典や用語辞典が役立つ場合もあります。

【調べる手段の例】

  • インターネット
  • 解説書や用語集
  • 電子辞書

答えを見る

問題集に取り組んでいて、どうしてもわからない問題に出くわした場合、解答・解説を読んで先に進むのも手です。

『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』(CCCメディアハウス、2012年)を著した税理士・石川和男氏によると、勉強で最も避けるべきなのは、問題が解けず手が止まってしまうこと。ひとつの問題に時間をとられすぎると、テキストを最後まで進められなくなります。

問題集に取り組むときは、「10分以内に解けなければ答えを見る」などのルールをあらかじめ決めておきましょう。ただし、次回以降は確実に解けるよう、解説をしっかり読み込んでください。

テキストを替える

先述したように、テキストが自分に合っていないことが原因で理解が滞ってしまうケースもあります。いまのテキストを読んでもよくわからないと感じるなら、別のテキストを買うことを検討しましょう。

とはいえ、あまり頻繁にテキストを替えるのはオススメできません。どうしても合わないと感じる場合や、より適したテキストが見つかった場合だけの、例外的な対処法と考えてください。

前出の石川氏、メンタリストDaiGo氏らによると、テキスト選びのコツは以下の3つ。

書店で読み比べる

書店でひととおり読み比べたあと、自分にとって読みやすいかどうかを基準に決定しましょう。文章が平易なもの、堅苦しいもの、図解が豊富なもの、カラーで見やすいものなど、さまざまな種類があります。読み比べているうち、自分に合うものがわかってくるでしょう。

「8割くらいわかる」レベルがベスト

アリゾナ大学が2019年に発表した研究では、全体に対して「15%」の失敗を経験したとき、学習効率が最も高まることが示されました。つまり、難しい内容を適度に含んだ参考書は、「理解したい」という欲求を刺激するため、モチベーションを高めてくれるのです。

難しい内容を15%含んだ参考書」を見つけるのは難しいでしょうが、だいたいの目安として意識してみてください。「基本的にはスイスイ読み進められるが、たまにちょっとだけ難しいところもある」という具合の本がベストです。

本の真ん中あたりを5~10ページ読む

メンタリストDaiGo氏は、本の選び方のひとつとして「真ん中あたりのページを読む」ことを挙げています。誰でも、本の最初と最後は力を入れて書くもの。しかし、真ん中あたりのページは「中だるみ」しやすいため、著者の “真の筆力” を見ることができるそうです。

全200ページの本なら100ページ目あたり、全300ページの本なら150ページ目あたりを開き、5~10ページほどパラパラと読んでみましょう。そうして読みやすいと感じられた本は、あなたに合っている可能性が高いはず。

図を描いてみる

哲学者の小川仁志氏がすすめているのが、「図を描いてみる」という方法です。物事の因果関係や関連性が「見える化」されるので、知識を整理したうえで理解することができます。

知識を図で整理する方法の代表例が、マインドマップです。マインドマップとは、メインのキーワードから放射状に線を伸ばし、枝葉を広げるように関連する概念を書き込んでいくやり方。以下は、マーケティング理論のひとつ「イノベーター理論」をマインドマップで整理した例です。

勉強がわからないためイライラしたときに便利なマインドマップの例。

赤い四角で囲った「イノベーター理論とは?」というメインテーマから、「概要」「何に使う?」という線が伸びています。2本の線はさらに分岐しつつ、関連語や解説を体系的につなげていますね。

マインドマップは、複雑な物事を整理したいときには特に便利です。マインドマップについて、詳しくは「『読書×マインドマップ』で学びが圧倒的に加速する! やっぱり書くのは最高だった。」をご覧ください。

【図を描くメリット】

  • 頭のなかに散らかった情報を整理できる
  • パッと見てわかりやすい
  • 情報どうしの関係を表現できる

【図で情報を表現する例】

  • マインドマップ
  • 相関図
  • 組織図
  • ベン図
  • フロー図
  • グラフ
  • イラスト

人に説明してみる

『ずるい暗記術 偏差値30から司法試験に一発合格できた勉強法』(ダイヤモンド社、2015年)を著した弁護士・佐藤大和氏は、「学んだことを人に話す」方法をすすめています。人に説明するためには、自分が得た知識を整理しなければなりません。そのため、自分がわからないことは説明できませんね。

「あれ、うまく説明できないな」と感じた部分は、理解が不十分だということなので、自分で調べ直したり考え直したりする必要があります。そのため、人に説明することを通して、「わからない」が「わかるようになった」に変わるのです。

人に説明するときのポイントは、自分と比べて「学習レベルが高い人」と「学習レベルが低い人」の両方と話すこと。先生や先輩など学習レベルが高い人は、間違いを正したり知らないことを教えてくれたりするため、こちらのレベルを引き上げてくれます。一方で、友だちや後輩など自分より学習レベルが低い人の場合、言い換えたり例え話を使ったりしてわかりやすく伝えることを通じ、知識を定着させることができるのです。

説明に付き合ってくれる相手がいないなら、「エアー授業」がオススメです。エアー授業とは、架空の生徒に対し授業するつもりでしゃべること。“京大出身芸人” としておなじみのロザン・宇治原史規氏が実践していた、ユニークな勉強法です。

【人に説明するときのポイント】

  • 自分より学習レベルが高い人/低い人の両方と話す
  • 説明できないと感じた部分は、そのつど調べる
  • 相手がいなければ「エアー授業」がオススメ

***
勉強がわからないでイライラしてしまうときには、いったん冷静になり、今回ご紹介した5つの方法を試してみましょう。つまずいている原因がわかれば、案外あっさりと解決するかもしれませんよ。

(参考)
和田秀樹(2007),『国語力をつける勉強法』, 東京書籍.
和田秀樹(2009),『大人のためのハイスピード勉強法』, PHP研究所.
リクナビNEXTジャーナル|資格を取るための「参考書・問題集」の選び方・使い方とは?――「資格の大原」元講師が教える“合格勉強法”
Mentalist DaiGo Official Blog|チラ読みでわかる!自分に合った本・テキストの選び方
Nature|The Eighty Five Percent Rule for optimal learning
小川仁志(2014),『覚えるだけの勉強をやめれば劇的に頭がよくなる 大人のアウトプット勉強法』, PHP研究所.
ダイヤモンド・オンライン|【自分の言葉で伝えることが大事】2タイプの人に話すことで、覚えた情報が整理される
THE21オンライン|高学歴芸人ロザンの必勝勉強法・「エアー授業」とは!?

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
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