「読書×マインドマップ」で学びが圧倒的に加速する! やっぱり書くのは最高だった。

読書後のマインドマップ01

読んだ本の内容を忘れないよう、読書後のアウトプットを実践してみても、なかなか効果が実感できないと感じることはありませんか? いろいろな方法を試してみても自分にあったものが見つからない人や、そもそもどんなアウトプットをしていいかわからない、という人も多いのではないでしょうか?

筆者自身も、SNSに本の感想をアップしたり、印象に残った文をメモに取ったりといったアウトプットを実践しているのですが、やはり時間がたつと本の内容を忘れてしまいます……。そんな折、編集部の人から「これ実践して記事にしてみて!」と言われて出会ったのが、今回紹介する「マインドマップ」を使ったアウトプット法。「なんだか難しそうだなぁ」と思っていましたが、取りかかってみると、そこには納得の効果がありました。

そもそも読書後にアウトプットが必要なのはなぜ?

そもそも、なぜ読書後にアウトプットが必要だと言われているのでしょうか? 精神科医の樺沢紫苑氏は、著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』の中で以下のように述べています。

人間の脳は、「重要な情報」を長期記憶として残し、「重要でない情認」は忘れるようにつくられています。「重要な情報」 とは、インプットしたあとに何度も「使われる情報」です。つまり、インプットしても、その情報を何度も使わないと、すぐに忘れてしまうのです。

(引用元:樺沢紫苑(2018),『学びを結果に変えるアウトプット大全』,サンクチュアリ出版.)

樺沢氏いわく、インプットした情報は何度も使うこと(=アウトプット)で、初めて記憶に残るのだそうです。同書の中で樺沢氏は、2週間に3回のアウトプットが記憶に残りやすくなる目安だと述べています。

反対に、アウトプットを怠ると、いくらインプットに精を出しても記憶に残らずに終わってしまうことになります。本を買って読んだはいいけれど、大きな学びも変化も感じられないまま次の本を読み始めてしまった経験はありませんか? もしかしたら、原因は、アウトプットの不足にあるかもしれませんよ。

しかし、簡単にアウトプットといっても、方法はさまざまですよね。読書後のアウトプットの例として代表的なものを簡単に挙げてみましょう。

  • 読書後に感想をノートにまとめる
  • SNSで感想を書いて発信する
  • 印象に残った文章を書き出す
  • 気付いたことを箇条書きにする

上記の方法は全て、文章によるものという共通点があります。そんななか、多くのビジネスパーソンの注目を集めている、視覚的に思考を整理するアウトプット法があるのです。

読書後のマインドマップ02

本の内容を「マインドマップ」で視覚的にまとめる!

マインドマップは、イギリスの教育者であったトニー・ブザン氏が提唱したアウトプット法です。紙の中心に主題を書き、そこから連想した言葉やイメージを、放射状に書いてつなげていくという方法がとられます。

じつは、箇条書きなどの「ノートの端から丁寧に書いていく」というメモの取り方は、脳の性質には合わない方法なのだそう。本来、脳は、どんどん連想を広げていこうとする性質を持っています。連想が広がっているときの脳のニューロン(神経細胞)の広がりを置き換えたものがマインドマップなのです。つまり、マインドマップは、脳の本来持つ性質をそのまま活かしたアウトプット法だということができます。

マインドマップには、文章のみによるアウトプットに比べて以下のようなメリットがあります。

  • 記憶の定着
  • 理解の促進
  • 集中力の向上
  • 創造的な思考

このようなメリットを踏まえて、実際に読書後のアウトプットとしてマインドマップを活用している人も紹介しておきましょう。

京都大学に首席合格した過去を持ち、現在はウェブサイト「勉強革命.com」を運営して効率的な勉強法を発信し続ける粂原圭太郎氏。粂原氏は、読み終えた本から新しい気づきやアイデアを得るのに、マインドマップの作成を役立てているそうです。また、メンタリストのDaiGo氏も同様に、理解の促進や記憶の定着のために、マインドマップを使った読書を実践しています。

読書後のマインドマップ03

マインドマップを実際に作ってみた

それではいよいよ、マインドマップを使って読書後のアウトプットをしてみましょう。トニー・ブザン氏が提唱したマインドマップの作成には、本来いくつもの決まりがあります。しかし、今回は、「初めてでも簡単にできる」という点を重視し、前述の粂原圭太郎氏が、以前StudyHackerのインタビュー“京大首席合格者が読書後に実践する「A4用紙アウトプット術」が思考整理に効く。”で述べていた方法をご紹介することにしました。方法はとても簡単な3ステップ。

  1. A4用紙とペンを用意する。
  2. 紙の中心に「この本から何を学びたいか」という目的を設定して書く。
  3. 本から得た知識や自分なりの気づきをどんどん放射状に書いていく。

具体的には、以下のような要項で実践することにしました。

【読んだ本】『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」 仕事にも勉強にも必須な「理解力」と「連想力」が劇的に身につく』(粂原圭太郎著)
【目的】読書術について学ぶ
【工夫】読みながら本の知識を黒字で記入。読み終えたあとに自分の気づきを赤字で記入。

それでは、筆者の作成したマインドマップをご覧ください!

読書後のマインドマップ04

このようになりました。字が汚いのはお許しください……。

成果報告

実際にやってみて感じた効果や、改善したいと思った点をご報告します。

【効果その1】読書スピードが倍以上に!→目的を決めて読んだのが効果的だった!
これまで筆者は、1冊の本を最初から最後までしっかり読んでいました。しかし「読書術」という目的を決めたことで、大切だと思ってしっかり読み込む部分さらりと読み飛ばす部分との差が明確に生まれたのです。結果208ページの本を、マインドマップを作成しながらでも、なんと約1時間で読破できました。普段、筆者は、200ページの実用書を読み終えるのに約2時間かかるので、倍以上のスピードで読破できたことになります。

【効果その2】自己分析ができる!→色分けが効果的だった!
自分の気づきを書き込んでいると、「人」や「感性」といった言葉への引っかかりが強く、読書と人間関係との共通点を多く探していることが分かりました。色分けを施したことで、自分の気づきが一目でわかる効果が生まれたおかげではないかと思います。どんな言葉によく反応しているか考えてみることで、自分の思考の癖や興味を把握するのに非常に役立ちそうです。

【効果その3】内容を覚えているか簡単にチェックできる!→見直しが効果的だった!
作成したマインドマップを、数日後に見直したところ、記述内容を思い出すことができる箇所もあれば、思い出せない箇所もありました。それが、思い出せない部分を、再び本を読み直してインプットしなおすという作業につながりました。読んだ本とマインドマップをセットで保管しておけば、本の内容を覚えているかのチェックシートの機能も果たしてくれますね。

【難点1】自分の気づきを取りこぼす
【改善法】思い浮かんだことも読みながら書き込む!

今回は、「読みながら黒字で内容をまとめる→読み終えてから赤字で気づきを書き込む」という流れでやってみました。しかし、実際には読んでいる最中に頭に浮かんでくる気づきも多かったので、せっかく思い浮かんだものを拾いきれなかった気がしています。思い浮かんだ内容はその場で書き込んだほうが、取りこぼしなく自分の気づきをマインドマップに反映できるのではないでしょうか。

【難点2】いつでも紙とペンを用意できる環境で本を読むわけではない
【改善法】マインドマップ作成アプリを利用する!

今回はたまたま読書のためにまとまった時間をとれたので良かったのですが、たとえば通勤電車の中では、紙とペンを取り出してマインドマップを書きながら読む……なんてことは難しいですよね。そこで利用してみたいと思ったのが、SimpleMind Freeや、MindNode 6といったマインドマップ作成アプリです。紙で作成する場合と効果を比較してみるのもおもしろそうですよね。

***
ここまで書いておいておきながら、じつはマインドマップを作成して一番大切だと感じたのは「楽しい」という感情でした。アウトプットは大切ですし、本を読んでも身にならなければ意味はないのももちろん事実です。しかし、今までの自分は、本を読むたびに「学ぼう」「活かそう」と気負いすぎていたことにも気づきました。

今回の一番の収穫は、発見をする喜びや、思考がつながる楽しさ、文章から受ける感動といった読書の本質を思い出せたことです。みなさんも読書に疲れたとき、読むモチベーションが続かないときにこそ、ぜひマインドマップを活用してみてください。

(参考)
樺沢紫苑(2018),『学びを結果に変えるアウトプット大全』,サンクチュアリ出版.
粂原圭太郎(2019),『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」 仕事にも勉強にも必須な「理解力」と「連想力」が劇的に身につく』,KADOKAWA.
メンタリストDaiGo(2018),『科学的に正しい英語勉強法』,ディーエイチシー.
STUDY HACKER|京大首席合格者が読書後に実践する「A4用紙アウトプット術」が思考整理に効く。
PRESIDENT Online|自分だけがわかる「超強力」なメモの方法
マインドマップの学校|マインドマップとは?

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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