厄介な人間関係もこの3大原則でスッキリ。うまくいく黄金比「5:1」を知っていますか?

厄介な人間関係をスッキリさせる3大原則01

職場での代表的な悩みのひとつが「人間関係」。まわりから好かれようと頑張りすぎて疲れてしまったり、苦手な人と日々仕事をしなければならずストレスを抱えたりする人は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、職場の人間関係を楽にする3つのコツをご紹介します。

1.「10人中2人」とは気が合わなくても大丈夫

嫌われたくないからと発言や振る舞いに気をつかいすぎて、疲れてしまう……。そんな人に意識してほしいのが、1:2:7の法則です。精神科医の名越康文氏によると、仮にまわりに10人の人間がいるとしたら、その内訳は以下のようになるのだそう。

  • あなたと必ず気が合う人:1人
  • なにをしてもあなたと気が合わない人:2人
  • そのときどきで敵にも味方にもなる人:7人

つまり、一緒に働く人が10人いれば、そのうち2人とは気が合わなくて当たり前ということ。したがって、無理に全員から好かれようと頑張りすぎる必要はないと名越氏は言います。

この「1:2:7の法則」には、「自分を嫌う人がいるのは当然だから気にしなくていい」ということ以外にも、大切な示唆が含まれています。それは、「多勢を占める7人は自分の行動次第で敵にも味方にもなるのだから、自らの言動には気をつけるべきだ」ということ。どうしても気が合わない人との関係に一喜一憂するのではなく、7人に味方になってもらうように努めることこそが、私たちがすべきことなのです。

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それでは、具体的にどのような行動をすればよいでしょうか。アメリカの作家デール・カーネギー氏の歴史的ベストセラー『人を動かす』から、とてもシンプルな方法をご紹介します。それは相手の名前を呼ぶこと。

カーネギー氏によると、人間は他人の名前は一向に気にとめないのに、自分の名前には大きな関心をもつのだそう。相手の名前を覚え、その名を口に出して呼ぶことは、お世辞を言うよりもよほど相手の気分をよくする効果があると言います。

たとえば、新しいチームや部署で良好な人間関係を築きたいと思ったら、まずなによりもメンバーの名前を覚えて、呼びながら話すことを心がけてはいかがでしょうか。また、慣れ親しんだ間柄でも、仕事を頼むときやアドバイスを求めるときなどに、ひとこと名前を呼んでからお願いしてみましょう。相手に与える印象は大いによくなるはずです。

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2. 発言の比率は「ポジティブ5:ネガティブ1」をキープ

同僚の仕事の進め方にひとこと物申したい。だけど、批判をするのはよくないからとついこらえてしまう――なかなかストレスがたまる状況ですよね。しかし、たまには言いたいことを素直に伝えることで、むしろ関係が好転する場合もありますよ。

ワシントン大学心理学名誉教授であるジョン・ゴットマン氏が、良好な関係を築いている夫婦の会話について研究したところ、ネガティブな言葉を1つ発したとき、必ず5つ以上のポジティブな声かけを行なっているということがわかったそう。つまり、会話の中でポジティブ発言:ネガティブ発言=5:1が保たれているカップルほど長続きするのだそうです。

たとえば、「いつも帰りが遅い」といったような批判的な内容を伝えたら、別の場面では「ありがとう」「助かった」「よく気がついてくれるね」といった感謝や賞賛を、5つ以上は伝えているということですね。

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「ならば、ネガティブな発言なんて最初からしなければいいのでは?」と思う人もいるかもしれません。ですが、この法則について解説するメンタリストDaiGo氏は、ポジティブな発言に終始しているとかえって「なにも考えていない」「お世辞ばかり言う」といった印象を相手に与えてしまうと述べます。むしろ、適度なネガティブ発言は、知性を感じさせ、相手から信頼を得るのに役立つとのこと。

また、「ほめすぎ」にも注意が必要です。その境目になる比は「13:1」。つまり、1回のネガティブ発言に対して、最低5回、最大12回の間でポジティブ発言をするのがよいということになります。

ここまで説明した内容は夫婦を対象にしたものですが、ミネソタ大学の教授らが行なった研究により、職場の人間関係にも当てはめられることが明らかになっています。職場でも「5:1」の比率を意識して、ネガティブな発言よりもポジティブな発言を多くするようにしましょう。

たとえば、同僚の仕事のやり方に「納得いかない」と伝えたり、後輩に「その物言いは直したほうがいいんじゃないか」と注意したりする場合。代わりに別の場面で「ありがとう」「助かったよ」などと、感謝の言葉を5つ伝えるよう心がければ、良好な関係を築けるでしょう。

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3. 好感度を上げたいなら「最初と最後」に気を配ろう

「クライアントによい印象を与えたい」そう意識するあまり緊張してしまったり、言葉を選びすぎて会話がうまく弾まなかったりすることはありませんか?

じつは、好感度を高めるために注力すべきポイントは2つ。ズバリ最初と最後です。

「初頭効果」と「親近効果」という言葉があります。前者はポーランドの心理学者ソロモン・アッシュ氏が、後者はアメリカの心理学者N・H・アンダーソン氏がそれぞれ実験によって明らかにしました。それぞれの内容は次のとおり。

  • 初頭効果:人は相手を第一印象によって認識する傾向がある
  • 親近効果:人は多くの情報を与えられると、最後に与えられた情報に左右されやすい

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これらは正反対の内容でありながら、両立させやすいものでもあります。

たとえば、新しいクライアントへの初訪問の際、まずは第一印象をよくすることに力を注ぐのは効果的です。営業力などの研修講師である大岩俊之氏によれば、元気よくあいさつをしたり、姿勢や服装に気をつかったりするほか、商談冒頭の話題にも気を配るといいのだそう。コツは、雑談が得意であればまずは雑談で場を和ませ、雑談が好きでない場合はシンプルに結論から入ること。第一印象をよくすれば、あとに続く話を聞いてもらいやすくなりますよ。

加えて、商談の最後にも気を配ります。大岩氏いわく、大切なのは「礼儀」と「まとめ」。丁寧なあいさつはもちろん、商談であれば、話した内容を最後に総括して確認すると相手にいい印象を残せるそうです。後日、お礼のメールを送るのも効果的かもしれませんね。

「初頭効果」と「親近効果」を知っておけば、初めての相手との商談のように緊張する場面でも心のゆとりをもつことができるはずです。最初が肝心と力みすぎてつまずいてしまっても、最後で挽回できるから大丈夫。焦ってうまく会話ができないといった失敗をしないよう、この2つの効果をぜひ自分を落ち着ける助けにしてみてください。

***
ここで紹介した法則や知識を強く意識しすぎると、それはそれで疲れてしまうかもしれません。あるときは、まわりの人たちとよりよくつながるためのアクセントとして。またあるときは、自分の人間関係をとらえなおすための材料として。ぜひ状況に合わせて役立ててみてくださいね。

(参考)
アルファポリス|名越康文 「嫌われても大丈夫」な自分を手に入れよう
The Gottman Institute|The Magic Relationship Ratio, According to Science
Harvard Business Review|The Delicate Art of Giving Feedback
賢恋研究所|好きな人にアプローチする際のベストな会話の方法とは? ポジティブ発言とネガティブ発言の黄金比率
D・カーネギー著, 山口博訳 (2016), 『人を動かす 文庫版』, 創元社.
東洋経済オンライン|信用されない人が軽視している見た目と礼儀

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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