ベテランがもつべきものは「余裕」。優秀な人ほど「スピードを緩める」べき納得の理由

北野唯我さんインタビュー「ベテラン社会人が自分をアップデートする方法」01

20代を過ぎ「ベテラン」と言われる世代になってくると、働き方の変化について悩むこともあるでしょう。しかし、その変化についていけなければ、これからの時代に評価されることはありません。

株式会社ワンキャリアの取締役であり、働き方に関する多くの著書を手がけている北野唯我(きたの・ゆいが)さんに、ベテランが自分をアップデートさせるためのアドバイスをお願いしました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

古いものを捨てなければ、新しいものは入ってこない

コロナ禍によってリモートワークも広まったいまは、コミュニケーションツールひとつとっても、これまでのメールではなくチャットツールやオンライン会議ツールといった新しいものがどんどん生まれています。それらに対して、「慣れないことはできればやりたくない」と、拒絶反応を示すベテランもいるかもしれません。

でも、もうまもなく定年退職するという状況でもなければ、時代の変化に合わせて自分をアップデートしていくことは欠かせないことです。

そこで、私がおすすめしたいのは、「古いものを捨てる」こと。いわゆる「断捨離」です。ちょっと意外に思った人もいるかもしれませんが、これが自分のアップデートにつながります。

ベテランの場合、長年のあいだに仕事や生活のスタイルが固定されてしまっています。そのなかで、「古いもの」にばかり囲まれているのです。ここで言う古いものには、雑貨や家具、本、服、機器といった物理的なもの、それから過去の考えや執着、思い込みといった精神的なものもあります。

なにかを捨てなければ、新しいものは入ってきません。そこで、自分のまわりの古いものを捨てるのです。物理的な古いものを捨てて自宅のスペースに余裕ができたなら、「パソコンや周辺機器を最新のものに買いそろえよう」なんて思えるかもしれません。精神的な古いものを捨てて心のスペースに余裕ができたら、「若手の考えも聞いてみよう」「新しい仕事の進め方を学んでみよう」というふうにも思えるかもしれません。

北野唯我さんインタビュー「ベテラン社会人が自分をアップデートする方法」02

人を育てるときには、自分のなかの「スピードを緩める」

また、ベテランとなってマネージャー職になった人には、「スピードの使い分け」というものも意識してほしいと思います。

20代のときには、プレーヤーとしてなるべく早く仕事をこなし、多くの経験を積むことが大切です。でも、マネージャー職として人を育てる立場になったときには、「スピードを緩める」こともとても重要なのです。

多くの部下を束ねるマネージャー職となる人は、当然ながら優秀な人です。20代の若手のときにも、それこそスピードをもって仕事をこなしてきたでしょうし、そうするなかでスピードが磨かれたはずです。マネージャー職となったいまも、同じ仕事をするにも当然ながら経験の浅い若手よりずっと早くこなせます。

しかし、その自分のスピード感に慣れすぎてしまい、自分と部下のスピードの違いを認識しないまま、「どうしてこんなに時間がかかるんだ……」というふうに部下に対してイライラしている人も多いように思うのです。その認識は、もちろんアップデートしなければなりません。

部下に仕事を任せるのなら、ある程度の余裕をもってスケジューリングし、辛抱強く待ってください。経験を積んだ人にとっては難なくこなせる仕事も、若手にとってはハードルの高いものだということも少なくないのです。

北野唯我さんインタビュー「ベテラン社会人が自分をアップデートする方法」03

心の疲労を感じたときは、仕事の「大きな意味」に立ち返る

そして、先の例ではありませんが、仕事が遅い若い部下にイライラしているようなベテランには、そのストレスを解消できるような自分なりの手段をいくつかもっておくことも、精神衛生上、必要でしょう。

私の場合、毎朝、散歩や腹筋、加圧トレーニングといった運動をしています。そのような運動でもいいでしょうし、何年も前からマインドフルネス瞑想などもビジネスパーソンのあいだで流行していますよね。ひとつでもふたつでも自分に合うストレス解消法を見つけていたなら、マネージャー職特有のイライラも軽減されるでしょう。

あるいは、仕事によって心の疲労を感じたときには、仕事の「大きな意味」に立ち返るということもいいかもしれません。

仕事上のことでイライラしてしまったときには、イライラさせられた対象だけを見ていて視野がとても狭くなっています。そこで、「仕事を通じて自分が本当にやりたいことってなんだっけ?」と考えてみましょう。

全員が全員とはいいませんが、いまの仕事に携わることになったとき、多くの人が自分なりの夢や目標をもっていたはずです。忙しい日常のなかでは忘れてしまっているかもしれませんが、その夢や目標といった仕事の「大きな意味」に立ち返れば、イライラした出来事など些細なことに思えてくるはずです。

「立ち返る」のですから純粋なアップデートとは違うかもしれませんが、いまこの瞬間の自分の思考を変えるという意味では、これもアップデートと言っていいかもしれませんね。

北野唯我さんインタビュー「ベテラン社会人が自分をアップデートする方法」04

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【プロフィール】
北野唯我(きたの・ゆいが)
1987年8年21月生まれ、兵庫県出身。神戸大学経営学部卒業。就職氷河期に博報堂へ入社。ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、採用DXサービスを提供する「ワンキャリア」に参画。現在、株式会社ワンキャリアの取締役として、人事領域、戦略領域、広報クリエイティブ領域を統括。また、テレビ番組や新聞、ビジネス誌など各種メディアに「職業人生の設計」「組織戦略」の専門家としてコメントを寄せる。「すべてのプロセスにいる、いま挑戦しようとしている人に捧げる本」をモットーに作家としても活動。主な著書に『これからの生き方。』(世界文化社)、『転職の思考法』(ダイヤモンド社)、『OPENNESS(オープネス)』(ダイヤモンド社)『分断を生むエジソン』(講談社)がある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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