タイプ別・最高のキャリアを築く心得。“器用なだけ” の残念なタイプにはなるな!

北野唯我さんインタビュー「タイプ別・最高のキャリアを築く心得」01

ビジネスパーソンとしてキャリアを築くうえで、みなさんはどんなことを意識しているでしょうか。採用DXサービスを提供する株式会社ワンキャリアの取締役であり、著書『これからの生き方。 自分はこのままでいいのか? 問い直すときに読む本』(世界文化社)が話題となっている北野唯我(きたの・ゆいが)さんは、「自分のキャリア戦略のタイプを知ることが大切」だと言います。それらのタイプのうち、「チーム型」「意志型」「バランス型」の人がよりよいキャリアを築くために意識すべきことを解説してもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

「チーム型」は「人を見る力」を身につけるべし

キャリア戦略を考えるうえでは、渋沢栄一氏が唱える「知恵・情愛・意志」という能力の、どれが強みになるかによって分けられる4つのタイプのうち、自分にあてはまるタイプを知ることが大切です(『キャリア戦略を見極めるための思考法。渋沢栄一が説く “3つの能力” に着目して』参照)。

「知恵・情愛・意志」の強さによる4つのキャリア戦略

  1. 「スキル型」のキャリア:知恵を強みにしてキャリアを積み重ねていく方法
  2. 「チーム型」のキャリア:情愛を強みにしてキャリアを積み重ねていく方法
  3. 「意志型」のキャリア:意志を強みにしてキャリアを積み重ねていく方法
  4. 「バランス型」のキャリア:バランスを重視してキャリアを積み重ねていく方法

前回の記事では、1つめの「スキル型」の人がキャリア戦略を考えるうえで意識しておくべきことについてお伝えしました。今回は残りの3つのタイプについて解説していきます。

2つめの「チーム型」の人とは、人やチーム、ものへの情愛をもとにキャリアをつくっていく人であり、環境や出会いの影響を強く受ける傾向にあります。それだけに、素晴らしい環境や出会いに恵まれれば幸せなキャリアを築ける一方、それらに恵まれなければ苦悩や不安の多いキャリアを歩むことになります。

後者の場合には、誰かにだまされたり搾取されたりすることもありえます。そう考えると、「他人にだまされない方法」を習得することが大切。言い換えれば、「人を見る力」を磨くべきです。

もちろん、自身の強みをより生かせる仕事を選ぶことも大切なポイントですよね。たとえば、「営業」とひとことで言っても、その内容は千差万別。それらのなかで、その場限りで終わる単発の営業で終わるような仕事を選んでしまうと、その能力を生かしきれません。そうではなく、顧客となるべく長期的な関係を築くことを求められる営業の仕事を選ぶほうが、チーム型の人はよりよいキャリアを築けるはずです。

北野唯我さんインタビュー「タイプ別・最高のキャリアを築く心得」02

「意志型」は強引にでも環境を変えるべし

3つめの「意志型」の人は、「自分はこうしたい!」「必ず成功してやる!」という強い気持ちを人一倍もっている人。ですから、特に若いときには周囲とぶつかりやすい傾向にあるでしょう。もちろん、それはキャリア戦略における壁となりえます。その壁を乗り越えるには、なるべく若いうちから相手に損をさせない勝ち方を学ぶことが大切です。

「自分はこうしたい!」という意志が強いからこそ、意志型の人は利己的になってしまいがち。そうではなく、相手にも利益を分けることを考えましょう。ここで言う利益は、経済的な利益とは限りません。相手が大事にしている価値観を理解したうえで、相手が求めるものを探し、そのなかで自分が差し出せるものを見つけようとするべきです。

また、どんなに意志が強い人であっても、その力は年齢とともに徐々に衰えてくるもの。また、ある程度の成功をつかむことによって、同じように意志の力を失ってしまうこともあります。そうなると、意志という自分の強みを失うことになり、その後によりよいキャリアを構築することは難しくなるでしょう。

そういう事態を避けるには、強引にでも環境を変えることを考えてください。環境を変えて自分にプレッシャーを与え、強い意志の力を維持するのです。野球やサッカーなどのスポーツ選手が強豪チームに移籍することが、いい例になるでしょう。レギュラーが確約されているチームに居座り続けてしまえば、意志の力はどんどん弱まってしまいます。でも、多くのライバルがひしめく強豪チームに身を置けば、おのずと意志の力がみなぎってくる。意志型のビジネスパーソンなら、より高いレベルの仕事を求められる環境に積極的に身を置くことが大切です。

北野唯我さんインタビュー「タイプ別・最高のキャリアを築く心得」03

「バランス型」の人は「真剣に」人に向き合うべし

最後の4つめは「バランス型」「知恵・情愛・意志」の力をバランスよくもっていることが特徴です。そのため、基本的にはどんな組織でもそつなく成果を挙げ、着実にキャリアを築いていけます。

ただし、ほかの3つのタイプと比べて「自分の軸」が相対的に弱いという課題ももっています。たとえば、なんらかの重要なタイミングにおいて、チーム型や意志型の人なら「チームのために」「自分の夢のために」と、費用対効果を無視して自分のエネルギーをつぎ込むことができます。スキル型の人なら、それこそ自分のスキルで難局を乗り越えることもできるでしょう。でも、バランス型にはそこまでの強さはありません。

では、バランス型の人が若いうちにやってくべきこととはなんでしょうか。私は、なるべく早い段階で人を真剣に育てる経験を積むことだと考えます。なかでも、バランス型の人が力を発揮するのは、会社が安定している「平時」における人材の育成です。

もちろん、コロナ禍のいまはタイミング的に平時とは言えない業界も多いでしょう。でも、基本的に、平時における人材の育成では、さまざまなタイプの人間をバランスよく育てることができるバランス型のリーダーが求められます。ただ、そのときに重要となるのは「真剣に」人と向き合うこと。厳しいことであっても自分の意見を面と向かって相手に伝えることが大切です。

バランス型の人は器用であるがゆえに、自分と違う価値観をもつ人に対して「真剣に向き合わなくてもうまく付き合える」と考えがち。でも、それでは明確な強みをもったほかのタイプの人にいずれ追い越されてしまい、「便利屋」で終わってしまう可能性も高まります。そうならないために、「真剣に」人に向き合うことを意識してほしいと思います。

北野唯我さんインタビュー「タイプ別・最高のキャリアを築く心得」04

【北野唯我さん ほかのインタビュー記事はこちら】
「これからの生き方」を真剣に考えたいなら “14の要素” から自分の価値観を把握せよ
キャリア戦略を見極めるための思考法。渋沢栄一が説く “3つの能力” に着目して

【プロフィール】
北野唯我(きたの・ゆいが)
1987年8月21日、兵庫県生まれ。神戸大学経営学部卒業。就職氷河期に博報堂へ入社。ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、採用DXサービスを提供する「ワンキャリア」に参画。現在、株式会社ワンキャリアの取締役として、人事領域、戦略領域、広報クリエイティブ領域を統括。また、テレビ番組や新聞、ビジネス誌など各種メディアに「職業人生の設計」「組織戦略」の専門家としてコメントを寄せる。著書に『分断を生むエジソン』(講談社)、『オープネス 職場の「空気」が結果を決める』(ダイヤモンド社)、『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』(日経BP)、『このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む 転職の思考法』(ダイヤモンド社)がある。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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