グローバル人材の英語は「そこそこ」でいい? 英語を話すよりもっとたいせつなこと。

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最近やたらと、「グローバル化」や「英語が社内公用語」といった言葉を耳にします。 小学3年生からの英語教育を2020年までに義務化の動きもあったり、各大学は2014年から始まった「スーパーグローバル大学」の認定を取ろうと躍起になったり。 この流れを見ていると、「英語が話せないとちゃんとした職に就けないのでは?」「TOEICの点数を上げなきゃ」という不安に襲われてしまいそう。

でも、ちょっと待って。そんなに焦る必要、あるのでしょうか。 誰もが留学ができる環境なら良いですが、それはまだまだ限られたごく一部の話。 世界共通のコミュニケーションツールとしての英語の重要性は十分認識した上で、大声で叫ばれる「グローバル化」の現状や、日本でも身につけられることをお話しします。

badge_columns_1001711大事なのは”相手を知る”こと

大学生向け総合情報サイト「t-news web」で以前、「留学して困ったことランキング」が特集されたことがありました。 160人の留学経験者に行ったアンケートで堂々の第1位を飾ったのは「文化の違い」。

食事、風呂、掃除、宗教、飲み会に至るまで。 こちらの常識が通じないこと、あちらの常識が到底受け入れられないこと、そんなことは日常茶飯事なんだとか。 ちなみに「言葉が通じない」は10位。言葉より文化の差に戸惑うことの方が多いそうです。 これは「英語さえ話せれば!」と思っている人には意外な結果では?

The horizon

badge_columns_1001711大事なのは言葉より中身。

それではビジネスでの現状はどうでしょうか。 経営コンサルタント、経済アナリストである中原圭一氏は以前、東洋経済オンラインでこんなことを話していました。

もちろん、英語力があることに越したことはありません。ですが、絶対に必要なわけではないのです。それよりも、広い視野を持ってビジネスのプランを立てられること、物事の考え方がしっかりできていること、大局的な判断ができることのほうが重要です。つまり、洞察力を鍛えていくことが求められます。 (中略)   実は、英語をそれなりに習得しても、もともとネイティブでなければ、深い話や細かなニュアンスを伝えることは難しいのです。そのため、昔も今も、中途半端な英語の勉強をするよりも、その時間をいろいろな国の文化や価値観、特に歴史と宗教の勉強に充てたほうがよほど有意義です。 (引用元:東洋経済オンライン「英語が話せなくても、問題ない時代がくる」 )

英語が話せるからといってグローバル人材になれるわけではない……。中原氏は記事の中で何度も強調します。

英語をかなり勉強したとしても、微妙なニュアンスや含みまで習得するのはかなり困難ですよね。 例えばみなさんは、「act」と「action」がどう使い分けられているか、説明できますか?

……なかなか難しいですよね。 前者は個々の動作一つ一つを表すのですが、後者はactの集合体、より複雑な行為のことを指すんだとか。(参考:英単語用法メモ

badge_columns_1001711日本でもできるグローバル化対策

ここで述べてきたことは、英語学習を否定するわけでは決してありません。 円滑なコミュニケーションには英語学習が必須でしょうし、洞察力と想像力だけで海外営業が成功するとも思えません。

しかし、日本語を母語とする人が英語を完璧に習得するにはかなりのリソースを割かなければならないこともまた事実です。 あまりに過大評価しすぎて、他の重要なスキルとのバランスを欠いてしまっては本末転倒ではないでしょうか。

言うまでもなく、言語は何かを感じ取り、伝えるためのツールです。自分とは異なる文化、異なる背景の人々の状況を理解するためにあります。 そのためには、想像力や洞察力もまたたいせつですね。

これは別に、「グローバルな環境」でなければ培えないスキルではありません。わざわざ海外に出なくとも、いま身の回りにある人たちとの関係のなかで「自分と異なる人」の気持ちを配慮し、知ろうとする努力はできるはずです。

まずは身近なところから、グローバル人材への訓練を初めてみてはいかがでしょうか。

(参考)

t-news web「日本と違うことだらけ!留学先で困ったことランキング」 東洋経済オンライン「英語が話せなくても、問題ない時代がくる」

 


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福田伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。

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