“時短” で効率が上がるとは限らない? トップ5%社員が自然にやっている「時間術」の超基本

越川慎司さんインタビュー「トップ5%社員がやっている『時間術』の超基本」01

人手不足によりビジネスパーソンひとり当たりの仕事量が増加していると言われる昨今、それにともなって労働時間の増加も大きな問題となっています。社会人にとって、いかに効率的に仕事を進めて労働時間を減らすのかは大きな課題のひとつでしょう。

延べ17万3,000人のビジネスパーソンの行動分析を行なってきた、株式会社クロスリバー代表取締役の越川慎司(こしかわ・しんじ)さんが提唱する、「時短術ならぬ時間術」の基本を解説してもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹

より重要なのは、「時短術」ではなく「時間術」

コロナ禍以降、テレワークが急速に広まりました。その弊害のひとつに、労働時間の増加が挙げられます。自宅でのテレワークではオンとオフをはっきりと分けづらいですし、ビジネスチャットツールなどによっていつでも連絡がとれてしまう。そうしてダラダラと仕事をしてしまうために、労働時間が増加しているのでしょう。

私が、『トップ5%社員の時間術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本を書いたことの背景にも、この労働時間の増加という問題があります。

ただし、注意してほしいのは、私が提案しているのは「時間術」であって「時短術」ではないということ。時短術とは、たとえばこれまで60分かかっていた作業を40分で終える方法といったものです。対して、私が言う時間術は、「その作業はそもそも必要なのか」「自分ひとりでやらないといけないものか」「そもそもゴールはなんなのか」といったことを考えるところにポイントがあります。

ある作業をできるだけ早くこなすという時短術も、労働時間を減らすためにはもちろん重要なものです。しかし、その作業がそもそも必要ないものだったとしたらどうでしょう? いかに時間をかけずにこなしたとしても無駄な作業をしているに過ぎず、その作業自体をなくすことのほうがよほど多くの時間を節約することができます。

越川慎司さんインタビュー「トップ5%社員がやっている『時間術』の超基本」02

時間術のスタートは、「仕事の棚卸し」

私が経営する株式会社クロスリバーでは、クライアント企業に勤める「トップ5%社員」と「残り95%の社員」の行動分析をしています。「トップ5%社員」とは、その企業が戦略的に育成しようとしているいわゆる幹部候補生です。その分析を通じて、クライアント企業の生産性を高めて成長を支援しているのです。

そのなかで、優秀なトップ5%社員が行っている時間術というものも見えてきました。それこそがまさに、「その作業はそもそも必要なのか」と考えることであり、そのスタートは「仕事の棚卸し」です。

すべてのビジネスパーソンは、いま自分がやっている仕事を無駄だと思っていません。しかし、そんな仕事のなかにも残念ながら必要がない無駄なものもあります。それに気づけないのは、じつは当然のこと。なぜなら、無駄かどうかはあとから振り返ったときに初めてわかるものだからです。

トップ5%社員は、1週間のうち15分ほどのわずかな時間であっても週に1回は必ず自分の仕事を振り返っています。そうして、「今週は会議が多かったな、どうしてだろう?」「同じ人と2回もミーティングをしている」「この会議は発言しない人が多かったし、やらなくてもよかったかもしれない」というふうに、内省を通じて改善点を見つけるのです。

この仕事の棚卸しをする場合とそうでない場合では、その後の労働時間に大きな差が生まれることは言うまでもないでしょう。棚卸しをしなければ自分の仕事の無駄に気づけないのですから、その後も無駄な仕事をし続け、時間を浪費し続けることになってしまうのです。

越川慎司さんインタビュー「トップ5%社員がやっている『時間術』の超基本」03

自分がやるべきことかどうかを選別する

また、トップ5%社員は、仕事を受けた時点でゴールを確認します。「この仕事は自分自身が個人でやるべきことなのか」「まわりの人を巻き込んでやるべきことなのか」「それとも誰かに任せるべきことなのか」と考えてから作業をするのです。

「まわりの人を巻き込んでやるべきこと」という多くの労力を必要とされる仕事をひとりで始めてしまうと、多くの時間を費やすことになります。あるいは、スキルや経験が不足しているなどして自分が適任ではない「誰かに任せるべきこと」に自分で取りかかれば、それこそ多くの時間が必要となるでしょう。そんなことにならないよう、事前に選別をするわけです。

そうして、「これは自分がやらなければならないことであり、必ず成果につながること」が残りました。そこでようやくいわゆる時短術を活かす場面が訪れるのです。

多くの人は、いまお伝えしたような最後のステップからいきなり始めてしまいがちです。ビジネスシーンにおいては「生産性を高めるべき」「効率を追求すべき」ということがよく言われることも、その要因となっているのでしょう。

しかし、繰り返しになりますが、「そもそも必要のないこと」や「自分がすべきでないこと」をいくら短時間でこなそうとしたところで、それこそ生産性や効率を低下させることになってしまうのです。

越川慎司さん

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【プロフィール】
越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー代表取締役、アグリゲーター。株式会社キャスター執行役員。1996年にNTTに入社、外資企業やベンチャーを経て、2005年、マイクロソフトに入社し、業務執行役員などを経験。2017年、クロスリバーを設立。全メンバーが週休3日・複業で、オンライン講演や講座を提供する。ベストセラーとなった『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書19冊。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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