休日勉強の効率も成果もアップする「理想のスケジュール」。最大のコツは “午後の〇〇” にあった

休日に勉強している女性

忙しいビジネスパーソンなら、休日は勉強に時間を割ける絶好のチャンス――しかし、「集中力が続かない」「効率的な勉強の流れがわからない」と悩んではいませんか?

今回の記事では、休日勉強で成果を出すための「理想のスケジュール」をご紹介。筆者が実践して感じた効果もあわせてお伝えいたしましょう。

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

休日の勉強を効率化する理想のスケジュールとは

限られた休日で効率よく成果を出すには、どのような流れで勉強するのが好ましいのでしょう? 見識者の見解をふまえてご提案します。

1.<休日の前夜>:暗記学習をする

休日にしっかり勉強したいのなら、まずは前日の就寝前に「暗記学習」をするのがベストです。東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之氏によると、「海馬はその日入力された情報を睡眠中に整理し、保存する」とのこと。(カギカッコ内引用元:日本経済新聞|脳のパフォーマンス最大に 脳医学者お薦めの勉強

つまり、夜の時点ではバラバラの状態だった情報が睡眠を挟むと整理され、記憶定着がスムーズに進むというわけです。

ポイントは、「暗記した後にすぐ眠る」こと。瀧氏は、暗記のあとにほかの情報が入ってしまうと「記憶の撹乱(かくらん)」が起きると述べます。(カギカッコ内引用元:同上)

ほかの情報に邪魔されないよう、インプットしたらすぐ寝るのが鉄則。就寝前に参考書や単語帳をぱらぱらと見たらベッドに入り、明日の勉強に備えましょう。

2.<休日の朝>:朝散歩をして脳を活性化させる

脳のパフォーマンスを高めるために、朝は散歩をしてリラックスしましょう。精神科医の樺沢紫苑氏が推奨する「15~30分の朝散歩」は体内時計をリセットし、脳の集中力を高めてくれます。

その鍵となるのが、「覚醒、気分、意欲と関連した脳内物質」である「セロトニン」の役割。

セロトニンが活性化すると、清々しい気分となり、意欲がアップし、集中力の高い仕事ができます。

「朝日を浴びる」「リズム運動」が含まれる朝散歩は、セロトニンを十分に活性化できるのだそう。

(以上カギカッコ内および枠内引用元:ダイヤモンド・オンライン|精神科医が「絶対にやるべきだ」と断言する朝のベスト習慣――ストレスフリーに生きる方法【書籍オンライン編集部セレクション】

つまり、一日のパフォーマンスが上がるわけですね。なお、樺沢氏によると「散歩中はリスニング勉強や音楽などの雑音を入れない」のがベター。セロトニンの働きを促すためには、朝散歩の「リズムに集中する」いわゆる “マインドフルネス” の状態が好ましいそうですよ。(参考:精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル|脳を活かす! 朝の最も効果的な勉強法【精神科医・樺沢紫苑】

朝の風の匂いや葉擦れの音を感じながら、リラックスして歩いてみてくださいね。

散歩をしている女性

3.<休日の午前>:前夜の復習→アウトプット中心の勉強をする

午前中は脳の「ゴールデンタイム」とも呼ばれる時間帯。うまく活用するための流れは「前夜の復習→アウトプット中心の勉強」です。

学習事業を展開する森大輔氏は、朝の勉強は「前日の夜とセットで考え」ることを推奨しています。つまり、前日夜に暗記をしたら、朝はそのチェックを行なうのが好ましいのです。一方、朝に新たな暗記学習に取り組むのはNG。一日を過ごすなかで「多くの新しい情報が積み重なり、夜寝る段階で既に記憶の外に追いやられ」る可能性があるからなのだそう。(カギカッコ内引用元:All About|「朝学習」のススメ!朝は勉強のゴールデンタイム

軽く前夜の復習をしたら、午前中の残りの時間で脳に負荷のかかる「アウトプット」中心の勉強をするのがおすすめです。森氏いわく、頭がさえている午前は「思考力や創造力」を使うのに適した時間帯だとのこと。(同上)

たとえば資格の勉強では、「参考書を読み通す」のみではなく、

  • 問題集を解く
  • 自分の言葉で概要をまとめる
  • 自分で簡単な小テストを作成・解く

などの思考力を活用する勉強法を取り入れ、インプット作業は午後に回しましょう。

4.<休日の午後>:目を閉じて休憩する

午前と比べ、午後からの勉強は集中力が低下するもの。そこで、目を閉じてぼーっとする休憩を取り入れてみてはいかがでしょう。

耳鼻咽喉科専門医の梅岡比俊氏は、目を閉じるときの脳の働きについて以下のように説明しています。

シータ波と呼ばれるリラックスした状態のときに出る脳波があるのですが、このシータ波は目をつぶっているときのほうが出てくるといわれているんです。目を閉じることは脳を休めることになるので、リラックス効果があるといえますね

(引用元:FYTTE|ドクターが解説! 目を閉じるだけで睡眠不足を補える!? 睡眠の質を上げるヒント

しかし、あれこれ考え事をしている状態では、脳は休まりません。梅岡氏によれば、「何も考えず、ぼーっとしている」状態が理想的なのだそう(引用元:同上)。マインドフルネス瞑想と近いイメージですね。

加えて、「目を閉じて休む」行為には、記憶の定着率を高める効果も期待できます。スコットランドのエディンバラ大学の研究報告(2012年)によると、学習後に10分間「覚醒状態」で「目を閉じて休む」と記憶定着率が10%向上したのだそう。(参考:Sage Journals|Brief Wakeful Resting Boosts New Memories Over the Long Term

同様の研究を13〜14歳の子どもを対象に行なった心理学者らの見解では、「記憶は学習後にほかの情報によって妨害されやすい」とあります。(参考:National Library of Medicine|Post‐encoding wakeful resting supports the retention of new verbal memories in children aged 13–14 years

つまり、学習したあと目を閉じてほかの情報を遮断すれば、学習内容が記憶されやすくなるというのです。睡眠のようにまとまった時間がとれなくとも、10分の休憩で記憶定着率を上げる効果があるとは意外ですね。

まとめると、目を閉じてぼーっとする休憩を取り入れると、脳の疲れを癒す効果があるほか、勉強したことが記憶に残りやすくなるということ。このメリットはあなどれません。集中力と記憶力を高めるために、試してみる価値があるのではないでしょうか。

目を閉じて休憩する女性

理想のスケジュールで一日勉強してみた

筆者も「理想のスケジュール」の流れを意識し、休日の前夜、そして休日の朝から夕方まで勉強してみました。その過程と効果を共有したいと思います。

1.<前夜>22:45〜23:00

休みの前日の夜は、簡単な暗記学習を15分ほど行ないました。内容は、英単語100語に目を通す、形容詞、副詞、名詞など品詞の形を覚えるというもの。暗記学習を終えたらSNSなどはチェックせず、すぐベッドに入りました

2.<朝>7:30〜8:00(6:45起床)

晴れた空の下で、朝散歩をしました。何も考えず、歩道に植えられた木の緑や空の色、建物のデザインなどを眺めると清々しい気分に。通常なら朝は頭がぼーっとしてしまうのですが、日差しにさらされながら歩くと目がさえて思考がクリアになる感覚がしました。

3.<午前1>8:30〜8:45

最初に取り組んだのは、前夜の復習です。試しに単語テストをしたところ、前夜で初見だった単語30語を正答することができました……! 筆者は暗記に苦手意識を感じていたため、この結果は驚くべきもの。学習における睡眠の重要性を感じました。

4.<午前2>8:45〜11:00

午前中は、主に「アウトプット中心」の勉強を実施。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 文法問題を50問解く
  • 英文ニュース記事、論文などを文法構成を考えながら音読する
  • リスニング15分

通常なら、文法問題は20~30問ほどで中断してしまう筆者。しかし、朝散歩の効果か、集中力が長く継続し、50問も解いても疲れを感じませんでした。英文記事、論文に目を通したあと、インプットの勉強(リスニング)をして午前の勉強は終了。

5. <午後>13:00〜15:00

午後はインプット――読書の時間です。脳科学の知見を深めたいため、詳しく書かれている書籍を選びました。難しい語句に目が滑るようになったら、10分間の休憩。休憩中はアイマスクをして横になったり、呼吸に意識を向けたり。休憩は40分に1回ほどの間隔で行ないました。

10分の休憩を挟んだだけでも、目の疲れが癒されるのを感じました。集中力も復活し、再び文章を理解しながら追えるように。目を閉じて休むことは、“勉強の疲れ” を残さないための最適な休憩法だと思います。

ある休日の筆者の勉強スケジュール

(こんな流れで勉強してみました)

休日の勉強効率を高めるコツ

平日とは違い、長時間勉強できるのが休日勉強の利点。一方で、休憩をとるタイミングを忘れがちです。

前出の樺沢氏いわく、「脳をリセットするためには、細かく休憩をいれ」る必要があるのだそう(カギカッコ内引用元:TOWN WORKマガジン|集中力の限界は90分? 集中できないときに試したい効果的な休憩方法と勉強法)。

ですので筆者は今回の実践で、集中力が落ちたと感じるたびに目を閉じて10分の休憩をとるよう意識しました。その結果、集中力が持続したほか、頭痛や目の疲れなどの “勉強による疲れ” を以前ほど感じなくなったのです。

みなさんも、勉強時間が長くなるほど、こまめに休憩を挟んで “脳の疲れをリセットする” のを念頭に置いてみてください。

また、飽きたと感じたときには勉強内容を変えてみるのもポイント。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏によれば、「"飽きる"のは脳が疲弊している警告のサイン」。集中してひとつの勉強に取り組むと、「脳の一部が酷使され、活性酸素が発生」するのだそう。(カギカッコ内引用元:日本経済新聞|すべての疲れは「脳の疲れ」 脳疲労をためない新習慣)この状態に耐えられない脳が “飽きた” と指令を出すわけですね。

梶本氏がすすめる改善策のひとつは、飽きたら小休止して「別の作業」をすること(同上)。今回の実践では、筆者も英語の勉強内容を3パターン用意しました。英語という同じ科目でも、「飽きた」と感じたときには変化をつけることで通常より長く集中力を継続できました。長時間の勉強をする場合は、内容を変えて刺激を受けることが大切です。

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今回紹介したスケジュールを参考に、「休日勉強」を最大限活用してみてくださいね。

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