「学習計画を立てても、思うように進まなくて完遂できない」
「つい勉強スケジュールを忘れてしまう」
このような悩みがある人は、マインドマップを使ってみませんか?
今回は、マインドマップを活用した学習計画の立て方とそのメリットをご紹介します。筆者の実践例も参考にしてみてくださいね。
学習計画を「マインドマップ」で立てるメリット
マインドマップで学習計画を立てるメリットを2点ご紹介しましょう。
1. 全体像をつかみやすい
1点めは、学習計画全体を俯瞰できることです。
マインドマップといえば、テーマに関する情報を1枚の紙にまとめるのが特徴。この、テーマの全体像がひとめでわかるという利点が、学習計画においても役に立つのです。
マインドマップを考案したイギリスの心理学者、トニー・ブザン氏によれば、一日の予定をマインドマップに書くと、次のメリットが得られるそうです。
マインドマップに「やること」がかいてあれば、「次に何をしようか」とそのつど考える時間の無駄を減らせる。また、期限に照らして「やること」を見直し、時間内に完了可能な作業と無理なものを現実的に見極め、仕事の優先順位を決めることができる。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|iMindMapで一日の予定を立ててみよう)※太字による強調は編集部にて施した
上記は仕事の計画術について言及したものですが、学習計画にも同じことが言えるのではないでしょうか。
なお、勉強において「全体像をつかむ」のはとても大切なこと。税理士などの資格をもち資格勉強法に詳しい石川和男氏は、
試験日までに行うと決めたことを全て書き出し、全体像を俯瞰してみることが、合格への一番の近道なのです。
(引用元:リクナビNEXTジャーナル|資格を取る!と決めたら、こう計画せよー「資格の大原」講師が熱弁)※太字による強調は編集部にて施した
と述べています。
試験日までの日数、勉強すべき試験範囲という全体像をマインドマップに書きながら、現実的な計画を立てましょう。「試験日までに勉強が終わらなかった」といった事態を防げますよ。
2. 計画を具体化しやすい
2点めのメリットは、計画を十分に具体化できること。
マインドマップでは、「ブランチ」という線を伸ばしながらテーマについて具体化していきます。勉強計画で言えば、「何を」「どのように」学習するのか詳しく書き出していくのです。
そのようにして書き出していった内容は、おのずと、細かく分解された、具体的ではっきりしたタスクになっていきますよね。これが大事なポイント。
習慣化コンサルタントの古川武士氏は、先延ばしせず行動するには「チャンクダウン」が有効であるとしています。
「曖昧さ、複雑さ、予測不能さ」は、恐怖・不安といった感情を高めて、行動を阻むものです。そこで有効な思考習慣が、「チャンクダウン」なのです。チャンクダウンとは、ものごとを「具体化」「明確化」するということ。
チャンクダウンにより、行動の「明確さ、単純さ、見える化」が実現することで、心理的な負荷が一気に下がります。
(引用元:STUDY HACKER|「先延ばし癖」どうすれば解消できるのか? “すぐやる” ための『3つの習慣』)
つまり、タスクが曖昧なままだと行動しづらいけれど、はっきりさせれば行動しやすくなるということです。
たとえば、「今週はテキストをしっかり読む!」といった計画を立てたとしましょう。“しっかり” という曖昧な言葉では、1日何ページ読むのか、またどのように読み進めるのかわからないもの。「面倒だな」「まだ時間があるな」などと考えて先延ばしかねません。
マインドマップの枝を伸ばしながら、「月曜日は10~15ページを読む。火曜日は……、水曜日は……」のようにタスクを分解していけば、先延ばしせず勉強へ取り組めるはずです。
マインドマップで、泉鏡花の短編集読破に向けた学習計画を立ててみた
今回筆者は、ブザン氏公認のマインドマップインストラクター・塚原美樹氏が「マインドマップの学校|マインドマップで試験勉強 No.11 「週間学習計画に落とし込む」」で教える方法を参考に、「泉鏡花の短編集1冊を1か月で読破する」という計画を、マインドマップを活用して立ててみました。
日本文学の勉強のため、日頃からいくつかの作品を読んでいる筆者。1か月に1冊のペースを目標にしているものの、仕事で疲れて本に手が伸びなかったり、作品が思いのほか難しい内容でつまずいたりして、読破するのに時間がかかりがちでした。そんな状況は改善できたのか……? マインドマップの作成過程とともにお伝えしましょう。
用意したのは、A4サイズの無地の紙とカラーペン。ペンは、5色ほどそろえました。内容によって色を分けるとそれぞれのまとまりがわかりやすくなると、塚原氏が示していたからです。
まずは、中央のセントラルイメージから書き始めます。セントラルイメージとは、目標やテーマを書く場所。筆者の場合は、イラストと文字で「短編集読破」と書きました。ひとめでわかるよう、大きくカラフルに描くのがポイントです。
次に、セントラルイメージからブランチを伸ばし、1週間ごとの日付(例:9/19~9/25)を書きました。今回は1か月の計画なので、ブランチは4本。1週間ごとのまとまりが分かりやすくなるよう、色を分けました。また、外側に行くにつれ計画が具体化していくことを示すため、ブランチはだんだん細くなるように書いています。
そして、各ブランチをさらに伸ばしていき、短編集のどの作品を読むのかを書きました。もうひとつ外側のブランチには、その作品のページ数も記入しています。
最後に、1日何ページ読むのかを決め、さらに外側へ伸ばしたブランチへ記入。1日あたりのページ数は、「ページ数÷7日」で計算しました。
こうして、完成したマインドマップがこちらです。
マインドマップの学習計画で実感した、ふたつの効果
実践してみて感じた変化と提案したいことを、以下に示します。
1. 勉強へのハードルが下がり、コツコツ着実に進められた!
特に大きな効果として得られたのは、計画した日々のページ数を、コツコツと継続的に読み進められたこと。これは、勉強内容と所要時間を十分に具体化したからだと考えています。
これまでは、計画を「1か月に1冊本を読む」というように漠然としか立てていなかったため、1日にどのくらい読めばよいのかわからず、かかる時間も不明確でした。そのせいか「仕事が忙しいからまた明日……」「まとまった時間がある日に読もう」などと理由をつけて、先延ばしにしてしまうことも。
ところが「1日〇ページ」と計画を具体的に立てると、所要時間もわかりやすくなり、仕事の合間や寝る前などに勉強を取り入れられるようになりました。「7ページくらいなら読めるな」と、勉強への心理的なハードルも下がったのです。
2. 急な予定変更があっても、計画を柔軟に調整できる!
マインドマップで学習計画を立ててみると、前出のブザン氏の言葉にあったように全体像を把握しやすくなったため、計画を柔軟に調整できると感じました。
「1か月で読破する!」という目標に対する現在地がすぐわかるのは、大きなメリットだと思います。急な予定変更があっても、残りの日数から逆算してすぐ調整できるので、安心して勉強に臨めます。
筆者が今回行なったような期限がない勉強は、期限がないからこそ計画通りに実行するのは難しいもの。本を読みたい、知識をつけたい、といったときに、ぜひマインドマップを活用してみることをおすすめします。もちろん、期限が決まっている試験勉強の計画を立てるのにも適しているはずです。
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勉強計画を立てても思うように進まず悩んでいる人は、計画を立てる手段を一度見直してみましょう。意外にもマインドマップを使えば、勉強がはかどるようになるかもしれませんよ。
(参考)
マインドマップの学校|マインドマップはなぜ役立つ?
ダイヤモンド・オンライン|iMindMapで一日の予定を立ててみよう
リクナビNEXTジャーナル|資格を取る!と決めたら、こう計画せよー「資格の大原」講師が熱弁
STUDY HACKER|「先延ばし癖」どうすれば解消できるのか? “すぐやる” ための『3つの習慣』
マインドマップの学校|マインドマップの書き方・描き方「6つの法則」
マインドマップの学校|マインドマップで試験勉強 No.11 「週間学習計画に落とし込む」
【ライタープロフィール】
藤真 唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいてわかりやすく伝えることを得意とする。