成功する人は「自己理解力」が高い。脳科学者が説く「77の動詞」から天職を見つける方法

やりたいことを見つけ仕事で成功しているビジネスパーソン

成功するビジネスパーソンとそうではないビジネスパーソン。両者を分けるものとはなんでしょうか。

たくさんありそうですが、脳科学者としての知見を活かしてうまくいく人とそうでない人の違いを研究する西剛志さんは、「自己理解力」を挙げます。自分を理解することで、いわゆる「ライフワーク」を見つけられるからだというのがその理由です。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

【プロフィール】
西剛志(にし・たけゆき)
1975年4月8日生まれ、鹿児島県出身。脳科学者、分子生物学者。東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年に世界的に成功する人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。うまくいく人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦まで1万5000人以上に講演会を提供。テレビやメディアなどにも多数出演。『認知バイアスの教科書』(SBクリエイティブ)、『世界一やさしい 自分を変える方法』、『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』、『脳科学者が考案 見るだけで自然に脳が鍛えられる35のすごい写真』、『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(いずれもアスコム)など海外も含めて著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

ライフワークにつながる7つの感情

「ライフワーク」とは、イェール大学などの研究では「コーリング(Calling)」と呼ばれます。「天から呼ばれる仕事(役割)」というのがその由来です。ライフワークが見つかると、仕事の先にある目的をしっかりと見据えられ、その目的達成に向かって「好き」という気持ちや自信をもってぐんぐん前進できるようになりますから、それだけ成功に近づけるのです。

では、そんなライフワークを見つけるにはどうすればいいでしょうか。いくつかの方法がありますが、ここでは「感情」にフォーカスする方法を紹介しましょう。そうすることが、自分を理解し、ライフワークを見つけられることにつながります。

日本には感情の種類を指す「喜怒哀楽」という言葉がありますが、そもそも感情にはどれくらいの種類があるのでしょう。カリフォルニア大学の研究チームは、称賛や憧れ、美しい、怒り、不安、畏敬、気まずさなどなど、じつに「27種類」もの感情があると示しています。

そして私は、約5,000人のライフワークについて調べるなかで27種類の感情を分類していき、次のような「ライフワークにつながる7つの感情」というものを導き出しました。

【ライフワークにつながる7つの感情】

  • 安心感
  • 好き
  • おもしろい
  • 知りたい
  • ワクワク
  • 役に立てる
  • フィット感

それぞれ読んで字のごとしですが、「フィット感」はイメージしづらい人もいるかもしれません。これは、頭で考えるのではなく、「なんだかわからないけれど、その仕事をしているとしっくりくる」といった感覚を指します。

自分にとって、これらのうち1つでも満たされる仕事であればやりがいを感じられるようになりますから、もし7つすべてが満たされるような仕事を見つけることができたら、このうえない幸せを感じられるでしょう。その仕事は、まさしく天職になり得ます。

ライフワークにつながる7つの感情について語る西剛志さん

どんな動詞(行動)が、「7つの感情」につながるかを探る

では、そのような仕事を見つけるにはどうすればいいでしょうか。その方法とは、「動詞(行動)」に注目するということ。なぜなら、あらゆる感情はなんらかの動詞(行動)の結果として生まれるものだからです。

そして、仕事とは動詞の塊です。たとえば、私の仕事には、人と「話す」、情報を「分析する」、クライアントを「導く/育てる」といった動詞が含まれます。これらをやることで、私は7つの感情を満たしているのです。

もちろん、同じ動詞(行動)をするにしても、そこから得られる感情は人それぞれです。たとえば、なにかを「つくる」ことで「ワクワク」する人もいれば、単純に「好き」と感じる人もいるでしょう。いずれにせよ、まずはあなたがどんな動詞(行動)を欲しているのかを探っていきましょう

ここで示すのは、「ライフワークにつながる77の動詞」の一部です。これらも、先に触れた約5,000人のライフワークについて調べるなかで導き出したものです。5,000人ですから、挙げてもらった動詞(行動)は膨大なものになりました。そのなかから、多くの人に共通するものとして77の動詞が重要であるとわかりました。今回はそのうち40種類の動詞をご紹介したいと思います。

【ライフワークにつながる77の動詞(一部)】

つくる 育てる 伝える 学ぶ 見つける(わかる) 変える 味わう きれいにする 巡る 増やす ねらう 癒やす 乗る 磨く 計画する 蹴る 教える 防ぐ(守る) 探検する 飲む 駆け引きする 組み合わせる(融合する) 表現する 狭める 導く 祝う(プレゼントする) 彫る なりきる 切る(わける) 読む 繰り返す 奏でる(弾く) 促す 明かす(解明する) シンプルにする(短縮する) 築く 話す 分析する 感じる つながる

7つの感情につながる行動について語る西剛志さん

いまの仕事に近いところでライフワークに出会えるケースもある

やり方としては、これらのなかから、自分が気になる動詞(行動)を選んでいきます。表にあるのは一部ですが、練習としてまずは、このなかで気になる動詞をいくつか選択してみてください。難しく考えず、単純に気になる、ピンとくるものでかまいません。そして、選んだ動詞を組み合わせて、楽しい、ワクワクする、安心できる、おもしろい、しっくりくる自分に合った文章をつくってみます

応用編として、下記の例のように、動詞に目的語なども加えてみると、よりわかりやすくなることがあります。上記の動詞のなかから「つくる、きれいにする、組み合わせる、感じる、つながる、癒やす、育てる」を選んだ人なら、こんな具合です。

シンプルなものを「つくって」、まわりも自分も「きれいになり」、複数のものを「組み合わせて」、新しいものを「感じて」、たくさんの人と「つながって」、自然に「癒やされ」、心を「育てる」仕事。

これは、実際に私のクライアントがつくった文章です。その人のライフワークとしては、薬膳に関する仕事、主に女性をターゲットとした漢方と美容をメインにした仕事、オーガニックの自然派化粧品に関わる仕事などが候補に挙がりました。

このようなかたちで動詞を並べるだけで、自分のライフワークの方向性を明確にできます。これらは、仕事を選ぶときの大きなヒントとなってくれるはずです。

ただ、ライフワークを生きるためには、転職や独立しなければいけないとは限りません。じつは、自分で気づいていないだけで、いまの仕事と近いところにライフワークを見つけられるケースもよくあります。

ある銀行員は、「教える」「育てる」のが好きな人でしたが、当時はそうするのが難しい事務の仕事をしていました。そこで、異動願いを出して社内の人材開発に携わるようになり、いまは生き生きと働いています。社内で異動するだけで仕事から充実感を得られ、成長できたのです。もしくは、サーフィンの好きな人が、湘南の海の近くで美容師をするなど、仕事だけでなく環境を工夫して動詞を満たしていくパターンもあります。

やりたいことを構成する「動詞」を理解すると、世界の見え方が変わり、意外なところにライフワークを発見できるようになります。自分を知ることが、やりたいことを見つける近道になるのです。

天職を見つける方法について語ってくださった西剛志さん

【西剛志さん ほかのインタビュー記事はこちら】
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