京大式カード

京大式カードとは

京大式カードとは、情報を書き込むためのB6サイズのカード。情報を書き込んだものを蓄積することでカード型のデータベースを作ることを前提としたものであり、研究や論文作成のために使われるほか、アイデアの発想や読書記録、勉強などに用いられる。

京大カード、京大型カードとも呼ぶ。

京大式カードは、民族学者・情報学者で京都大学名誉教授であった梅棹忠夫氏(1920-2010)が、知的生産の実践的技術を提案した著書『知的生産の技術』(1969年、岩波書店)の中で紹介し、これがベストセラーとなったことがきっかけで有名となったものである。

京大式カードが知られるようになる以前、情報カードは明治時代に輸入品として日本に入り、一辺が10cm~20cm程度の数種類の情報カードが、大学や研究所などで研究のために使われていた。梅棹氏も、自身の研究の中で、膨大な情報をカードを用いて整理していた。

その情報整理法が研究仲間らの間で洗練されていき、梅棹氏は自身の設計によるB6サイズのカードを文具店に発注。その後、梅棹氏が『知的生産の技術』においてB6サイズの情報カードが便利であることを紹介すると、研究者以外の人にも、情報整理の方法として実践されるようになった。

現在では、文具事務用品メーカーのコレクトが、京大式カードを販売している。

京大式カードはアナログな情報整理術ではあるが、デジタルな情報蓄積が当たり前となっている現在でも、研究のための情報整理、読書記録の蓄積、またはそれらを通したアイデアの発想に有用であるとして、注目され続けている。また、京大式カードを資格試験や大学受験などの勉強に活用するケースも見られる。

梅棹氏が提唱した京大式カードのメリット

手帳評論家で、手帳術にまつわる著書を数多く出版している舘神龍彦氏は、梅棹氏の提唱した京大式カードについて次のようにまとめている。

使い方のポイントは以下の3つ。
1. 常に携帯し、気付いたことがあればメモする
2. 1枚に1つの情報を記録する
3. ときどき見直し、カード同士の関係から再発見をする
――ということである。携帯するツールでなんでも記録するわけだ。

(引用元:ITmediaエンタープライズ|元祖ライフハック! 梅棹忠夫の京大カードは現代でも通じるか

また舘神氏は、デジタルな情報管理術がなかった当時、京大式カードによって以下のようなことが可能になったことは、非常に画期的なことであったと解説している。

京大カードは、それまで綴じたノートに記録していた各種情報を、時系列的な秩序から解放した。そのことで、情報の蓄積と情報相互の組み合わせが可能になった。
(中略)
京大カードは、情報を文字通りつかんだり重ねたり、組み合わせたり、場合によっては捨てたり破ったりすることができる。
(中略)
手でつかんで、並列したり組み合わせたりを、事と次第によってはテーブルいっぱい、床いっぱいを使ってできる。これが京大カードを含む各種情報カードの大きなメリットではないだろうか。

(引用元:同上)

京大式カードの活用法

京大式カードは、読書記録や勉強にも活用することができる。

例えば読書においては、読んだ本の内容や意見をカードに書き溜めておく。同じ分野の本に関して記録したカードを複数枚集めて並べてみれば、その分野の理解を深めたり、自分なりの意見を持ったり問題提起を行ったりすることができる。

勉強においても、京大式カードは有効活用できる。

精神科医で、受験勉強術に関する著書も多い和田秀樹氏は、京大式カードは単語カードのように小さいものではなくB6という少し大きめなサイズである点にメリットがあると述べている。そのうえで、以下のように、京大式カードになるべく多くの情報を書きこみ、勉強に活用することを推奨している。

カードの効用は、憶えたことと憶えられないことを明確化することにある。たとえば、私は何度も辞書でひいた熟語や、どうしても憶えられない数学の解法などをカード化しておいた。こうすれば自分の暗記していないことがらがはっきりするわけだ。そして、このカードを四六時中持ち歩いて、内容を暗記してしまう。
(中略)
そして内容を憶えやすくするために、周辺の情報をなるべく多く書きこむといい。たとえば、私は英単語を辞書で引いたときは、例文までかならず書きこんでおいた。

(引用元:和田秀樹(2002),『難関大学も恐くない 受験は要領 たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ』, PHP研究所.)

(参考)
Wikipedia|京大式カード
ITmediaエンタープライズ|元祖ライフハック! 梅棹忠夫の京大カードは現代でも通じるか
NIKKEI STYLE|梅棹さんから不屈の精神を学びたい ピンボケおやじ記者が行く
シゴタノ!|思考とツールのサイズ 〜『知的生産の技術』より〜
ZDNet Japan|仕事の中で自分を表現するための7つの発想
和田秀樹(2002),『難関大学も恐くない 受験は要領 たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ』, PHP研究所.
和田秀樹(2002),『受験は要領 テクニック編「参考書は何をどう使うか」から、効率のいい勉強法・生活術まで』, PHP研究所.

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