藤井聡太 幸運を幸運のままで終わらせない 運の活かし方こそが成長の行方を決める【棋士たちの言葉 第4回】

勉強や仕事の成果があらわれるのはもちろん普段の努力によるものですが、それに加えてときに「運」がその結果を左右します。そして、そうした運をどのように捉えるかによって、今後の成長が左右されるといっても過言ではありません。

今回は、棋士の藤井聡太さんがある対局で奇跡的な勝利を挙げたときのコメントとともに、結果を出し続ける人の運の捉え方についてご紹介します。

【格言】 僥倖(ぎょうこう)としか言いようがない

将棋界で伸びる若手には、謙虚なタイプが多い。「将棋史はじまって以来の天才か」と言われる藤井聡太六段も、内には強烈な闘志を秘めているものの、普段の対局態度は将棋界の王道を歩む者らしく、じつに礼儀正しい。藤井は強敵の澤田真吾六段に「必至」(※)をかけられたのちに大逆転勝ちを収め、デビュー以来無敗の20連勝を達成した。そしてその直後のインタビューでは、こう発言している。「自分の実力からすると、僥倖としか言いようがないと思います」

僥倖とは、思いがけない幸運のことである。将棋界の外では、福本伸行の漫画『賭博黙示録カイジ』くらいでしか見かけない言葉だろう。「ラッキーでした」と言っても意味は同じだ。しかしそこは、将棋界の伝統のうえで王道を歩む者らしい言葉遣いをしている。

「誰にとっても、何度かは僥倖は訪れるもの」と木村義雄十四世名人は記している。ただし、それを自身の成長に結びつけられるかは、その人間の心構えによるものが大きい。藤井の29連勝という記録は、実力なくしては達成できないものだが、とはいえ、そこにはやはり幾分かの幸運もあっただろう。

それを藤井がこの先の棋士人生で生かせるかどうか。ファンは期待を込めて見守っている。

※必至 詰まされたら負けとなる「玉」が、次に王手をされると詰んでしまい、さらには受けがない状態のこと。相手玉に詰みがなく、自玉に必至をかけられたら9割9分は負けだが、ごく稀に相手玉に王手をかけているうちに、自玉の必至がほどける場合もある。藤井は連勝中、そうした奇跡的な勝ちを収めた。

*** どの分野でも一流と呼ばれる人ほど、その言動は謙虚なものです。厳しい世界に身を置いているからこそ、自身の足りないことを思い知り、つねに他者から学ぼうとする姿勢が強いのでしょう。

「奢れるもの久しからず」。いったん手に入れた地位や名声を振りかざす人は、そこから転落するのも早いものです。つねに向上心を忘れず、運を味方につけながら、自分なりの高みを目指していきたいものですね。

【棋士プロフィール】 藤井聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市に生まれる。12年、杉本昌隆七段門下。15年、小学校6年生のときに史上最年少で詰将棋解答選手権優勝(以後3連覇)。16年、史上最年少の14歳2カ月で四段昇段。17年、デビュー以来無敗で公式戦29連勝の新記録を達成。現在における将棋ブームを巻き起こした。

 

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