公式戦での史上最年少優勝や公式戦29連勝などの新記録を打ち立て、将棋界に彗星のごとく現れた棋士・藤井聡太さん。天才たちがひしめく棋界において快進撃を続ける藤井さんは、毎回の戦いになにを考え、どのような姿勢で挑んでいるのでしょうか。
今回は、成長著しい藤井さんを駆り立てる、勝負に対する飽くなきモチベーションの源泉に迫ります。
【格言】 どこまでも強くなりたい
将棋界の天才たちは、なにをモチベーションとして強さを身につけ、伸ばそうとしているのだろうか。ゲームとしての将棋に比類なき面白さを見出すこと。そして誰よりも負けず嫌いなこと。もしこのふたつが大きな資質だとしたら、新時代の天才である藤井聡太六段は、そのどちらをも兼ね備えている。
藤井は6歳のとき、「おおきくなったらしょうぎのめいじんになりたいです」と目標を立てた。小学校4年生のときには、クラスの文集に「名人をこす」と記した。そして迎えた2016年、中学校2年生のときには史上最年少でプロ棋士になった。そのときの夢は、「どこまでも強くなりたい」とシンプルだ。そして早くも、数々の最年少記録を更新しつつある。
18年4月の時点で、藤井はまだ高校1年生。謙虚で大人びて見える少年は、幼いころから変わらず高い志を持って将棋に取り組んでいる。将棋400年の歴史において、多くの人から史上最強と目されているのは、現代を生きる羽生善治である。羽生と藤井とが同時代に相まみえることになったのは、大変意義深いことだ。
18年2月、藤井は羽生との公式戦初対局で歴史的な勝利をあげた。さらにはこの先、羽生が築き上げてきた、途方もないような実績を超えられるのか。天才少年の今後の行方からは当分目を離すことができない。
*** 藤井さんの原動力は、「強くなりたい」というシンプルながらも強烈な勝利に対する思いでした。いま自分がしていることに面白さを見出し、集中すること。それをどこまでも追い求めること。その姿勢を通じて、わたしたちにまっすぐな生き様を見せてくれます。
こうしたものごとに向かう「あり方」は他のどんな分野にも通じるからこそ、将棋ファンのみならず多くの人たちが、弱冠15歳の少年の動向から目が離せないのでしょう。
【棋士プロフィール】 藤井聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市に生まれる。12年、杉本昌隆七段門下。15年、小学校6年生のときに史上最年少で詰将棋解答選手権優勝(以後3連覇)。16年、史上最年少の14歳2カ月で四段昇段。17年、デビュー以来無敗で公式戦29連勝の新記録を達成。現在における将棋ブームを巻き起こした。
