英語学習には “最短ルート” が存在する。第二言語習得研究にもとづく「効率的な英語の学習順序」3ステップ

英語学習には “最短ルート” が存在する。第二言語習得研究にもとづく「学習ロードマップ」8つのフェーズ

「英語学習に挑戦したいが、まず何から始めればいいのかわからない」
「英語の勉強をしているものの、正しく進められているか自信がない」
そうお悩みの方はいませんか?

単語・文法・リスニング・リーディング・スピーキング・ライティング...... ひとくちに英語学習と言っても、やるべきことはたくさん! どれから手をつけていいのか判断がつかず、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。

いったい何から、どんな順序で進めていくのが最も効果的なのでしょうか?

そんな疑問を解消すべく、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でトレーナーとして活躍する “英語の専門家” 高橋秀和さんにお話をうかがいました。

英語学習の “近道” と “遠回り”――命運を分けるのは?

「英語と言えば文法だ」
「大切なのは英単語」
「話せないと意味がない」
効果的な英語学習について、世間ではさまざまな議論が繰り広げられています。結局のところ、何を重視すべきなのだろう......そう迷ってしまうことはありませんか?

戸惑うのも無理はありません。英語を学ぶうえで文法を避けられないのは本当ですし、語彙知識が重要なのも確かです。さらに実用的な英語力を身につけたい方は、実際に話せるレベルにまで持っていく必要がありますね。

大切なのは、それらの学習を「いつ」「どんな順番で」行なうかということ。学習者の課題に合わせ、正しい順序で学ぶことが、英語学習成功の鍵を握るのです。

立命館大学大学院 言語教育情報研究科の田浦秀幸教授は、「適切な順序と、その時々の課題に応じたトレーニングの内容というものがある」としたうえで、次のように語っています。

英語力の向上のためには、「現在の英語力はこんな風で、目的はこんなこと、そのためにはこの方法が最も効果が上がるだろう」という、とても個別的なものです。

英語をこれから始めるような初心者の方と、大学受験でしっかり勉強をして、文法的な基礎や一定のリーディングの能力があるという方では、当然トレーニングの内容は違ってきます

(引用元:田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版. ※太字は筆者が施した)

たとえば、中高で学んだ英語の知識をほとんど忘れてしまっている人は、文法や語彙の欠如という課題があるため、基礎から学び直す必要があります。

一方、大学受験を通して文法や語彙をある程度身につけており、ゆっくり読めば理解できるという人は、読むのに時間がかかるという課題を抱えています。そこで、英文をすばやく読む練習のような、実技的なスキルのトレーニングを行なうと効果的です。

あなたは今どのような学習フェーズにいて、どんな課題を抱えているのか。これを明らかにし、今の自分に最適なアプローチを実践することで初めて、英語学習の “近道” を進むことができるのです。

【効率的な英語の学習順序】3つのステップ

あなたが取り組むべき課題は何か?
今のあなたの学習フェーズはどこか?
これらを見定め、課題解決に有効なアプローチを行なうためには、言語習得についての知識が必要です。

そこで役立つのは「第二言語習得研究」という言語科学の一分野。母語ではない言語を習得するメカニズムとプロセスを明らかにする学問で、世界中で研究が行なわれています。

個々の課題や学習フェーズごとにそれぞれのアプローチは細かく分けられますが、まずは第二言語習得研究の知見にもとづき、学習順序の大筋となる3つのステップをご紹介しましょう。

  1. 基礎知識(文法・語彙)
  2. 受容スキル(リスニング・リーディング)
  3. 産出スキル(スピーキング・ライティング)

最初に避けて通れないのは、文法と語彙の基礎知識。前出の田浦教授は、文法と語彙知識の重要性についてこう述べています。

4技能を伸ばしていくためには、文法力、語彙力が必須で、この基礎的な力があれば時間をかけてトレーニングしていくことで、誰でも伸びを実感することができます。

(引用元:田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版. ※太字・下線は筆者が施した)

文法と語彙という基礎力があって初めて、4技能を伸ばす準備が整うのですね。

それでは、次のステップとなる4技能を鍛えるトレーニングは、どのような順序で進めればいいのでしょう? 

第二言語習得に詳しい高橋さんは、「『リスニングとリーディング』、『スピーキングとライティング』の2つに分けて考えるといい」と語ります。

英語を聞いたり読んだりすることを、「英語を受け取る」という意味で「受容」と言います。そのため、リスニング・リーディングスキルは「受容スキル」「レセプティブスキル(receptive skill)」と呼ばれています。

一方、話したり書いたりして英語を発することを、「英語を生み出す」という意味で「産出」と言います。そのため、スピーキング・ライティングスキルは「産出スキル」「プロダクティブスキル(productive skill)」と呼ばれています。

この2つのスキルを効率よく習得するには、科学的に正しい順番があります。田浦教授は、産出スキルと受容スキルの習得順序についてこう説いています。

産出スキルを伸ばすためには、その前提として受容スキルが必要です。聞いたり読んだりして理解できる能力があって初めて、話したり書いたりする能力が伸びていくのです。

(引用元:田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版. ※太字・下線は筆者が施した)

聞いて理解できないことは話せませんし、読んで意味のわからないことは書けません。前提となる受容スキルがないのに、産出スキルを磨くのは難しいのです。だからこそ、受容スキル→産出スキルの順番で鍛える必要があります。

英語学習のスピードを加速させるには、学問的根拠のある正しい知識が不可欠。上記で示した「ベストな学習順序」に従うことで、効率的に英語を身につけることが可能になります。

英語学習には最短ルートが存在する

学問的根拠のある正しい知識――難しそうに聞こえるかもしれませんが、ご安心を。

第二言語習得研究の知見に基づき、「英語学習の最短ルート」を示した ”地図” は、すでに用意されています。その名も「学習ロードマップ」。

この地図を使い、あなたの現在地(今の英語力)と目的地(手に入れたい英語力)を設定するだけで、目的地に最速で到達するための道筋が見えてきます。

そんな英語学習の最短ルート「学習ロードマップ」の詳細をご紹介した約6分間の動画がありますので、ぜひご覧ください!

  • 学習ロードマップの活用方法
  • 【フェーズ0】基本文法・基本語彙
  • 【フェーズ1】ゆっくり読めば理解できる
  • 【フェーズ2】すばやく読める
  • 【フェーズ3】音声知覚ができている
  • 【フェーズ4】理解の処理がすばやくできる
  • 【フェーズ5】記憶にとどめておける
  • 【フェーズ6】正確に話し、書くことができる
  • 【フェーズ7】流暢に話し、書くことができる
  • 【フェーズ8】複雑に話し、書くことができる

>>>短期間で英語をマスターするための学習ロードマップ【プロが徹底解説】

プロトレーナー・高橋さんによる解説で、「何をどんな順番で学べばいいかわからない」という悩みの解決の糸口が見つかるはずですよ。

YouTube「時吉秀弥のイングリッシュカンパニーch」では、ほかにも英語学習中の皆さんを応援するためのお役立ちコンテンツをたくさんご用意しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!

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目的地に最短ルートで行きたいとき、必要になるのは地図です。そして地図を使いこなすためには、自分の現在地を知ることが欠かせません。

”英語を身につける” という「目的地」ははっきりしていても、今の自分の英語レベルという「現在地」まで把握できているでしょうか? そして目的地と現在地をつなぐ「地図」はあなたの手元にありますか?

まずは正確な地図を手に入れ、目的地と現在地の2つを線で結んでみてください。それがあなたにとっての ”英語学習の最短ルート”。今後の学びの指針となることでしょう。

監修:StudyHacker ENGLISH COMPANY

(参考)
田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版.
StudyHacker ENGLISH COMPANY(2018),『マンガでわかる 最短最速! 英語学習マップ』, セブン&アイ出版.

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

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  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
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