英語学習に科学的根拠を。『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』

こんにちは、STUDY HACKER編集部です。

以前、立命館大学の田浦教授に「英語を科学的に学ぶ」と題したインタビューを掲載しました。

田浦教授の専門分野は、第二言語習得研究や言語脳科学。これは、人間がどのように第二言語(外国語)をみにつけていくのか、そのプロセスやしくみを解き明かしていく学問です。

これまでの英語学習の「常識」とされてきたような方法は、本当に効果があるのか? 単なる経験則や、「英語ができる人」の個人的な思い込みではない、「科学的な英語学習」についてお話を伺うという内容でした。

インタビューは大きな反響を呼び、このたびマイナビ出版より書籍化されることとなりました。書籍化にあたっては、StudyHacker発の英語のジム、ENGLISH COMPANYも協力させていただいております。

今回は、『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』の内容をご紹介していきます。 *** 『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』

田浦秀幸 著 マイナビ出版 2016年

 

 

 

 

 

英語教育にはいろいろな「常識」のようなものがあります。たとえば、「英語を学ぶのは早ければ早いほど良い」とか、「聞き流すだけで上達する」とか「やっぱりネイティブに教わるのが良い」とか。

本書では、それらの「常識」がほんとうにいつも正しいのかどうか、科学的に説明していきます。

英語学習について、誤解している人が多いことのひとつに、「日本語を覚えたのと同じように英語を学びましょう」というのがあります。 結論から言うと、これは普通の日本の環境では難しいことです。   (中略)   そもそも、どんな条件や環境をさして「同じ方法」と言っているのかという話です。文法的な説明を省いて、ただ英語を聞く程度のことを指して「同じ方法」と言っているのだとしたらずいぶん乱暴な話です。   (中略)   大人になってから子供がやったように英語を聞いているだけでできるようになるということはあり得ません。

 

ビジネスパーソンに最適な学習法は?

 

それらの「常識」を学問的知見に基づいて説明した後、実践的な英語の学習法について説明がされていきます。

特に、英語を必要とするビジネスパーソンに対する有効な方法を語る部分が印象的。田浦教授は、英語を必要とするビジネスパーソンの多くは、大学受験などで基礎的な文法を身につけていることが多いが、それを実際に使うための「練習」が不足しているのだと語ります。

 

つまり、速読やリスニングという実技的な部分のトレーニングが足りないために文法などの知識が宝の持ち腐れになっていると言うことです。そういったビジネスパーソンにとっては、これから文法や語彙をさらに高めていくよりも、徹底的に英語の実技的なスキルをトレーニングする。そのためには、学ぶのではなくて「鍛える」という意識が大切です。

では実際にはどのような方法で英語を鍛えれば良いのか、第5章以降では、具体的なトレーニング方法が語られていきます。 ディクテーションやシャドーイングといった、どこかで聞いたことのあるものから「ディクトグロス」や「チャンク読み」といった耳慣れないものまで、科学的な根拠を交えて説明されていきます。

 

英語を学ぶには何から始めれば良い?

 

英語を学ぶには最適な順番がある、ということも本書で印象深い部分のひとつ。

最近、耳にすることが多くなった英語学習関連の言葉に四技能(4 skills)というものがあります。 「読む」「聞く」「書く」「話す」の各スキルのことですが、その4つのなかで最初に鍛えるべきは「読む」「聞く」だとして、単にフレーズを覚えたり、いきなり「会話の練習」をするような風潮に警鐘を鳴らします。

 

英語を読む力、聞く力がなければ書いたり話したりすることはできません。読んでも理解できないような内容の文を、自分で書くことができないということを考えれば、これは当然のことですよね。

また、教授曰く、外国人との会話はいわば「練習試合」。

練習試合で上達するには、基礎的なスキルをまず磨いておくべきだということを、スポーツにたとえて説明しています。

 

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科学的に学ぶという態度

 

第二言語習得についての研究が進むにつれて、外国語を身につけるための効果的な方法もわかってきています。 英語の学習は、ほとんどの日本人が経験したことのあること。だから、たくさんの人が「自分の方法」をもっているものです。特に、英語ができるようになった人には、自分が身につけたその方法が最高の方法に思えるでしょう。実際に、当人にとってはそれがもっともよい学習方略だった可能性もあります。

しかし、「自分はその方法でできるようになった」ということだけでは、それはいわば「サンプル数1」の方法と言わざるを得ません。

その方法がうまくいったのは、なにかその人特有の事情があったかもしれません。本書では、科学的な実験データなどに基づいて万人に効果があるであろう方法を紹介しています。

英語をなんとか身につけたい。そのニーズはこれまでになく高まっています。 できるだけ効果的に英語力を身につけるためには「正しい方法」が不可欠。 「科学的根拠のある英語学習」を考える一冊になりそうです。

 

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