東大生がやっている勉強の進捗管理法。手書きの「ガントチャートノート」で学習が超絶はかどる

「ガントチャートノート」で勉強してみた01

「試験勉強が毎回うまくいかず、直前に詰め込み暗記ばかりしている」
「モチベーションが途中で下がりがちで、資格勉強をやめてしまった」

このように勉強の習慣化がうまくいかない人は、勉強の進捗を徹底的に管理してみるとよいかもしれません。『東大生のノートから学ぶ 天才の思考回路をコピーする方法』著者であり現役東大生の片山湧斗氏によると、東大生は行き当たりばったりで勉強せず進捗をきっちり管理しているそう。

この記事では、片山氏がすすめるガントチャートノートのつくり方を、筆者の実践例も交えてご紹介しましょう。

勉強のエキスパートがすすめる「ガントチャートノート」とは?

「ガントチャートノート」とは、科目ごとの進捗状況を可視化することで計画的な学習を習慣づけるノート術。発想のもととなった「ガントチャート」とは、主にビジネスシーンで用いられる工程管理表のことを指します。縦軸にタスクやメンバーの名前を、横軸には日付を書き、帯状のグラフをつくり進捗状況を確認するためのものです。このタスクは誰がいつ着手して、いつ終わらせる予定なのか、現時点でどこまで進んでいるのかなどを視覚的に把握することが可能です。

片山氏がすすめる勉強用のガントチャートノートは、科目ごとにページを変えながら、次のように作成します。

【例】英語のガントチャートノート

  1. フォーマットを作成
    縦に教材名を配置(文法問題集、英文法テキストなど)。
    教材ごとに横軸を書き、それぞれの学習範囲を目盛りで書き込む(1章、2章など)
  2. 勉強が進んだら、該当の教材の横軸を終わった範囲まで塗りつぶし、日付を記入
    7月1日に文法問題集の1章が終わったとしたら、文法問題集の軸の1章のところまでを塗り「7/1」と記入

このように、本来のガントチャートに少しアレンジを加えて勉強記録をするのがミソです。

「ガントチャートノート」で勉強してみた02

「ガントチャートノート」で勉強するメリット

片山氏いわく、ガントチャートノートで勉強すると、複数の勉強を長期的に同時並行で進めていく際の心理的負担を軽減できるそう。進捗を把握しきれず心が折れそうになる状態を防げると言います。「1ヶ月でここまで進められた」「試験まではまだ2週間あるから余裕だ」といったように自信をもって勉強を続けることができるのです。

またガントチャートノートは、脳科学的観点からも勉強の習慣化に適していると言えます。というのも、スモールステップでの目標達成を継続できるから。

片山氏は「1日10ページを10セット繰り返して、参考書を1冊読みきる」というように、大きな目標を細分化して日々の小さなゴールを明確化することもすすめています。脳神経外科医の菅原道仁氏によると、このスモールステップでの目標達成が脳への報酬となり、やる気や思考力をアップさせるドーパミンが分泌されるのだとか。

また、ドーパミンが分泌されると心地よく感じるため、脳は「またその状態になりたい」と働くようになるのだそう。その結果、モチベーションを低下させず努力を継続できて、勉強の習慣化につなげられます。

さらに、達成度の可視化や目標の数値化によって、ゲームのように楽しむことでもドーパミンの分泌が促されると菅原氏。ガントチャートノートはこれらの条件を満たした、勉強の習慣化に適したノート術なのです。

「ガントチャートノート」で勉強してみた03

「ガントチャートノート」で勉強を実際に習慣化してみた

筆者も今回、ガントチャートノートを利用して勉強してみました。具体的には、日本史の学び直しに『もういちど読む山川日本史』(山川出版社)を、神社の御祭神について学ぶために『口語訳・古事記』(文藝春秋)を読んだ進捗をガントチャートノートに記録しました。いずれも、史跡や歴史的価値が高いスポットの旅行記事を仕事で書く際に必要な知識を身につけることを目的としています。

ノートはB5サイズの5mm方眼罫(10mm実線入り)を使用しました。方眼ノートなら細かな目盛りを振りやすく、スモールステップの達成をより実感できると考えたためです。また、ゆとりをもって書き込めるよう、ノートは横向きに使用しました

「ガントチャートノート」で勉強してみた04

上記は『もういちど読む山川日本史』のガントチャートノートです。山川日本史は時代ごとに区分を設定して目盛りを記入。ピンク色の蛍光ペンで進捗を記入し、1章や1部の終わりには緑色のペンで丸をつけて達成感を高めました

基本的には1日1章のペースで勉強していましたが、月曜日と火曜日のみ仕事の都合から2日で1章読めば良しとして記録しています。これは「毎日均等にノルマを課すと、過度なプレッシャーから勉強の習慣化につまずく」という、人材育成コンサルタントで社会人向けに勉強法を提案する清水久三子氏の意見を参考にしました。

「ガントチャートノート」で勉強してみた05

こちらは『口語訳 古事記』のガントチャートノートです。上下巻で構成された本で、さらに下巻は前編・後編に分かれるので、全部で3本の横軸を引きました。見出しごとに「その1、その2」と目盛りを入れています。1日あたりの目標は10ページ以上としました。「1日で見出しをひとつ読む」を目標にした場合、ページ数にばらつきが出るためです。

それぞれの画像を見ていただくと、『もういちど読む山川日本史』と『口語訳 古事記』以外の本も読んでいることにお気づきいただけると思います。次の項ではその理由とともに、ガントチャートノートを実践して得られた効果・実践のコツを紹介します。

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「ガントチャートノート」を実践したら、勉強がどんどん進んだ!

ガントチャートノートを実践してみて得られた効果は以下のふたつ。

1. 自分の苦手にすぐ対処できる

ひとつは進捗の可視化で遅れに気づき、苦手にすぐ対処できることです。筆者の場合、古事記の口語訳を読むのに想像以上に苦労してしまい、開始3日目までは目標を達成できないか、達成しても時間がかかりすぎていました。しかし、ガントチャートノートで進捗を可視化した結果、「注釈の確認に時間がかかる」「人物相関図が理解できていないから読むのが遅い」と気づき、「それならイラストつきの入門書で人物相関図を把握し、大枠を予習してから読むのはどうか」と対処できたのです。

そのため古事記のガントチャートノートの下には、入門書の横軸も追加しています。もしもガントチャートノートをつくらず古事記の口語訳を読んでいたら、なんとなく進捗が滞っている状況に憤りを感じ、モチベーションが低下して三日坊主で終わっていたかもしれません。

2. 勉強が楽しくなる

もうひとつの効果は、勉強が楽しくなることです。ガントチャートノートがあれば「勉強後に蛍光ペンで線を引く楽しみがあるから頑張ろう」と思えますし、余白が減るほど「あと少しで最終ゴール到達」と、ゲーム感覚でモチベーションも高まります

ただし、横線を引く楽しみゆえ最終ゴールにとらわれすぎてしまう点には注意すべきだと感じました。筆者の場合、当初は山川日本史を1日1章読み進めることだけを考えていました。しかし3日目に「この読み方ではどの地域にどんな史跡があるかといった土地勘がつかめず、旅行記事の執筆には役立たない」と感じ、歴史地図も購入。ガントチャートノートにも追加したのです。その結果、1日分として予定していた量を達成できない日もありましたが、より実践的な知識を身につけられるようになったと感じています。

習慣化コンサルタントとして多くの著書をもつ古川武士氏も、「習慣化のためには記録を振り返り、ときには軌道修正する必要がある」と説いています。もし横線を引く楽しさや最終ゴールにとらわれすぎていたら、途中でプレッシャーを感じ挫折していたか、仕事に役立たない読み方を最後までしてしまったかもしれません。

これらの効果から、ガントチャートノートで勉強を習慣化するには、可能な範囲で目盛りを細かく振ることがコツだと感じました。筆者の場合、「章」だけでなく、さらに章を細分化した「項」の数だけ目盛りを振ったことが、最終ゴールにとらわれすぎないことに役立ちました。また、たとえ1日の予定量に届かなくても、「たしかに勉強は進んだ」と実感できれば心理的負担が軽減され、明日へのモチベーションにつながります。方眼ノートなら目盛りを振りやすいので、簡単にできますよ。

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進捗を可視化することでモチベーションを高め、ゲーム感覚で続けられるガントチャートノート。勉強の習慣化に悩んでいる方は、ぜひ試してみてくださいね。

(参考)

東洋経済オンライン|勉強を心折れず継続できる「東大生」凄いノート術
System Integrator Corp|ガントチャートとは?WBSとの違いやメリット・デメリットを解説
「クラウドログ」|ガントチャートとは?
菅原道仁 (2018), 『なぜ、脳はそれを嫌がるのか? 』, サンマーク出版.
清水久三子 (2017), 『一流の学び方―知識&スキルを最速で身につけ稼ぎにつなげる大人の勉強法』, 東洋経済新報社.
古川武士 (2016), 『30日で新しい自分を手に入れる 「習慣化」ワークブック』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.

【ライタープロフィール】
かのえ かな

大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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