働きながら勉強に励む人は、どんなに忙しくてもスキマ時間を上手に使い、学ぶ時間を確保していますよね。
しかし、仕事の疲れや眠気との戦い、ストレスの蓄積には手を焼いているのではないでしょうか。それらの影響が強くなると、集中力が続かなくなったり、意欲が低下したりするかもしれません。
そうした状況を避けるためにも、タイムブロッキングを取り入れてみてはいかがでしょうか? 実践を交えて説明します。
【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。
Asana|タイムブロッキングの開始時に役立つ 7 つのヒント [2024]
note|篠原丈司|タイムマネジメント研究家|タイムブロックの効果的な使い方
Cal Newport|Deep Habits: The Importance of Planning Every Minute of Your Work Day
タイムブロッキングとは?
ネット上でよく目にする、仕事をしながら勉強の成果を出した人の体験談には、スキマ時間の有効活用のほか、時には手を抜くことや、休むと決めたらちゃんと休むことなどが記されています。
つまり、仕事や勉強を頑張るだけでなく、心を休める時間もしっかり確保しているということ。これはタイムブロッキングと呼ばれる時間管理術に通じるものがあります。
タイムブロッキングとは、集中する時間以外に、休憩時間、個人的な時間、運動の時間といった休息およびセルフケアの時間をしっかりと確保し、生産性を上げようとする時間管理術です。
タスク管理ツールの Asana でライターを務める、ワークマネジメント専門家の Julia Martins 氏によれば、タイムブロッキングの基本は「似たようなタスクを 1 つの集中したブロックにまとめる」ことなのだそう。それをカレンダー上に示し、「仕事が中断されたり、予定がオーバーすることを防ぐ」そうです。
Martins 氏の説明や、同氏がカレンダー上に視覚化した例を参考にしてみると、特定の作業名でくくるのではなく、以下のとおり比較的ざっくりしたくくりで時間をブロックしています。
- メールチェック
- パーソナルタイム(行動を限定しない。たとえばSNSのチェックや散歩、家族への電話など、個人的なことに時間を使う)
- 休憩
- フォーカスタイム(集中する時間)
- ミーティング
- ランチ
- ディープワーク(SNSの通知などすべてをシャットアウトして静かに集中する時間)
つまり、こうしたくくりで、似たようなタスクをまとめるわけですね。以下は、上記の項目を参考に、筆者が google カレンダーに1日ぶんだけ示してみたものです。
(参考およびカギカッコ内引用元:Asana|タイムブロッキングの開始時に役立つ 7 つのヒント [2024])
予定を入れない、という予定
また、タイムマネジメントに関する講演や研修を行なう社会保険労務士・篠原丈司氏の「タイムブロックの効果的な使い方」を参考にすると、疲れやストレスをため込まないには、予定を入れない予定も必要だとわかります。
たとえば篠原氏は、
使い道が決まっていない時間も「何も入れない予定」としてブロック
しておくとのこと。そして、週末に気分が重くならないよう、月曜日の午前中は(取引先とのやりとりなど)対外的な仕事を入れないようブロックしているそうです。
(参考および引用元:note|篠原丈司|タイムマネジメント研究家|タイムブロックの効果的な使い方)
つまり、タイムブロッキングは、予定を埋めたり空白にしたりすることも含め、1日をバランスよく調整しているわけです。そうやって時間にも心にも余裕をもたせることが、より集中力を高めてくれるでしょう。
タイムブロッキングを取り入れて勉強する方法
ただ、スキマ時間は突如として生まれたり、消えたりする性質があります。仕事をしながら勉強する際に、スキマ時間を使うケースが多いとなれば、しばしば予定の変更がありそうです。
そう考えると、タイムブロッキングの提唱者として知られるベストセラー作家で、ジョージタウン大学学長特別准教授(コンピュータサイエンス)である Cal Newport 氏の、手書きタイムブロッキングが最適かもしれません。
Newport 氏は毎晩10~20分を費やし、翌日のスケジュールを立てていると言います。その例を見てみると非常にラフな手書きで、時間ブロックの横には余白があります。予期せぬことが起こった場合に、必要に応じて修正するためなのだそうです。
Newport 氏の例を参考に、試しにやってみると、こんな感じになりました。
この日の勉強時間として設定したのは、朝・夕30分ずつ、1日合計60分です。朝は簡単な復習、夕方はアプリで過去問を解くなど、どういうやり方をするかは決めていますが、どの箇所を勉強するかは日々変動するので特定していません。
そして、Newport 氏にならい、時間ブロックの変更が生じたら以下のように修正します。
上の画像のように、いつも使っているメモ帳やノートの端に、1日ぶんをちょこっと書いておくかたちだと、とても気軽に始められていいですね。
Newport 氏によれば、このように予定を管理すると物事が整理された感覚になるため、(混乱がなくなって)ストレスが軽減され、創造的な取り組みをさらに深められるそうです。そして、膨大な生産性を生み出すことができるとのこと。
(参考元:Cal Newport|Deep Habits: The Importance of Planning Every Minute of Your Work Day)
タイムブロッキングを取り入れてみた感想
実際にやってみると、ラフな見栄えに反して非常に効果がありました。先の内容にもありましたが、しっかりと予定が整理されている気がしたからです。だからこそ集中すべきブロックでは、想像以上に集中できました。
また、じつはこれまで、スキマ時間ができるたびに勉強しなければとプレッシャーを感じ、できなかったときには罪悪感が生じていました。しかし、タイムブロッキングで予定しておくと、勉強に集中しなければならない時間を把握でき、心に余裕が生まれます。その効果なのか、時間になると、勉強に気持ちがパッと切り替わるように感じられましたよ。
そして、最初はブロックした作業の詳細を決めないと混乱するのではないかと思いましたが、心配は無用でした。むしろ作業の詳細を決めたほうが、「これはいまやるべき、あれはいまやらない」などと、余計なことを考えてしまうかもしれませんね。
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今回は、仕事と勉強の両立を目指す人におすすめの、タイムブロッキングのやり方を紹介しました。ザックリとしたまとまりで時間をブロックすると、自分自身に「これから勉強!」「これから集中!」と、暗示をかけてくれる気がします。効果を感じられたので、ぜひ一度お試しくださいね。