「勉強の計画を立てても、いつも達成できずに挫折してしまう……」
「でも今年こそ絶対、計画通りに勉強したい!」
こうした悩みや思いを抱えているなら、紙1枚で年間計画を立てることが有効。
今回は、「年間計画」を立てるべき理由と、「紙1枚」にまとめるメリットを解説します。筆者がつくった年間計画の例も参考にしてみてくださいね。
「年間計画」を立てるメリット
ベネッセ教育総合研究所が小中学生を対象に行なった調査で、成績上位者ほど目標をもち、計画を立てて勉強していることがわかりました。
計画の重要性は、大人の勉強にも通じること。『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』著者で、多くの資格取得経験がある石川和男氏は、効率よく勉強するには計画が欠かせないと述べています。というのも、大人が勉強できる時間は子ども以上に限られているからです。
特に社会人が資格取得に向け勉強する場合、仕事と勉強を両立させつつ、必要な学習を試験日までに確実に終えなくてはなりません。石川氏いわく、合格への一番の近道は、「勉強できる日数」と「やるべきこと」をすべて書き出して勉強の全体像を俯瞰すること。つまり、計画を立てることなのです。
そんな計画のなかで最も重要なのは「年間計画」である――そう主張するのは、勉強コーチングの第一人者・椋木修三氏。理由は、年間計画をきちんと立てると、月間や週間の短期的で細かいスケジュールも立てやすくなるからです。
たとえば、プログラミングを勉強する場合であれば、
年間計画「テキストを半年で2冊読み、残りの半年で実践をやろう」
⇒月間計画「テキストは1冊300ページだから、月に100ページ読めば半年で2冊読めそう」
⇒週間計画「1週間に25ページ読めたらいいかな」
というように、分解していくことができます。また、年間を見通せば、「4月は忙しいからボリュームを減らそう」といった工夫もできるので、現実的で挫折しにくい計画を立てられるはず。
「紙1枚」にまとめるメリット
勉強計画の重要性がわかったら、ぜひそれを「紙1枚」にまとめてみてください。じつは、考えを紙1枚にまとめることには大きなメリットがあるのです。
『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』著者の浅田すぐる氏によると、そのメリットとは「情報を整理できる」こと。浅田氏がかつて勤めたトヨタ自動車には、複雑なスケジュール管理表をはじめとするあらゆる書類を横向きのA3用紙1枚でつくり、情報を究極なまでに整理する仕事法が根づいているのだそうです。
浅田氏いわく、紙面上でテーマごとにフレームを設けると、複雑な情報でも整理しやすくなるとのこと。フレームに応じて内容を吟味する過程で、「目標をどう設定すればいいか?」「いつまでに何を終わらせるべきか?」といったように、考えがだんだんと研ぎ澄まされていくのだとか。
試験勉強の計画を例に説明しましょう。どんな勉強法がいいかいろいろ調べて検討しよう、使う参考書や問題集のことも考えなくちゃ、などと思いつくままに書いていては、1枚に収めることはできません。
そこで考えられるのが、次のような3つのフレームを紙面に配置し、各フレームのなかで必要な要素を掘り下げていくというやり方。
このように紙1枚に収めれば、一覧性の高い年間計画表をつくることができるのです。なおフレームは、必要な情報 “だけ” を紙面に盛り込むために設けるもの。枠で囲まなくてもエリア分けさえできていればよく、何個つくってもいいそうです。
今年勉強したいことを、紙1枚にまとめてみた
筆者も実際に、この1年で勉強したいことを紙1枚にまとめてみました。勉強テーマは「近代文学作品を読み、近代文学史への理解を深めること」。以前から取り組んでいた内容ですが、勉強する日としない日の差が激しく内容を覚えていないこともあったため、きちんと計画を立てて勉強すべきだと考えたのです。
前出の椋木氏が提唱する以下の手順で計画を立てました。
- 使う教材をすべて書く
- 日付やページなどを具体的な数字で記入
- 何月から何月までに、何回繰り返すか決める
これに加え、最初はひとつのことだけを勉強するように設定しました。習慣化コンサルタントの古川武士氏によると、学習を始めて1週間ほどは新たな習慣に抵抗しようとする「習慣引力」が最も強く働き、「やめたい」という気持ちが強くなるそう。そこで、1月中旬〜下旬まではテキスト1冊だけに取り組むことにしました。
そうして筆者が立てた、下書き段階での年間計画がこちら。フレームは「学習目標」「テキスト」「年間計画」の3つ。文芸評論家の伊藤整による『近代日本の文学史』や谷崎潤一郎の長編小説『細雪』など、前から深く読み込みたいと思っていたテキストをリストアップし、年間計画に盛り込みました。
上の下書きをベースに、ここから20%ほどの内容を削りました。これは、前出の石川氏がすすめるやり方です。
石川氏によれば、計画を立てているときはモチベーションが最も高いため、つい内容を詰めすぎて計画倒れになりやすいそう。そこで、計画を立てたら中身を20%ほど削り、あえて余白をつくるとよいと言います。そうすれば、体調不良や急な仕事などで勉強できない日があっても余白の期間で巻き返せるため、無理なく続けられるのです。
筆者は以下のように調整しました。
- 3周する予定だった『近代日本の文学史』を2周に変更。
- 仕事や予定が立て込みやすい11・12月は「おさらい」の期間として余白をつくる
- ほかの作品へ割く時間を多くするため『ヰタ・セクスアリス』をカット
- 3冊同時に勉強する7月は、うち1冊をページ数が少ない『注文の多い料理店』にして、取り組むハードルを下げる
そうして、以下のように完成版ができあがりました。
紙1枚で年間計画を立てたら、目標達成の可能性が見えて来た!
紙1枚で1年間の勉強計画を立ててみて、感想と提案したいことを以下にまとめます。
実行しやすい計画を練ることができた
使うテキストだけでなくページ数まで細かく書いたことで、計画に具体性が生まれました。「448ページあるテキストを5カ月で1周読む」と決めれば、1日に3ページ進めればいいとわかります。いつ・どのくらいやればよいかが明確なので、実行に移しやすいと感じました。また分厚いテキストであっても、1日に読むのはたった3ページでいいと気づけただけでハードルが下がり、気持ちが楽になりました。
さらに、目標ややることがはっきりしたため、「ちゃんと勉強しよう」となんとなくしか考えていなかったときよりも、達成の可能性が見えてきた気がします。ゴールや予定の確認が紙1枚で完結するので、いつでも立ち返れる点も魅力だと感じました。
仕事や運動などの目標を立てたい人にもおすすめ
「今年は、仕事で企画を20本実現させるぞ」
「運動習慣をつけて、今度こそダイエットを成功させたい!」
このように、勉強以外の目標を新年に立てる人にも、紙1枚の年間計画はおすすめです。たとえば運動なら、「ストレッチから習慣づけを始めて、暖かくなる4月からはランニング……」のように落とし込んでいけるでしょう。
「明日からでいいや」と先延ばしにしがちな人でも、具体的な行動と日程を決めれば実行しやすくなるので、習慣化や目標達成につながるはずです。
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「今年こそ勉強をしたい!」と思っている人は、まず1枚の紙とペンだけ準備してみてください。1年の指標となる計画を立てて、目標の達成を目指しましょう。
ベネッセ教育総合研究所|小中学生の学びに関する実態調査 速報版 [2014] 4.勉強方法
リクナビNEXTジャーナル|資格を取る!と決めたら、こう計画せよー「資格の大原」講師が熱弁
ダイヤモンド・オンライン|合否の9割は「勉強計画」で決まると断言できる理由
週刊東洋経済Plus|A4 1枚の企画書で上司を納得させる方法
ミクスOnline|紙1枚にまとめるというシンプルな方法を実行している人、していない人
日経xwoman|絶対挫折しない勉強計画の立て方 習慣化のメソッドは
藤真唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいて分かりやすく伝えることを得意とする。