好きなことを仕事にしたいけれど、仕事につながる「好き」が見つからず、「結局、この仕事をずっと続けていくのか……」とモヤモヤしながら毎日を過ごしている。そう悩んでいる人は少なくありません。
今回は、仕事につながる「好き」の見つけ方と活かし方をご紹介します。ポイントは「好き」の定義を広げてみること。自分の「好き」がよくわからない人にこそ、読んでほしい内容です。
【ライタープロフィール】
谷口雅子(たにぐち・まさこ)
(株)ベネッセコーポレーション 社会人向けキャリアコーチングサービス「CAREER STAGE」責任者。国家資格キャリアコンサルタント。(株)ベネッセコーポレーション入社後、高等学校のコンサルティング営業、大学生のキャリア教育・就職支援および大学の教学改革支援に従事。(株)ベネッセi-キャリアにて、大学事業の営業責任者、キャリア教育事業責任者、企業向け人材採用・人材開発等のHR事業責任者を歴任後、2023年度より現職を務める。
「好き」を仕事にしている人の特徴4つ
「好き」を仕事にしている人は、仕事で苦労があったとしても充実した毎日を送っているイメージではないですか?
実際、「好き」を仕事にしている人には、以下のような特徴があります。
特徴1:仕事へのモチベーションが高い
自分がやりたいことを仕事にしているため、日々の仕事への意欲が自然と高まり、持続的にパフォーマンスを発揮できる。
特徴2:仕事に必要な知識・技術・能力が向上する
興味のある分野なので、情熱を注ぐことができる。継続的な学習意欲が生まれるため、専門知識や技術が向上する。
特徴3:キャリアアップにつながりやすい
集中し、努力を継続することができ、成果や評価、昇進などのキャリアアップにもつながる可能性が高まる。
特徴4:心身ともにストレスを感じにくい
「好き」に加え、「得意」を活かせる分野で働くと、仕事の負荷がかかりにくい。心身ともに健康を保ちやすいため、ストレスが少ない。
このように、「好き」な仕事、本当に興味のある仕事をしている人は、仕事のスキルが向上しやすく、つらく大変な仕事においても、意義を感じながらキャリアアップすることが多いと言えます。であれば、仕事につながる「好き」を早い段階で見つけたいもの。
とはいえ、「好き」だけど仕事として成立しない場合もあります。たとえば、「サッカーは好きだけど、いまからサッカー選手は目指せない」などです。
そこで、〇〇のジャンル(領域)が好き、〇〇という仕事が好き、〇〇な働き方が好き、自分の〇〇を活かして役立つことが好き、といったイメージで「好き」の定義を広げてみましょう。
仕事につながる「好き」の見つけ方
「好き」の定義の広げ方がわからない……という方は、「好き」を扱う商品やサービスなど、好きなもの =「名詞」と考えがちです。「好きなもの(名詞)」からどう「仕事」につなげていけばいいのかがわからなかったり、「好きなもの(名詞)」を仕事に置き換えるのは非現実的だと思ったりしていませんか?
そんな方には次のワークがおすすめです。STEP1~STEP4まで順番に書き出すと、仕事につながる「好き」だけではなく、あなたが仕事に求める「やりがい」や「意義」まで明確になりますよ。
音楽/映画/美術鑑賞/歴史/ゲーム/小説/猫/料理/ファッション/人/営業/旅行/バスケ/カメラ/プログラミング/語学学習/ボランティア活動/筋トレ/人に頼られる/夢中になることがある/新しいことを学ぶ/チームで協力する/自分の意見が尊重される/成果を認められる/創造的である/問題を解決する/チャレンジ/自分のペースで仕事をする etc.
想像力が掻き立てられる/感動や興奮を感じる/リラックスできる/キャラクター開発/チームワーク/戦略/自己成長/好奇心が刺激される/達成感がある/戦略を考えるのが楽しい/リフレッシュ/自分の価値を感じられる/問題解決のサポート/他人の成功に貢献する/人を喜ばせることができる etc.
20分程度で料理を3品以上つくることができるから/自分のデザインに自信があるから/いろいろな立場の仲間との出会いがあるから/知らなかった知識を貯めていくことができるから/自分の貢献が評価されるから/美的感覚を活かせるから/アクティブな仕事だから/柔軟な仕事環境だから etc.
未知の世界を知ること/役に立つ提案ができること/人を動かすこと/喜んでもらうこと/チャレンジできる環境があること/競争心が刺激されること/戦略を人と協力して考えること/失敗しても次のチャレンジの場があること etc.
以下は、営業職Aさん(30代男性・大手メーカー勤務)のワークシートです。
たとえば、「営業が好き」とひとことで言っても、「商品を売ることが好き→達成感がたまらなく好き」という人もいれば、Aさんのように「課題を聞き出すことが好き→人の役に立てることに幸せを感じる」という人もいるわけです。
扱う商材や、担当業務に「好き」がなくても、誰と・どこで・どのように・どのくらい働くことが好き、などについても探求するとよいでしょう。
このワークシートを使えば、STEP1~STEP4まで書き出しているうちに、単なる「好き」を超えて、仕事としての「やりがい」を意識した価値観が見えてきます。
もし「好きや得意が思いつかない」「自分では掘り下げられない」という場合は、他者に客観的な意見を聞いてみましょう。
「好き」を仕事に活かす “2つ” の方法
では最後に、仕事につながる「好き」を見つけた人が、その「好き」を活かす方法を2つ紹介します。
方法1:いまの仕事で「好き」を発揮する
たとえば、いままでは「営業=目標数字を達成する」と考えていた方が、前項のワークで「顧客の人事課題を一緒に考え、人事戦略や計画まで踏み込んだ提案をするのが好き」と判明しました。
すると仕事への取り組み方も、顧客が抱える問題や悩みに対して「一緒に解決策を考える」という姿勢に変化しました。そして結果的に、数字ばかりを気にしていた頃よりも売上が上がり、社内外で評価されるようになったのです。
方法2:副業など本業以外で「好き」を発揮する
いまの仕事を軸にしながらも、いつか軸足を移すことを視野に入れて、副業やボランティア活動で「好き」を温めるという手もあります。本業は続けつつ、自分の未来につながる学習や資格取得の勉強をするのもおすすめです。
また、社内やチーム内で立ち上がった新しいプロジェクトなどが、自分の「好き」につながる仕事であれば、専門外であっても積極的に手を挙げていきましょう。
もしどうしても、いまの職場で「好き」が仕事につながらず、ほかにしかない場合は、異動や転職という選択肢もあります。
しかし、同僚や上司、近しい人から「異動や転職はやめたほうがいい」などと言われたため、結局、モヤモヤしながら現職を続けることに……という方も少なくありません。自分の意志を強くもって行動につなげ、周囲にもしっかり説明できるといいですね。そして応援してもらえると心強いですね。
***
ワークシートから自分の「好き」が見えてきたけれど、行動に移すのはまだ難しいと感じている方もいるかもしれません。でも大丈夫。自分の「好き」が見つかっただけでも、大きな一歩なのですから。
「自分ひとりでは、これ以上もう進めない」と思ったときは、専門家に相談してみましょう。あなたの「好き」が仕事につながる、 “より深い自己分析” を体験できますよ。