キャリアのためになにかを学びたいとは思っているけれど、「どんな勉強が必要なのかがわからない」「Eラーニングや資格取得の勉強を始めても、いつも続かない……」と悩んでいませんか?
今回は、あなたに本当に必要な「学び」の見つけ方を紹介します。
【ライタープロフィール】
谷口雅子(たにぐち・まさこ)
(株)ベネッセコーポレーション 社会人向けキャリアコーチングサービス「CAREER STAGE」責任者。国家資格キャリアコンサルタント。(株)ベネッセコーポレーション入社後、高等学校のコンサルティング営業、大学生のキャリア教育・就職支援および大学の教学改革支援に従事。(株)ベネッセi-キャリアにて、大学事業の営業責任者、キャリア教育事業責任者、企業向け人材採用・人材開発等のHR事業責任者を歴任後、2023年度より現職を務める。
幸せに活躍する人は、自分のために学んでいる
25歳~35歳の社会人を対象にベネッセ教育総合研究所が、パーソル総合研究所および立教大学経営学部教授の中原淳氏とともに実施した「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」によると、幸せを感じながら活躍をしている人たちは、全体と比べて、「学びや学習に前向きに取り組んでいる」割合が1.8倍多く、業務外でも主体的に学んでいることがわかっています。
幸せな活躍とは、個人が「主観的な幸せ」を感じながら、仕事でも高いパフォーマンスを発揮することです。自分の活躍や幸せにつながるような、自分のための学びを主体的に行なうことで、自分にとって望ましいキャリアを築いていけるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
そのほかの具体的なメリットも挙げてみます。
- 仕事での活躍、成長、収入増や昇進などにつながる
- キャリアの選択肢が広がり、専門性や市場価値が高まる
- 自分への自信が高まり、仕事へのモチベーションが上がる
- 転職、独立、副業、キャリアチェンジなどにも役立つ
このようなメリットがあるのなら、なにか役立つ学びをいますぐスタートさせたいと思いませんか? 注意したいのは、自分の意志があまりなく、義務的で受動的な学びでは十分な効果が得られないこと。自ら学びに向かうことが大切なのです。とはいえ、「なにを学べばいいのかわからない」という人も多いでしょう。次項では、主体的な学びを見つけるノート術を紹介します。
「いまあなたに必要な学び」が見つかるノート術
社会人の学びには、いまの仕事に必要な学びもあれば、中長期キャリアのための継続的な学びもあります。とはいえ、「あれもこれも学ばなければ!」と思うと、なにが一番必要なのかわからなくなってしまうこともありませんか?
そこで、あなたが本当に必要な学びを見つけましょう。まず最初に、自分の経験を棚卸し、あなたがもっているスキルを洗い出してメモしておきます。その後、以下の手順に従って、ノートに考えを書き出します。ノートの例を見るとわかりやすいはずです。
【4】で書き出した「新しく習得すべきもの」のなかで一番高めたいと思うものをピックアップしてください。それこそが「いまあなたに必要な学び」です。もちろん複数あってもかまいませんが、優先度の高い「一番」を決めておくとよいでしょう。
では最後に、「いまあなたに必要な学び」をどう習得していくかをみていきましょう。
確実に「学び続ける人」になる3つのステップ
前項のノート術によって見つけた「いまあなたに必要な学び」を習得する方法を紹介します。
ステップ1: “お試し” で学んでみる
「資格取得のためのスクールに通う」「有料のセミナーに参加する」などと堅苦しく考えず、とりあえず、学びに向かって少しだけ動いてみましょう。
やってみて、興味がもてたら続ければいいですし、「なんだか違うかも」と感じたら次の学びにチャレンジすればいいのです。近年は学びの手段も多様化しています。YouTubeやUdemy、電子書籍などをどんどん活用しましょう。
ステップ2:日常に学びを組み込む
無理のない計画を立てて、学びを生活に組み込みます。「決まった時間に学ぶ」「決まった場所で学ぶ」「スキマ時間に学ぶ」「文字情報で学ぶ」「動画で学ぶ」「経験して学ぶ」「スクールで人と対話しながら学ぶ」など、継続できる方法や仕組みをつくりましょう。
そして、学んだ内容を仕事や日常のなかでアウトプットしていきます。「学んでよかった」→「学びで得たものが役立った」→「もっと学びを活用したい!」と考えられるようになることが目標です。
ステップ3:定期的に学びを振り返る
「キャリアの目標に近づいているか」「成長しているか」など、定期的に自分の学習進捗を振り返ってみましょう。月に1度、振り返るだけでもモチベーションが上がります。
また、学習していることを周囲や上司に宣言するのもおすすめです。実際に筆者が担当した方も、宣言することで「異動したい」という気持ちがしっかりと上司に伝わったそうです。学びの振り返りを周囲に伝えると、まわりからの印象も変わりますし、アドバイスがもらえる機会も増えるでしょう。
学びをスタートさせると、いままでとは見える景色が違うはずです。またビジネスでの視野も広がります。すると「仕事でこういう役割を果たしたい」「お客様の期待に応えたい」「新しいチャレンジをしてみたい」など、新たな興味が湧いてきたり、深めたい別の学びが見つかったりするものです。
そうなれば、学びのループに入っていけます。どんどん自分の可能性が広がっていきますよ。あれもこれもと派生していく学びを、目一杯楽しんでみましょう。
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もし、あなたの目指すレベルと、いまのレベルにギャップがあったとしても、まったく問題ありません。
なぜならそれは「希望のあるギャップ」だからです。ノート術【1】で書き出した「なんのための学びか」「どうなっていきたいのか」を忘れずに、ワクワクしながら学びに取り組んでみてください。
より深い自己分析や、中長期的なキャリアプランを考えたい場合は、キャリアコーチングの無料相談もおすすめです。あなたにぴったりの学びが見つかりますように。