「いまの仕事は自分に合っていない」「仕事に対してモチベーションが上がらない」と悩んでいませんか? 仕事へのやりがいを感じられず、淡々と業務をこなしているため、毎日が楽しくないという方は少なくありません。
今回は「自分に合った仕事」についてじっくり考えてみましょう。目まぐるしく変化が起こる現代に相応しいキャリアの考え方をご紹介します。
【ライタープロフィール】
高原朋美(たかはら・ともみ)
株式会社インフィニティ 代表取締役。大学卒業後、インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。転職支援キャリアコンサルタントMgr、人事部採用担当、日本最大級のジョブカフェ受託事業責任者の経験を経てフリーランスとして独立(2024年 株式会社インフィニティ設立)。キャリア支援実績延べ1万人、法人/個人向けに年間200回以上のキャリアセミナー・講演・コンサル事業を手掛ける。 社会人向けキャリアコーチングサービス「CAREER STAGE」の監修・キャリアコーチ向けスーパーバイザー担当。
「適職」と「天職」。「自分に合った仕事」とは?
人生100年時代と言われる現在、定年年齢を60歳から65歳以上に引き上げる企業が増加し、定年を機に新しい職業や働き方にチャレンジする人も増えてきました。以前にも増して長期のキャリアを考える必要性が高まっています。
このように長期のキャリアを考える場合、自分に合った仕事を選ぶことが大切です。「仕事が楽しくない」「仕事が合っていない」と考えながら40年も働くのと、「働くことは楽しい」と満足感を感じながら働くのでは、精神的にかなりの違いがあるでしょう。
どんな仕事が自分に合っているのかを考えるときに思い浮かぶのが「適職」や「天職」という言葉です。両者の違いを説明すると以下になります。
「適職」も「天職」も、どちらも「自分に合った仕事」が共通点。 「自分に合った仕事」を見つけられたら、きっと毎日が楽しいに違いありません。しかし実際は、「自分に合った仕事」を見つけられないと悩んでいる人のほうが圧倒的に多いようです。
“こんな仕事の選び方・とらえ方” をしていたら要注意
ではなぜ、「自分に合った仕事」がなかなか見つからないのでしょう。あるいは、転職や異動をしても、すぐに辞めたいと思ってしまう場合は、もしかしたら、仕事の選び方・とらえ方に問題があるかもしれません。以下のような仕事の選び方・とらえ方をしていませんか?
- 業務内容についての情報や理解が不足している。
- 短期的な利益だけを考えて、長期的な視点がたりない。
- いまの不満を解消することばかり考えている。
- ひとつの条件だけで判断し、総合的に考えていない。
- メリットだけを見て、デメリットやリスクを考えていない。
- 判断に必要な情報が間違っていたり、偏っていたりする。
- 時間に追われて、十分に考えられない。
とはいえ、「毎日楽しくない」「仕事が合わないかもしれない」と感じたとしても、すぐに仕事を変えることは、多くの人にとって難しいでしょう。しかし、長いキャリアのなかで「合わない仕事」(無自覚も含む)を続けた場合、次のようなデメリットを抱えてしまう可能性があるので注意が必要です。
- 仕事で諦めることが多くなり、挑戦しなくなる。
- 自分の可能性を狭めてしまい、自己肯定感が下がる。
- 自分らしさを失い、チャンスを逃してしまうことが増える。
- やる気が出ないのでステップアップや転職がうまくいかない。
- ストレスやメンタルの不調に悩まされ、心身ともに疲れてしまう。
- プライベートでも意欲が低下し、人間関係もうまくいかない。
定年年齢が上がり、定年後も働く必要性が高まっているのであれば、やはり、「自分に合った仕事」を続けたほうが、心身ともにストレスが少ないはずです。そこで次項では「自分に合った仕事」の見つけ方を紹介します。
「自分に合った仕事」の見つけ方
「自分に合った仕事」を見つけるためには、自分を知ることが大切です。自分を深掘りし、分析していきましょう。1から4まで順番に、自分について書き出してください。
分析1:【Can】できることを見つける
これまでの経験で培ってきた、能力、技術、知識、資格などを書き出します。成果を振り返り、それがどんな能力や性格のおかげで達成できたかを言語化しましょう。仕事以外でも「長く続けたこと」や「よく人から頼まれること」「特に苦労せずにできること」があれば書き出します。
分析2:【Will】やりたいことを見つける
仕事を通して得たいもの、仕事に求めるもの、仕事のこだわり、価値を置いていることなどを書き出します。また、成果が出た仕事や、充実していたポジティブな経験、自分の強み、モチベーションが上がる状況なども挙げていきます。趣味や興味のあることなど、どんどん書き出しましょう。ここでは、最終的にまとめたものを紹介します。
(分析2の参考例)
分析3:「理想の未来」をイメージする
20代、30代、40代、50代……と年齢で区切り、仕事も含め、どんな人生を歩みたいかを書き出します。尊敬する人、憧れの人など、理想像(実在しない人でもOK)も書きましょう。また、自分の可能性を狭めてしまうので、「~~だから無理だろう」と現実的に考えすぎないこともポイントです。
(分析3の参考例)
分析4:【Must】環境を検討する
【Can】×【Will】が実現できそうな業界、会社、職種、業界、会社、職種、環境を書き出してみましょう。「できること」と「やってみたいこと・求めるもの」が合致し、そのうえで、「収入」や「働く環境」も合っているとしたら、それがいまのあなたに「合っている仕事」となります。
「合っている仕事」は見つかりましたか? 最後に、この分析を「信頼できる人」に相談してみましょう。自分だけでは気づけないポイントを見つけられるかもしれません。
働き方次第で「自己効力感」はアップする!
「自分に合った仕事」を見つけただけで行動に移さないのは、とてももったいないことです。「自分に合った仕事」が見つかったなら、以下のような行動に移してみましょう。行動に移すことで、なにかしらの変化が生まれます。
- 「自分に合った仕事」について、さらに詳しく調べる。
- 専門家の無料セミナーに参加してみる。SNS経由で質問をしてみても◎。
- 友人知人から、その仕事について詳しい人を紹介してもらう。
- 社外の勉強会やコミュニティに参加してみる。
- その仕事をするにあたって、短期目標、長期目標を立ててみる。
- 副業やボランティアからスタートしてみる。
- 転職サービスに登録し、気になる求人があれば実際に応募する。
「自分に合わない仕事をしていた人」が「自分に合った仕事」を見つけると、モチベーションが上がり、自己効力感が高まり、日々の充実感が格段にアップします。すると、仕事に対する自信も上がるので、周囲からも頼られ、感謝される機会が増えるでしょう。
また、将来への漠然とした不安もなくなるため、思い切ったチャレンジや、自分らしい生活が無理なくできるようになります。「自分らしい仕事」が見つかった方は、ぜひ次のステップへ進んでみてください。
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キャリアに「無駄なこと」はありません。経験の途中で気づくこともありますし、経験しなければわからないことも多いのです。ですから、「これが自分のキャリアにとって絶対に正解だ」と決めつけず、自分の可能性を広げていきましょう。今日からぜひ動いてみませんか? 未来の自分から見たら「今日は過去」。過去が変えられるんですから、変えられることに注力して楽しんでいきたいですね。
「自分に合った仕事」や「キャリアチェンジ」について、もっと深く知りたい方は専門家の分析に頼ってみましょう。あなたにぴったりの「新しい未来」が開けます。