「自分で考えられない人」に足りない2つのこと。超効率的に『考える力』を身につける習慣とは?

勉強はしたいけど、なかなか時間がない――。多くの人が抱える悩みでしょう。それを解消するには、なるべく学習効率を上げるしかありません。

お話を聞いたのは、「読書で東大合格に必要な『考える力』を身につけた」と語る現役東大生・西岡壱誠(にしおか・いっせい)さん。近著『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)は、発売から3カ月あまりで発行部数12万を越えた話題のベストセラーです。はたして、どんな効率的な方法で「考える力」を身につけたのでしょうか。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹(ESS) 写真/玉井美世子

日常から「疑い」日常に「関連づける」

東大入試に合格するために必要な「考える力」を身につけるために僕がしたのは読書ですが、読書以外にも「考える力」を高めることにつながるものはあります。たとえば、「日常から疑ってみる」「日常に関連づけてみる」ということがそう。

ここで、ひとつクイズを出しましょう。東京で消費される牛乳の産地でもっとも大きなシェアを占めるのはどこだと思いますか? 答えは……群馬や栃木、茨城などの北関東です。北海道だと思った人はいないでしょうか。牛乳のイメージとして北海道が浮かぶのでしょう。中学生や高校生の多くは北海道だと答えます。確かにチーズやバターなどは北海道産が多いのですが、牛乳は日持ちしませんから、産地はなるべく消費地の近くでなければなりません。これは、地理の勉強で取り上げられる近郊農業というものです。

もうひとつ。ケンタッキーフライドチキンの創業者といえば? そう、カーネル・サンダースですね。ところで、カーネル・サンダースは本名ではないとご存じでしょうか。彼の本名はハートランド・デーヴィッド・サンダース。カーネル(colonel)とはなにかというと、「大佐」という意味です。つまり、僕たちは彼を「サンダース大佐」と呼んでいたということ。これだけインパクトのある話を知れば、もうカーネルの意味を忘れることはありません。印象的なエピソードと関連付けるという、英単語を覚えるコツです。

なにが言いたいかというと、スーパーやファストフード店など日常のなかにだって、考えたり勉強につながったりするようなことはあふれているということ。身のまわりのものを疑う、考える契機にする。あるいは身のまわりのものに関連づけられないかと考える。そういう習慣が、「考える力」を高めてくれるのです。

これは、僕がいまも続けている習慣です。大学で僕は地域経済について学んでいるのですが、地方に行ってその地域の活性化のお手伝いをするようなこともあります。現地に着くと、僕のなかにはすぐに疑問が浮かぶ。「なぜ観光案内所はここにあるのか」というふうに。そうやって疑問を持つことでその背景を知り、どうするのがベストなのかと「考える」というわけです。

目標はなるべく具体的に「数字」で設定する

このようにして僕は「考える力」を高めたのですが、東大に合格するために「考える力」が必要だと気づいたのは2浪が決まってからでした。当然、時間がありません。なるべく効率的に「考える力」を身につける必要がありました。社会に出て働いている人も、勉強時間が限られているという点では受験生と同じでしょう。学習効率を高めなければなりません。そのために絶対に必要なことは、「目標を設定する」ことです。

それも、「成績を上げたい」といった漠然としたものでは駄目。アクションが起きづらいため、伸びるものも伸びないのです。目標はなるべく具体的に、できれば数字で設定することをおすすめします

僕は家庭教師をしているのですが、勉強が苦手な教え子の場合、「次のテストで何点取りたいの?」と聞いても答えられません。具体的な目標を設定できず、「いい点を取りたい」と言ってしまう(苦笑)。なぜかというと、いまの自分の力を把握できていないからです。

一方、勉強が得意な人や東大生の例を挙げてみましょう。面白いことに、彼らは単位取得に必要なギリギリの点数を取るのがすごく得意。「60点取る」と言ったら、きっちり60点を取る。なぜそういうことができるのかというと、いまの自分の力を把握し、目標の点数までに何点必要で、どんな勉強をすればいいかということがすべて見えているからです。最小限の努力で最大の結果を出す、それこそ超効率的ということですよね

社会人であっても、数字で具体的に目標を設定したほうが学習効率は上がるはずです。たとえ本来の目標が「教養を身につけたい」というような漠然としたものであっても、「年間で何冊の本を読む」というふうに数字で設定するのです。

そして、その長期目標を「3日から2週間の短期目標」に置き換えましょう。3日以内でもいいのですが、あまり短いと急用ができた場合など不可抗力によって達成できないということも出てきます。そういうことを避けることができる最小単位が、3日だと僕は考えています。「三日坊主」という言葉もあるくらいですしね(笑)。そして、2週間を越えると、目標達成までの道のりがぼやけてだれてしまうので、やはり達成しづらくなります。こうして長期目標を短期目標に分割することで、より具体的な目標にするのです。

ここでお伝えしてきた方法で「考える力」を身につけ、僕は東大に合格しました。大袈裟ではなく、「人生を変えた」と言ってもいいでしょう。ただ、僕を一番変えてくれたのは、やっぱり「読書」です。

人にとって、本は2種類にわけられます。ひとつは、「知らないことを教えてくれる本」。もうひとつは、「知っていることを教えてくれる本」です。前者は「こういう考え方もあるのか」「俺はなにをやってきたんだ」と気づきや反省をもたらしてくれるでしょう。後者は、なんとなくわかっていることを体系立ててくれて理解を深めてくれたり、「自分がやってきたことは間違いじゃなかった」と自信をもたらしたりしてくれる。どちらの本も、人生、運命さえ変えることにもつながるものではないでしょうか。

【偏差値35から読書で東大合格 西岡壱誠さんインタビュー記事一覧】 第1回:偏差値35から “読書で” 東大合格! 最強の『東大読書』の真髄を探る。 第2回:「身にならない読書」してませんか? 『“東大式” 選書法&読書法』で読書の質は劇的に上がる。 第3回:「自分で考えられない人」に足りない2つのこと。超効率的に『考える力』を身につける習慣とは?

「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書

西岡壱誠

東洋経済新報社(2018)

【プロフィール】 西岡壱誠(にしおか・いっせい) 1996年3月13日生まれ、北海道出身。東京大学3年生。歴代東大合格者ゼロの無名校から東大受験を決意。読書法を一変させることで、「考える力」を向上させ東大に見事合格。その読書法をまとめた『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)は12万部を超えるベストセラーとなっている(2018年9月10日現在)。現在は、家庭教師として教え子に読書法をレクチャーしながら、1973年創刊の学内書評誌『ひろば』の編集長を務める。

【ライタープロフィール】 清家茂樹(せいけ・しげき) 1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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