書類や本を読むスピードが遅く、仕事で細かい数字を見落すことが多い。最近は物忘れも多いし、外出も億劫になってきた……。これらの悩みは、視覚を鍛えることで解消できる可能性があります。目の疲れや頭痛、肩こりもいいはずですよ。さっそく説明しましょう!
「視覚」は見る働き全般の力
「視力」と「視覚」の違いをご存知ですか? オプトメトリストと呼ばれる、検眼や視機能に関する専門家の北出勝也氏は「視覚」について、「視力を含めた見る働き全般の力」と説明します。
「視力」は近くや遠くにあるものをハッキリと見る力を指し、「視覚」は、ものを見て情報を入力し、脳で認知したあと、気持ちや体が反応するところまでを指すそう。
たとえば目の前にケーキがあったとして、「視力」はその物体を見る力。「視覚」は、物体を見てケーキだと認識し、「美味しそう、食べたいな」と考えるまでの力というわけです。
「視覚」と脳の関係
子どもたちや五輪アスリートなどのビジョンケアをおこなう内藤貴雄氏によれば、オプトメトリストは視力低下の原因を、脳の衰えにあると考えるそう。そして、脳を活性化させるためには、外部からの刺激が必要不可欠であると伝えています。
わたしたちの知的な機能を指す「認知機能」は、外部の情報を収集し、記憶して、推理・判断を加えて処理する過程と定義されています。外部の情報とは、五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)という感覚器から得る刺激のこと。
そして、人間が受け取る外部からの刺激のうち、約80%が視覚からということを考えると、視覚がいかに脳と関係が深いかよく分かります。
視覚機能が衰えるとどうなる?
視覚機能は、大きくわけて以下3つの機能があるといいます。
1.眼を動かしてものを見る運動機能。 2.眼で見た情報を脳で処理し、色や形、向きや位置などを正確に認知する機能。 3.眼で見た情報に従って、体を動かす機能です。
(引用元:ケンカツ!|視覚を鍛えるだけ!成績や仕事の効率がアップする!)
北出氏によれば、どんなに視力がよく遠くが見えても、眼球運動に問題があると、何かを探す際にひどく時間がかかってしまうのだとか。また、これらの機能に問題があると次のようなことが起こるそうです。
・眼精疲労や頭痛 ・慢性の肩こり ・活字を読むスピードが低下 ・数字などの見落としミス頻発 ・仕事や勉強の効率がダウン ・動きを正確につかめず運動が苦手に
そのまま歳を重ねると、こんなことまで……!
・物忘れ ・方向音痴 ・家事や外出がおっくうになる ・うつ状態になる可能性
つまり、視覚機能が衰えるということは、ただ見えにくくなるというわけではないということ。でも、逆をいえば、視覚を鍛えることで、速読力や集中力、記憶力をアップできる可能性があるということです。
視覚トレーニングの方法
そこで北出氏は、視覚を鍛える「眼の筋力トレーニング」を行うようすすめています。視力も回復し、脳も活性化できるそう。毎日5分程度行うだけでもいいそうですよ。
ペンを用いた眼球運動
日本視覚能力トレーニング協会代表理事の飯田覚士氏が、ロンドンオリンピックミドル級金メダリストの村田諒太選手や、子供たちに教えているという眼球運動をご紹介します。ペンを1本用意して、以下の手順で各10秒ほど行います。動かすのは目と手だけ。顔や体は動かしません。「赤い色」のボールペンやマジックがおすすめです。
1.ペンを目線の高さで縦に持ち、手を左右平行に動かして、それを目で追う。 2.ペンを横にして持った手を上下に動かし、それを目で追う。 3.ペンを縦に持った右手を、右上から左下をくり返し往復させ、それを目で追う。 4.3をすべて逆にして行う 5. ペンを持った手で、顔のまわりに大きく円を描き、それを目で追う 6.5の反対回りを行う 7.ペンを持った手で、顔のまわりに八の字を横に描き、それを目で追う 8.ペンを縦に持った手を、目の中心に寄せたり、離したりする
遊びながらできるトレーニング
北出氏は、扱うものを目で追う以下の遊びも、立派な視覚トレーニングだと説明しています。
・お手玉 ・神経衰弱(トランプ) ・七ならべ(トランプ) ・百人一首 ・けん玉 ・ビー玉遊びなど
また、通勤時の電車のなかで、目を左右や上下、斜めに動かしたり、近くや遠くを交互に見たり、目をぐるっと回すだけでも効果的なのだとか。ちなみに筆者は仕事中に目が疲れると窓の外を見て、遠くにある建物や木々、近くにある建物や木々を交互に見るようにします。視覚トレーニングをしながら、自然な光と色で目をほぐすことができますよ。
*** 視覚トレーニングの効果は1~2ヵ月で実感できるとのことですが、1回行うだけでも驚くほど目がスッキリします。ぜひお試しあれ!
(参考) ケンカツ!|視覚を鍛えるだけ!成績や仕事の効率がアップする! ケンカツ!|【視力回復】目のトレーニングのやり方 プロボクサー村田諒太選手も実践! 脳活バランサーCogEvo シリーズ – 株式会社トータルブレインケア|認知機能の見える化プロジェクト|認知機能とは 内藤貴雄著(2009),『脳は眼から鍛えなさい! 』,フォレスト出版.