「ダメ元でお願い!」では相手のやる気を半減させる。仕事を頼むとき最初に言うべき言葉とは?

良好な関係性のなかで相談および頼みごとをしているビジネスパーソン

仕事の報告・相談をするとき、もしくは何かを依頼しようとするとき、本題に入る前から、相手の不快感や無関心を感じ取った経験はありますか? もしあるとすれば、それは多くの人が言いがちなNGワードを、冒頭で使ってしまったせいかもしれません。

その言葉に何かをプラスしたり、言い回しを変えたりするだけで、ずいぶんと状況はよくなり、相手は気持ちよく話を聞いてくれるはずですよ。具体的な例を挙げて説明しましょう。

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STUDY HACKER 編集部
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NG例1.「ちょっとお時間よろしいですか?」

「ちょっとお時間よろしいですか?」――あらゆるビジネスシーンで聞こえてきそうなフレーズですが、これで話を切り出すのはおすすめできません。相手がその “ちょっと” を判断しかねるからです。

ずいぶん前のことですが、筆者も厳しい先輩に相談するため、「ちょっとお時間よろしいですか?」と切り出したところ、イライラした様子で「ちょっとって、どれくらい?」と返されました。

コミュニケーションをテーマに各種メディアで活動する、研修講師の深谷百合子氏は、「ちょっとお時間いいですか?」と最初に切り出されても、サッと聞ける5分程度の話なのか、じっくり聞いたほうがいい30分ほどの話なのか、判断しにくいと説明します。

したがって、誰かに報告や相談をするときは「5分だけお時間よろしいでしょうか?」といった具合に、どのくらいの時間が必要なのか先に伝えるべきだと深谷氏。また、もちろん宣言するからには時間厳守です。そうしないと、せっかくスタートがよくても、結果イライラさせてしまうので注意しましょうとのこと。

(参考元:PRESIDENT Online|「ちょっとお時間いいですか」と言ってはいけない…仕事のできる人が職場で使う「スマートな相談」のコツ

かつての筆者も、何分ぐらいで終わる話なのかを最初に伝えておけば、先輩を不快にさせずにすんだのかもしれません。

所要時間を伝えたうえで会社の先輩に相談にのってもらっている後輩

NG例2.「〇〇の件で――」

前項のように所要時間を伝えて話を切り出す場合、もしかしたらこんなやり取りがあるかもしれません。

部下:恐れ入りますが15分ほどお時間いただけますでしょうか?
上司:いいけど、何?
部下:〇〇の件です

一見すると特に問題なさそうですが、最後の言葉「〇〇の件です」には足りないものがあります。それは、“これから何を伝えようとしているのか” です。

筆者も昔はよく「〇〇の件です」と伝えたあと、的を射ない説明を延々と上司にしていた気がします。そうすると途中で上司が笑い出し、「真剣な顔して何の話かと思ったら――工場が試作品の配色を間違えたとかで、先方との打ち合わせ日を変更する件でしょ。それはもう連絡したから大丈夫だよ」などと教えてくれました。

しかし、伝えるプロフェッショナルの話を聞くと、当時の自分がいかに上司の優しさに甘えていたかがわかります。コピーライター&CMプランナーの勝浦雅彦氏いわく、これから何を伝えようとしているのかをはっきり示さなければ、話が終わるまで目的が伝わらないため、相手を困惑させてしまうとのこと。まさに、筆者が若い頃の上司はそうだったに違いありません。

そうしたことから勝浦氏は、「○○の件です」だけでは不十分だとして、

「○○の件でご報告があるのですが〜」「○○の件で相談をさせてください」など目的地をまず伝えなければならない

(参考および引用元:STUDY HACKER|「○○の件です」で話を切り出すと相手にストレスを感じさせる理由。最初に言うべき言葉とは?

と説明しています。

前項を含め、これまでの内容をふまえて筆者の例で言うと「恐れ入りますが15分ほどお時間いただけますでしょうか? 試作品のカラーが違っていた件でご相談があります」といった切り出し方が最適だったのかもしれません。

ベストな切り出し方で相談を始めたビジネスパーソン

NG例3.「ダメ元でお願いなんだけど……」

やむをえない事情があり、誰かに無理なお願いをしなければならないとき、どんなに親しい間柄でも、“ダメ元でお願いなんだけど……” などと前置きするのはやめたほうがよさそうです。

その切り出し方だと、「真剣なお願いではないようだ」あるいは「そもそも引き受けることを期待していないようだ」と判断されてしまう可能性があるからです。

キャスター、報道ワイド番組プロデューサーなどを歴任した、政治・教育ジャーナリストの清水克彦氏は、面倒なことをお願いする場合、相手にプレッシャーがかかるような表現は避けるべきとしながらも、だからと言って「ダメ元でお願いするのですが...」という表現には注意が必要だと述べます。

それだとまるで、お願いを受けてもらえないのが当然だと、前置きしてからお願いするようなものだからです。清水氏自身もこう言われると、「うまくいけば儲けもの」程度のお願いだと感じ、助けようとする気持ちが半減してしまうそうです(参考およびカギカッコ内引用元:PHPオンライン|「ダメ元ですが...」は逆に印象を損ねる? 相手の負担)。

筆者の友人も以前、雑談中にある人物から「忙しそうなのでダメ元で言いますが、〇〇の仕事を引き受けてくれませんか?」とオファーされたことがあると言っていました。しかし、その場のノリで言っているのだと感じ、特に前向きな反応は示さなかったのだとか。ところがのちに、まじめなオファーであったことを知ったそうです。

清水氏が挙げている例を参考にすると、その人は「無理を承知でのお願いですが...」などと冒頭に言えばよかったのかもしれません(この段落のカギカッコ内引用元:同上)。

無理を承知の上で、忙しい同僚に丁寧に頼みごとをするビジネスパーソン

NG例4.「誰でもいいんだけど」

「誰でもいいんだけど」という前置きのあとで、「じゃあ〇〇さんやってくれる?」と仕事を頼まれた。それが大事な仕事だとわかっていたものの、意欲がそがれてしまった――そんな経験はありませんか? 逆に「〇〇さんだからこそやってほしい」と言われて、がぜんやる気が湧いたこともあるのではないでしょうか。

講演・セミナー・企業内研修事業などを行なう、マネジメントサポートグループ代表の古谷治子氏によると、何かを頼む際に余計な前置きをしてしまう人は多いのだとか。たとえば「誰でもいいんだけど」のほか、「どうでもいい仕事なんだけど」「急がないんだけど」といった言い方がそれに当たるそうです。

古谷氏は、こんな言い方では、言われたほうもやりたくなくなってしまうと注意を促し、「相手がこれは得意と自認しているところをほめながら頼むこと」が大切だと伝えています(参考およびカギカッコ内引用元:日本経済新聞|言葉遣い・社内編 話し方で仕事楽しく)。

もしかしたら、余計な前置きをしてしまう人の真意は、

  • みな優秀なので誰に頼んでもできるはず
  • プレッシャーを感じてほしくない
  • 無理を言いたくない

といったところかもしれません。しかし、先に挙げたような言い方で、その真意が伝わるとは限りません。そのうえ、相手を傷つけ、意欲もそいで、仕事のパフォーマンスを低下させてしまいます。

そういった状況を避けるためにも、「この仕事には〇〇さんが必要です。分析が得意なあなたに、ぜひお願いしたいのです」といった具合に、相手を尊重しながら切り出してみてはいかがでしょう。

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今回説明したように、仕事の報告、相談、頼み事をしようとするときは、最初に伝える言葉に注意が必要です。言うべきことを間違えてしまうと、相手は判断しかねたり、イラっとしたり、戸惑ったり、意欲を低下させたりしまう可能性があります。

そうした非生産的な時間が、相手の大事な時間を奪ってしまわないよう、真剣さが伝わってわかりやすく、また判断しやすく、相手を尊重した切り出し方を心がけましょう。

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