「目標を紙に書くと年収が10倍になる!?」ハーバード大学の調査で明らかに。

みなさんは勉強に対するやる気をどうやって出していますか? 「この日は勉強する!」と決めていたはずなのに、いざ当日になるとやる気が起きずだらだらしてしまう。エンジンがかからないまま勉強し始めてしまい、なかなか効率が上がらない……。そんなことはないでしょうか。

やる気は、実は脳科学的な方法で出すことができるのです。利用するのは、「プライミング効果」。一体どんな効果なのか、どのように活かせるのかご説明していきましょう。

プライミング効果

プライミング効果とは、先に知覚した事柄が後の知覚に影響を及ぼす効果のことです。

「10回クイズ」をやったことがあるでしょうか? 「ピザ」と10回言った後、「ひじ」「ひざ」と言ってしまうというあのゲームです。もちろん「ピザ」なんて言わなければ「ひじ」と即答できるはずですよね。このゲームでは、「ピザ」を先に言うことがその後の思考に影響を与えています。これがまさに、プライミング効果なのです。

もう一つ、プライミング効果を体験してみましょう。

【れ◯◯◯こ】

◯に入る文字は何だと思いますか? いくつも答えが思い浮かぶ人と、なかなか思いつかない人。さまざまな反応がありそうです。では、次の単語を見た後にもう一度考えてみてください。

「キャベツ」「牛乳」「電子レンジ」

【れ◯◯◯こ】の答えがすぐに思い浮かんだのではないでしょうか? そう、「れいぞうこ」です。

このように、私たちの脳の処理は、先に入ってきた情報に影響されます。先に何かを見聞きすると、それに関連のある情報のほうが、無関係な情報よりも入ってきやすくなるのです。

このプライミング効果、実は勉強に有効活用することができるもの。その具体的な方法を3つご紹介します。

1. 目標や計画は紙に書く

勉強において達成したい目標学習計画を立てたら、紙に書いて可視化しましょう。例えば、試験に合格したければ「◯◯の試験に合格する」。1ヶ月で参考書を終わらせたければ「〇月〇日までに参考書を完成させる」。このように目標を書くとともに、目標達成に向けての詳しい計画を書くのです。

目標を紙に書くことの有効性について、1979年から10年間かけて、ハーバード大学で調査が行われました。調査開始の1979年、同大のある教授が学生たちに目標を持っているかどうか質問すると、「目標を持っていてそれを紙に書いている」学生は全体のたった3%だったそう。そして10年後、元学生たちについて再び調査したところ驚くべき結果が得られました。目標を紙に書いていた3%の人たちの平均年収は、残りの97%のなんと約10倍だったのです。

また、私たちがよく知る有名アスリートの中には、目標を紙に書き、実際にその目標通りに成功を遂げた人が少なからずいます。野球のイチロー選手、サッカーの本田圭佑選手、ゴルフの石川遼選手がその例です。

3人はそれぞれ、小学校の卒業文集に自分の夢について作文を書きました。それも、ぼんやりした内容ではなく非常に具体的な作文です。イチロー選手が作文で掲げた目標は、入団契約金1億円以上。本田選手は、Wカップに出場しブラジルを2対1で破りたいと書いています。石川選手は、中学2・3年、高校1・3年、20歳で達成したい大会実績を事細かに記しました。作文に目標を詳しく書いた3人は、小学生当時の目標を手放すことなく努力し続け、スーパーアスリートとなることができたのです。

これらの成功例は、いずれもプライミング効果によるものだと見てよいものです。ならば私たちの勉強にも、プライミング効果を取り入れない手はありません。勉強の目標を紙に書き、文字にして目で見ることで、「目標を達成しよう」「計画通りやらなければ」という気持ちを強く持ち続けましょう。頭でああしたいこうしたいと考えているだけでは、目標を忘れてしまったり、覚えていても常に意識できなかったりします。目標に対する意識を持ち続け、勉強のやる気をキープしてください。

2. 「朝」から勉強モードに入る

朝起きて「今日こそ勉強するぞ!」という日を迎えたら、朝のなるべく早いうちに、その日頑張りたい勉強内容に少しでも触れましょう語学の試験の過去問をやると決めた日なら、朝食の前に単語帳をパラパラめくってみる。専門書やビジネス書などを読んで勉強する日には、新しい本なら朝一番で「はじめに」と目次に目を通す、続きを読むなら前回までに読んだ内容の復習をする。こういった具合です。

起きてすぐの脳は、まっさらな状態。ですから、他の情報による影響を受けることなく、スムーズに勉強内容を吸収することができます。そのタイミングで「今日やるべき勉強」の内容を脳に入れておくと、プライミング効果が働き、その日一日の勉強意欲が上がるほか、勉強の効果もアップさせることができるのです。

脳科学者の茂木健一郎氏も、プライミング効果を活かした勉強法を推薦しています。茂木氏によると、朝一番で学習した内容が、その日1日の脳のモードに影響を与え、日中普段通りに生活していても学習内容に関連した情報が入ってきやすくなるそう。勉強をしようと構えなくても、無意識に脳が勉強してくれるというわけなのです。

「朝の勉強」といえば、デキるビジネスパーソンの中には朝活として勉強や読書している人が多いと、よく聞きませんか? 彼らは日中多忙なため、自分のために使える朝の時間を自己啓発に当てているという側面はありますが、これはプライミング効果の観点からみても実に理にかなったこと。『仕事に効く! 朝10分の読書術』の著者で、経営コンサルタント・ビジネス書作家など多彩に活動する中島孝志氏は、朝に読書を通じ学ぶことの効果を以下のように説明しています。

「本で得た情報を今の仕事にどう生かすか、いつも意識しながら読書に臨むことで、脳が自然と活発になります。考える癖がつけば、黙っていても検索モードが自動的に起動するから脳というのはすごいのです」

(引用元:20代の”はたらき”データベース『キャリアコンパス』- by doda –|【朝の10分で大きく変わる!】仕事の成果につながる「朝活読書実践術」)

また、『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』の著者で“朝活の第一人者”と呼ばれる池田千恵氏も、朝に読書をすると、得た知識をすぐに実践に移すことができるため、スキルアップのチャンスが広がると言います。

やる気アップにも、勉強効果アップにもつながる「朝勉強」。ぜひすぐに実践してみましょう。

3. 音読してエンジンをかける

勉強しようと決めていたはずなのになかなかやる気が起こらない時は、音読が有効です。いざ問題を解こうと思っても問題文が頭に入ってこない。参考書に書いてある内容を理解するのに時間がかかる。このように勉強のエンジンがかからない場合は、勉強の内容を声に出して読みましょう。

音読で目・口・耳をフル活用して情報を脳に入れ、脳を活発化させると、後の内容はプライミング効果によってスムーズに入ってくるようになりますよ。スラスラと音読をすると、記憶や学習と関連する前頭前野が活発になることもわかっているそうです。また、勉強のとりかかりの段階で15分ほど音読をすると、やる気に関係する脳の部位・側坐核が刺激され、だんだんと勉強が楽しくなってきます。勉強意欲が増してくるでしょう。

勉強しはじめてもなかなかエンジンがかからない時は、意識が勉強内容に向いてくるまで音読をしてみてください。問題集の問題文に参考書、ビジネス書や専門書など何でも構いません。声に出して読んでいるうちに、きっと集中できるようになりますよ。

音読しながら勉強することの効果については「勉強嫌いも関係ない! 京大生おすすめの『とりあえず音読』勉強法のすごいメリット」でも詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

*** プライミング効果を上手く活用すれば、脳をやる気にさせることができます。勉強に気持ちが乗らない時、この効果を意識してみてください。やる前・やり始めに勉強内容を脳に認識させてしまえば、やる気は自然と湧いてくるはずです。

(参考) 脳科学辞典|プライミング効果 メンタルヘルス情報サイト|プライミング効果とは? 致知出版社|脳トレの川島隆太さんが実証データ「速音読で、脳の回転速度が速くなる」 コトバンク|前頭前野 20代の”はたらき”データベース『キャリアコンパス』- by doda –|【朝の10分で大きく変わる!】仕事の成果につながる「朝活読書実践術」 東洋経済オンライン|「だらだら過ごす夜」の罪悪感と決別する方法

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト