今の仕事に直接関連しない分野の勉強こそ、むしろ今やるべき!
スキルアップのため、実務知識の習得や資格取得など、現在の業務に直結する武器を身に付けようと努力している人は多いと思います。
一方で、会計・英語・IT・法務・経営学といった分野のビジネススキルについてはどうでしょう。ビジネスパーソンの必須スキルとしてビジネス誌などで特集が組まれる機会も多いですが、「確かに有用そうな知識ではあるなあ」「いつかは勉強したいなあ」とは思いながらも、今すぐ必要な知識というわけでもないのでついつい後回しにしてしまっているという人も多いのではないでしょうか。
しかし、「今すぐ必要というわけでもない知識・スキル」こそ、早いうちに身に付けておくほうが得策ですよという話を以下に述べたいと思います。理由は大きく3つあります。
【1】一見実務に直結する知識ではなくとも、実は水面下で大いに役立つ
たとえば、会計知識のあるなしでビジネスの見え方が大きく変わってくるということはよく言われています。他にも、経営学や経済学の知識を身に付けることによって「経済ニュースの裏を読む力」「未来を予測する力」が磨かれますし、法務の知識やノウハウを蓄えておくことで、リスクマネジメントや組織運営の健全化に寄与することができたりもするでしょう。
こうした知識はビジネスのベースとなる知識として、業務効率や組織の業績を大きく改善できる可能性を秘めているのです。
【2】実際にその知識が必要になったときに勉強を始めようとしても遅い
ビジネスシーンでは、上からの命令でまったく畑違いの業務に突然駆り出されることや、短期間で特殊な専門分野に関する知識の習得・資格の取得が求められることが往々にしてあるものです。実際にその知識が必要になったときには、じっくり勉強している暇などないケースが多いわけです。
そうした知識や資格は時間に余裕があるうちに身に付けておいたほうがのちのち慌てなくて済みますし、必要になったタイミングで素早く対応できれば、「あいつは何でもすぐにうまくこなせてすごいなぁ」と周囲からの評価も上がることでしょう。
【3】年齢を重ねれば重ねるほど勉強には苦労してしまう
「年を取ったら記憶力や集中力が落ちてきて、勉強がしんどい」という人がいますよね。私も人のことは言えないなと感じています。つまり、今苦労している勉強も、5年後・10年後に同じことをやろうとしたらもっと苦労することが目に見えているのです。
現在以降の人生において、「今」が最も勉強に適している状態にあると言っても過言ではないのです。
資格もできるだけ早いうちに取っておいたほうがいい!
また、スキルアップの中でも特に「資格取得」について言うと、早いうちから挑戦しておくべき理由はさらにいくつか挙げられます。
【4】資格試験はある年いきなり難しくなることはあっても、その逆はほぼない
資格試験は一般的に、創設されてから歴史が浅い段階ほど合格しやすいです。その理由はいろいろありますが、たとえば、 ・第1回~第2回くらいまでの試験では実施機関側も探り探りやっているので、評価が甘めになりやすい ・資格創設当初は資格取得者をできるだけ増やす方針で運用されるケースが多く、逆に合格者が増えすぎてくると合格者数が絞られることがある といったことが挙げられます。
前者の例としては、不動産分野の国家資格である管理業務主任者が挙げられます。この試験の合格率は例年20%程度なのですが、2001年の第1回試験のみ合格率58.5%という異常値を叩き出していました。
また、試験の合格率がある年に突然暴落する例としては、行政書士や社会保険労務士が挙げられます。行政書士は2003年試験で、社会保険労務士は2015年試験でいずれも合格率が例年の10%前後から2%台に急落しています。
【5】教材や試験対策情報が充実してくると、他の受験者と差をつけにくい
資格試験の受験者規模や知名度が成熟段階に入ってくると、数多くの出版社から教材・参考書が出版されたり、新しい試験対策サイトやサービスがどんどん生まれてきたりします。教材の選択肢が増える・勉強しやすくなるという点ではありがたいことなのですが、多様な教材が世にあふれる結果、他の受験者との差をつけにくくなってしまうのもまた事実です。そのような成熟段階に至ってしまう前に、早いうちに挑んでおくほうが合格しやすいともいえるわけです。
ちなみに最近では、2016年に英語検定・TOEIC・日商簿記検定といったメジャー資格において試験内容・出題形式が改定されました。これらの資格を狙うなら、他の受験者がまだ十分に対策の手を打てていないうちに臨むのが効果的といえそうです。
*** ということで、林修先生の「今でしょ!」ではないですが、「いつかは勉強してみたい」という分野が何かあるのなら、今すぐにでも着手することをぜひおすすめしたいですね。