なぜ、試験直前期に部屋の掃除をしてしまうのか?
突然ですが、こんな経験があなたにもないでしょうか?
・いよいよ試験が明日に迫っているのだけれど、勉強する気がいまひとつわかず、その代わりについつい部屋の掃除をしてしまう。なぜか無駄に本棚の整理をしてしまう。 (掃除や片付けなんて面倒なので、普段は絶対自分からすることはないのに……) ・期限が迫ってきてそろそろ手を付け始めなければいけない仕事があるのだけれど、どうもギリギリまで着手する気が起きず、ついつい書類整理やPC内のファイル整理など、優先順位がまったく高くない別の作業ばかりしてしまう。 (いつもはあえて積極的に書類整理などすることなどまずないのに……)
普段はあえて積極的に掃除や整理などをすることなどほとんどないのに、他にもっとやるべきことがあるときに限ってなぜかやってしまうという不思議な現象です。やりたくないので普段はめったにやらないこと(掃除など)でも、そこにもっとやりたくないこと(試験勉強など)がさらに出てくると、「勉強するくらいなら掃除でもしてたほうがまだいいよ」という思考回路が働いてしまうというわけですね。
これは逆に言うと、「掃除は正直面倒だけど、そろそろやらないといけないなぁ」という場合には、掃除よりももっと嫌なこと・やりたくないことをつくれば、自分の行動をうまいこと掃除へと向けることができるということを意味します。
「勉強」という行動へと自分を向けるためには
では、「勉強は正直面倒だけど、やらないといけないなぁ」というときにはどうすればよいでしょうか。そう、勉強よりもさらに嫌なこと・やりたくないことをつくってしまえばいいというわけですね。
勉強にいまひとつモチベーションがわかない、やる気が起きない、ということは誰しも経験することだと思いますが、そういうときには「勉強よりもやりたくないこと」をあえて積極的につくってみたり、仮想タスクとして具体的に洗い出したりしてみましょう。
私が実際よく使っている「勉強よりもやりたくないこと」は、ズバリ「風呂掃除」ですね。風呂掃除は個人的に本当に面倒で大嫌いなので、いつも極限まで実行を先延ばし先延ばしにしてしまうことがよくあります(笑)。「あ~、そろそろ風呂掃除をやらなきゃいけない時期だけど面倒だなぁ~、風呂掃除するくらいなら○○検定の勉強でもしてようかな…」とポジティヴに(?)考えて、自分のモチベーションをうまく勉強のほうへと誘導する、ということを日々ひそかに行っています。
あまり胸を張って言えるようなことでもありませんが、これは自分の心の中だけで行っていることですから、別に誰に恥じることもありません。考え方ひとつで行動がスムースに勉強へと向くのならしめたものだ、と考えてやっています。
人は何かにつけて「比べてしまう」生き物である
そもそも人は「相対的」な感覚で動く生き物です。
たとえば1,000円の弁当が単体で売られていると「高いなぁ」と思えてしまいますが、1,000円の隣に1,500円の弁当が並んでいると、同じ1,000円であるにもかかわらず相対的に割安に感じられるので、より売れるようになるそうです。行動経済学の本などに詳しく書かれています。
「弁当をあえて値下げせずとも、隣にもっと高い弁当を置けば売れる」というのは、「勉強へのモチベーションの絶対値をあえて高めずとも、他にもっとやりたくないことがあれば行動が勉強に向かう」というのと同じです。
というより「勉強へのモチベーションを高める」というのは口で言うのはたやすいですが、実際のところはそう簡単にはいかないもの。要は結果的に自分の行動が勉強へと向かえばいいので、「○○と比べると勉強のほうがまだマシ」と相対的に考えて、間接的に勉強の優先順位を自分の中で高めていくことが、本来向けたい方向に自分をうまく動かしていくためのコツです。