「“ヤマかけ” はむしろ積極的に!」 資格Hacker 鈴木秀明のシカクロード for StudyHacker【第18回】

「ヤマかけ」というのは、一般的には「正攻法ではない」「あくまで最後の手段」というように、あまり好ましいやり方とはいえないこととしてとらえられがちですが、私はむしろ「勉強の過程で積極的に行っていくべき」ことだと考えています。

というのも、試験の問題や出題傾向を予測して「ここはいかにも試験に出そうだなあ」「自分が出題者ならここをこうひねってこういう問題を作るなあ」「テキストのこの部分はこういう形で出題されるんじゃないかなあ」といったことを意識しながら参考書を読んでいくと、ただ漫然と読み進めていくよりもよほど内容が頭に入ってくるようになるからです。

「どの箇所から出題されるかな?」を考えながら読み進めていくことで、本の内容をただ鵜呑みにするのではなく自分でも吟味しながら読むクセがつきますし、ゲームを攻略するような感覚で楽しみながら勉強を進めていくこともできます。

そして何より、もしそのヤマがうまいこと的中して実際の試験でも出題された! なんてことになれば、他の受験生に対して大きなアドバンテージとなるわけです。「ヤマかけ」はまさにいいことづくめの勉強法である、と声を大にして主張したいですね。

自分が出題者なら……と考えてみると、勉強への意識が大きく変わる

ヤマかけに際して、ひっかけ要素として使われそうな関連キーワードを探したり、参考書のページごとに特に重要そうなポイントを見極めたりする作業は、試験攻略に対する嗅覚を大いに鋭くしてくれます。

たとえば「このワードとこのワードはごっちゃになりやすいから、これらを入れ替えて誤りの内容とするような正誤判定問題が出るのでは?」「自分はAだと思い込んでいたけど正しくはBなのか、知らなかったなあ……。多くの人は誤解してAだと思ってそうだから問題として出そうかも?」などと考えながら勉強を進めていくことで、出題の「勘どころ」をつかむ力が磨かれます。うっかり間違えそうなポイントを洗い出すという意味でも、得点力に大きく寄与する作業だといえます。

つまり、出題者の立場になって考えてみると、参考書の読み込みや試験勉強に対する姿勢・意識が大きく変わってくるよねということなのですが……、このことを私が真に実感したのは、私自身が実際に作問者となる機会をいただいたことがきっかけでした。

数年前に、とある検定試験の試験委員として、その検定の公式テキストの内容から実際に試験問題を作成するお仕事をさせていただいた経験があるのですが、「テキストのどの部分からどのように出題しようかな?」ということを考えながらテキストを隅から隅まで読んでいくということをしていると、びっくりするくらいにテキストの内容がよく頭に入ってくるのです。なんとなく読んでいるだけだと読み飛ばしてしまいそうな細かい記述までも注意を働かせて目を配るようになりますし、「受験者にぜひ理解しておいてほしい(ぜひ問題として出したい)ポイントはここだな」と特に重要な箇所に重点を置いて内容を吟味するようにもなります。

思うに、試験勉強をしていると、「参考書に書いてあることを覚える」とか「出された問題に答える」ということを繰り返しているうちに、どうしても「やらされ感」というか「受け身」的な感覚に陥りがちで、モチベーションもいまひとつ高まってこないものです。惰性でただ読んでいるだけで内容は頭に入ってない、ということにもなりがちです。

そうではなくて積極的に「自分が出題者だったらこういう問題を出すね!」「この制度はこうなってるみたいだけど、ここをこう変えるほうが絶対もっとよくなるね!」というように能動的に考えるスタンスをとっていくほうが確実に頭に入ってきますし、何より、勉強が面白くなります

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解かされるより解かせたい

ちょっと話は変わりますが、一部の参考書では、章ごとや単元ごとに「章末問題」「演習問題」的なコンテンツが設けられているタイプのテキストがありますよね。これがあるとその章で学んだことを演習問題を解きながらさっそく復習できるわけで、理解できていなかった箇所や今後の課題がその場ですぐに明確になるので非常に効果的なのです。

しかし、このように「章末問題」を親切に設けてくれているテキストばかりではもちろんないですよね。であればいっそのこと、自分で「ヤマかけ」をしながら問題を自作してみるのはどうでしょうか。参考書読み1周目の段階で問題を自分でつくってみて、2周目でその問題が解けるかどうか試してみましょう。もし受験仲間がいるのであれば、友達と問題を作り合って「解き合い」をしてみるのも効果的です。

「ヤマかけ」「自分自身で問題をつくってみる」ということは、単調な試験勉強をクリエイティヴ・刺激的なものに変えてくれる “魔法のスパイス” なのです!

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鈴木秀明

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