去る2017年12月6日に、私が監修した書籍が刊行されました。『カッコいい資格図鑑』(主婦の友社)という本です。
さまざまな資格をカッコいいイラスト化して、読者に資格や仕事への興味・関心を高めてもらおうというようなコンセプトの本です。主に学生をターゲットとしていて、若者ウケしそうな美麗イラストを何名ものイラストレーターさんに描いていただきました。
今回は著者としてではなく監修者として参画した本なので、私が担当したのは主に原稿確認と巻頭言だけなのですが、ぜひ書店でチェックしてみていただければと思います。
ヴィジュアル化すれば、より印象に残る!
資格というと「お堅いもの」ととらえられがちなところがありますが、このようにイラスト化・ヴィジュアル化してしまうことで印象が大きく変わり、本来地味な資格や仕事でも興味を持たれやすくなるという側面は確かにあります。
そしてこれは、勉強法や記憶術についても同じことがいえますね。普通に勉強しているだけではいまひとつ面白味を感じない機械的な暗記事項や地味な暗記作業も、カッコよく具体的にイラスト化・ヴィジュアル化してとらえることによって、より印象に残るようになる・覚えやすくなるのです。
昔の知り合いや有名人などについて、「顔は思い浮かぶのに、名前が出てこない」という経験があなたにもないでしょうか。これは見方を変えると、「名前は出てこないけれど、顔は思い出せる」ということになります。つまり、単なる言葉(文字列)よりもヴィジュアルイメージのほうが記憶に残りやすい、すなわち、忘れにくいということです。
何かを覚えようとする際、単純に機械的な暗記で言葉・文字列だけを覚えようとするのではなく、それを何らかのイメージやストーリーに変換・展開し、ヴィジュアル化することで、より記憶に残りやすくなります。
このイメージやストーリーは、現実的・常識的に考えられるものでなくても、自分の頭の中だけの単なる妄想や空想の産物であってもまったくかまいません。むしろ、現実ではありえない突飛なストーリーや、どぎついイメージであればあるほど、強烈な印象を与えるので記憶に残りやすくなります。
たとえば、「横浜市旭区の『区の昆虫』は『ホタル』である」という暗記事項を覚えたいとします(ちなみにこれは「かながわ検定」の試験問題で実際に問われた内容です)。「旭区=ホタル」という関係性を機械的な暗記で覚えるのが難しそうであれば、「朝日(旭)からホタルが次々と生まれてくる様子」や「巨大なお化けホタルが朝日を飲み込もうとしている図」などをイメージしてみるといいでしょう。
また、形のない抽象的な概念などのワードは、何か具体的なモチーフに置き換えてやるのがコツです。たとえば「権力」であれば「王冠」に、「幸運」であれば「四つ葉のクローバー」に変換するといったぐあいに、その概念から想起・連想される具体的なモノやモチーフに置き換えてイメージ化します。
たとえば、法律(知的財産法)の勉強で「バレエやパントマイムの振り付けも、著作物として保護される」という事実を暗記したいときは、「著作物」のモチーフとして、著作権に厳しいディズニーのキャラクター・ミッキーマウスに登場してもらって、ミッキーがバレエやパントマイムを演じている様子をイメージして覚えるようにすると、より記憶に残るようになるでしょう。
既存のヴィジュアルイメージを、さらにデフォルメする!
また、さらに一歩進めて、すでにヴィジュアル化されているものをさらにデフォルメし、より親しみやすいヴィジュアルイメージに変えてしまうのも有効です。
近年、マンガ・アニメ・ゲームなどのメディア界隈で多用されている「擬人化」や「イケメン化」などがまさにこれです。たとえば、海軍の軍艦を美少女キャラに擬人化してしまった「艦隊これくしょん(艦これ)」や、日本刀や「国」をイケメンキャラ化してしまった「刀剣乱舞」「ヘタリア」はとても流行りました。また、「戦国BASARA」「戦国無双」などのゲームでは、戦国武将を実際の肖像画のヴィジュアルよりも大幅にイケメン化してしまっていたりしますよね。
戦国時代の人物や第二次大戦期の国際情勢について覚えたければ、教科書に載っている人物画や図版のイメージでそのまま覚えようとするよりは、こうしたデフォルメ・擬人化されたヴィジュアルイメージと結びつけて覚えてしまったほうが勉強が楽しいですし、より印象に残るようになるでしょう。
私も実際に、(失礼ながら)比較的マイナーな戦国武将の武功や事績などを覚えるときは、実際に肖像画として残っている「いかにもなおじさん顔」をイメージして覚えるのでは面白くないので、戦国マンガなどに出てくるイケメン顔のイメージと結びつけながら覚えるようにしています。(本当にかなり失礼なことを言っていますが…(笑))
何でもかんでもすべて自分だけの力でイラスト化しようとするのは難しいかもしれませんが、要は暗記事項を「より自分が覚えやすい形に適宜アレンジする」ことが重要だということです。暗記作業は地味で苦痛だという人は、ぜひこのような観点からの一工夫を考えてみてくださいね。