ポテンシャルを発揮しまくれる人は、“あの言葉” を口癖に仕事をドライブさせている。

ポテンシャルを発揮しまくれる人は、“あの言葉” を口癖に仕事をドライブさせている。

大手広告会社、外資系コンサルティングファームを経て、現在は日本IBMに勤めながら、各種の組織・人材系支援サービスをおこなう株式会社Eight Arrowsの代表取締役でもあり、数多くのビジネス書の執筆も手がける河野英太郎(こうの・えいたろう)さん現在45歳の、まさに働き盛りという世代の河野さんの目には、どういう人が「デキる人」に映っているのでしょうか

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹(ESS) 写真/玉井美世子

目的への最短距離ではなく最短ルートを描く

日本の経済がすごく伸びていた頃は、たくさん時間を投入すればいいものができるという時代でした。ただ、現在はそうではなくなってきています。バブル時代以前の人からは「俺たちは朝まで仕事をした」「午前3時から飲みに行った」なんて話を聞かされますが、正直、年下の世代にはピンとこない言葉です。

「真面目にがむしゃらに仕事をする」というのは、動機としては本来褒められるべき姿勢ですが、それだけではなかなか評価されにくくなってきているのです。では、いま現在はどんな人が優秀だとされるのでしょうか? それは、「目的に対して合理的である」人です。

よく「目的への最短距離を描く人」がいいとされますが、わたしからすればそれもちょっと違うと感じる。目的に対して一直線に最短距離で進もうとすると、どうしても抵抗勢力とぶつかるなどして結果的に遠回りになるということもあるからです。

であれば、そういう抵抗勢力もうまくなだめなければなりません。仕事には必要ないことだと飲み会や接待ゴルフを拒否している若い社会人もいることでしょう。でも、それが目的達成のために必要なことであれば、ケースによっては参加するべきです

そのように「最短距離に近いがそうではない最短の迂回路」を通る人がより早く効率的に成果を出せるのです。直線の最短距離ではなく「最短ルート」を進む考え方ですね。

目的にきちんと向かっていれば生意気でもいい

目的を見失ったままただがむしゃらに働くということのほか、真面目な人がやってしまうミスとしては、「礼儀を重んじすぎる」ということも挙げられるでしょう。上司に急ぎのお願いがある部下がいるとします。真面目で礼儀正しい部下は、上司に「ちょっとよろしいですか?」とアプローチする。その言い方だと、「いま忙しいから待って」と言われてしまう可能性もありますよね。しかも、礼儀正しいだけに部下は「わかりました」と引き下がってしまう。

そうではなくて、本当に重要なお願いなら、「3分でいいからください」と、目の前に書類を突きつけてしまえばいいのです。確かに失礼な行為かもしれません。この行為が失礼かどうかを上司に聞いたら、間違いなく失礼だと答えるでしょう。

でも、後回しにしたばかりに上司をつかまえられず、ちょっと目を離した隙に上司が外出して直帰してしまった。しかも、同僚に聞けば上司は明日から1週間の出張だという……。そうなってしまうと、1週間も仕事が止まるわけです。

では、その上司に「仕事が3分で終わるのと1週間かかるのではどっちがいいか」と聞いたら、間違いなく「3分で終わるほうだ」と答えるはずです。部下の仕事は上司の仕事でもあります。目的に対して合理的なのは、たとえ失礼であっても「3分で終わるほう」なのです

目的にきちんと向かっていれば生意気でもいい

礼儀を重んじすぎる人は、上司のことを考えているようで考えていない。自分のなかの恐れという感情を優先して、目的を達成する道筋から逸脱してしまっているのです。以前、飛行機が空港の滑走路への侵入経路を間違うという事故が起きたことがあります。途中で機長の指示の間違いに気づいた副操縦士でしたが、気づいていながらもそれに反論できなかったことが事故の原因だったという解説記事を読んだことがあります。これが事実なら、この副機長は、数百人の命より上司との関係、礼儀を優先してしまったわけです。

目的にきちんと向かっているのであれば、たとえ生意気でもいい。上司のために仕事をするのではなく、上司の向こうにいるお客さまのために仕事をするべきです。結果としてお客がよろこべば、上司にあれこれ言われることもないのですから。

河野英太郎さんの手

「とりあえず」ではなく「まず、次に」を口癖に

生意気ということでいうと、かつてのわたしも生意気でしたね(笑)。若い頃のわたしは自分の有能さをアピールしたくて、「はい、はい! わかりました! とりあえずやっておきます」と、なんでも引き受けようとしていました。アクティブでポジティブな若手を演じていたわけです。

すると、ある先輩に「おまえの仕事って、『とりあえず』のやっつけ仕事なの?」と言われたのです。生意気なわたしは「そんなわけないじゃないですか! じゃ、なんて言えばいいんですか?」と言った。それに対して、先輩は「『とりあえず』じゃなく、『まず』と言ってみろ」と答えたのです。

「とりあえず」ではなく「まず、次に」を口癖に

「まず」と言ったら、自然に「次に」という言葉が出てくる。「まず、次に、まず、次に」というふうに仕事に臨めば、その仕事は「やっつけ仕事」になることはありません

「言霊(ことだま)」という言葉がありますよね。言っている言葉が現実化するというものです。ちょっとスピリチュアルな話ですが、わたしは科学的な根拠があるのではないかと思っています。自分の言葉をいちばん近くで聞いているのは、紛れもなく自分です。年がら年中、「まず、次に」と言っている人と「とりあえず」と言っている人では、長い間にものすごい差がつくのではないでしょうか

「とりあえず」が口癖の人も、「やっつけ仕事をしよう」という気持ちなど持っていないかもしれません。でも、その言葉を使っているうちに、自分の行動を制限していることもあるはずです。いわば、自己暗示ですね。であれば、「とりあえず」ではなく「まず、次に」を口癖にして、より良い方向に自己暗示するほうが、断然自分の成長につながるはずです

【河野英太郎さん ほかのインタビュー記事はこちら】 怒りをぶつけまくる迷惑な人は「メンタルの自己分析」ができていない。 最高に優秀なリーダーは、部下の前で必ず “暇そうにする” という法則。

【プロフィール】 河野英太郎(こうの・えいたろう) 1973年10月14日生まれ、岐阜県出身。日本IBM部長兼株式会社Eight Arrows代表取締役。1997年、東京大学文学部卒業。同水泳部主将。大手広告会社、外資系コンサルティングファームを経て2002年に日本IBMのコンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門リーダー、サービス営業などを歴任。大企業グループ向けを中心に複数社の人事制度改革やコミュニケーション改革、人材育成、組織行動改革などを推進。著書に、2013年ビジネス書対象書店賞受賞、第4回オーディオブックアワード審査員特別賞を受賞し、6カ国語に翻訳された『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ』、同『リーダーのコツ』『メンタルのコツ』(いずれもディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

【ライタープロフィール】 清家茂樹(せいけ・しげき) 1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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