勉強なんて大嫌い! そんな人でも無理なく勉強を続けられる “脳科学的な” 方法

どうも勉強が好きになれない。どうしてもやる気が出てこない……。そんな悩みを抱えている方はいらっしゃいますか? 実は筆者も勉強が嫌いです。でも、そんなひとでも無理なく続けられる方法があるんですよ。脳科学や心理学で「勉強」を掘り下げつつ、その方法をご紹介します。

勉強が嫌いになってしまう原因

ところで、なぜ勉強が嫌いになってしまうのでしょう。

教師による研究団体TOSSを主宰する向山洋一氏は、子供が勉強を嫌いになる理由について、「勉強につまずくから」「興味・関心が持てないから」という2つを挙げています。

前者は、例えば足し算・引き算・掛け算と積み上げていくような勉強でつまずくと先に進めなくなるので、勉強そのものが嫌いになるといった具合です。後者は、その文字のまま。例えばどんなに有名な俳優さんが出演していて大ヒットした映画でも、興味がなければ鑑賞しないし、観たとしても内容をすぐ忘れてしまうのと同じです。

また、「生まれつき頭が良くないから、勉強が嫌いなのも生まれつき」なんてことを言う人がいます。でも、頭の良さや、勉強の得手不得手は、本当に生まれつきなのでしょうか。

脳はどう使うかで進化する

頭の良さや、勉強の好き嫌いは生まれつきか?

答えはノーです。全く同じ遺伝子を持った一卵性双生児を対象にした研究によれば、遺伝子が知能指数に与える影響は約50%。あとの50%は生きていくうちに変化すると分かったそうです。つまり、どう脳を使っていくかで、脳の働きが変わっていくということ。そのため、脳科学者の茂木健一郎氏は、「頭の良さは、生まれてからの環境、努力次第だ」といいます。

また、心理学者の多湖輝氏は著書『勉強嫌いが治る本』のなかで、環境で身についた習慣が、いかにそのひとの知的な部分や好みに影響するか伝えています。

音楽の好みについて調べたある調査では、人間には生まれつきの好みはほとんどなく、聞きなれた音楽が、そのひとの好みとほぼ一致すると報告されたそうです。そして同氏いわく、勉強に対する好き嫌いも、ある部分はこれと共通するとのこと。例えば学者家系の方が勉強好きになるのは、学者の血が流れていること以上に、本に囲まれながら育った環境が大きく影響するということです。

以上をふまえると、頭の良さや、勉強の好き嫌いは生まれつきではありませんが、それには勉強に慣れ親しむ環境と、正しい勉強法が必要だということになります。

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勉強は「正しい学び方」が大切

ところで、正しい勉強法とはどのようなものでしょう。それは、脳のメカニズムにそったやり方のことです。

大脳は、情報をインプットする際わずか5分でいっぱいになってしまいます。そのため、必要のない情報をどんどん捨てていくようにできています。

そして、その情報が必要か必要ではないかを仕分けているのが「海馬」という器官で、その判断基準は「生きていくために必要かどうか」ということです。つまり、「これを触ると危険」とか「あの場所は危険」といったことが最優先されてしまうのです。したがって、その判断基準にしたがっていると、どんなに勉強しても生死にかかわらない限り忘れてしまいます。記憶するためには、海馬をだますしかないのです。

つまり、正しい勉強法とは、うまく脳をだますということ。

そして、それが「繰り返し覚える」ということなのです。どんどん情報をインプットしていくのではなく、何度も何度も復習して、繰り返し脳に情報を送ります。すると脳の海馬は「ずいぶんしつこいから、これは必要な情報なんだね」と勘違いして、必要な情報に仕分けてくれるというわけです。それが記憶の定着です。

勉強はタイミングが重要である

東京大学薬学部の教授、池谷裕二氏は、著書で以下のような内容を伝えています。

睡眠は記憶の定着に深く関与しているため、寝る前の勉強はとても効率的。また、記憶を定着させるためにも最低6時間以上の睡眠が必要です。

なお、海馬に記憶された情報が保存されている期間は1ヵ月。そして、覚えた単語などを忘れる速度は人によってほとんど違いがありません。その性質から、学習した翌日に復習し、1週間後に復習し、それからさらに2週間後復習し、それからさらに1ヵ月後に復習といった具合に、計4回復習するのが効果的です。

また、記憶の種類には、経験したことによる「経験記憶」、学習による「知識記憶」、自転車の乗り方など無意識に覚える「方法記憶」というものがありますが、保存期間が1ヵ月で一番忘れやすいのが「知識記憶」。したがって、知識記憶と経験記憶を絡める、もしくは知識記憶を方法記憶に絡めるといったことも有効です。

勉強嫌いな人が勉強を続ける方法

以上をもとに、おすすめする「勉強嫌いな人が勉強を続ける方法」は以下の通り。

・とっかかりは興味・関心があることだけにする ・寝る前の30分だけ勉強する ・とにかく同じ参考書を何度も勉強 ・翌日ブログに、他愛のない日常的な出来事とともに学んだことを雑記する ・学んだことの成功例(仕事で活用した、成績がよかった、試験に合格した)もブログに書く

まずは「やらなければならないこと」ではなく「興味がわくことだけ」を選び、それを睡眠の助けや、日記という経験に絡ませることで記憶の定着を促し、ブログという不特定多数の人が見るかもしれないツールでアウトプットします。ブログはアクセス数というモチベーションを上げる要素があるので、ブログ更新のために参考書を開くこともあるかもしれません。

それに、誰かがブログにコメントしてきたら、必然的にその内容を再び確認することになります。それはいわゆる復習でもあり、勉強に慣れ親しむことでもあります。そこから、成功例が生まれれば、勉強が少しずつ楽しくなっていくはずですよ。

*** 勉強が嫌いな人でも勉強を続けられる方法として、「学習ブログによる雑記」をご紹介しました。実はこの方法を応用し、参考書ではありませんが、読んだ本で筆者も行っています。自分で書いた内容について何度も確かめ、更新することが記憶の定着に多大な効果を発揮しているので、これからどんどん広げていこうと思います。みなさんも、ぜひお試しあれ。

(参考) 日刊SPA!|子供が勉強を嫌いになる理由 カラパイア|頭の良さは遺伝子でどの程度決まる?(日本脳科学者) WAOサイエンスパーク|こうすれば記憶力は高まる!~脳の仕組みから考える学習法(東京大学・池谷教授)2014-6-6 多湖輝著(2014),『勉強嫌いが治る本』,ゴマブックス. 池谷裕二著(2002),『最新脳科学が教える 高校生の勉強法 東進ブックス』,ナガセ. Study Hacker|勉強に使わないなんて損! 東大生が『夜寝る前の30分』を英単語学習にあてて感じた、驚きの効果。

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