「努力は認められているはずなのに、なぜか仕事で頼りにされない」 「勉強熱心なのに、同僚の方が重要な仕事を任されている」
このような悩みを抱えていませんか?
実は、仕事で信頼されるかどうかは、知識や技術だけでなく、「EQ(心の知能指数)」が大きく関わっているかもしれません。
本記事では、周囲から信頼される高EQ者のコミュニケーション特性を紹介します。さらに、ビジネスリーダーに求められる新しい概念「DQ(良識指数)」についても触れ、一歩進んだビジネスパーソンになるためのヒントをお伝えします。
あなたのキャリアを左右する可能性のあるEQとDQ。その重要性と高め方を、一緒に探っていきましょう。
【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。
- EQとはなにか?
- 「EQが高い人」のコミュニケーション1. 周囲をうまく巻き込む
- 「EQが高い人」のコミュニケーション2. ネガティブな指摘を受け入れる
- 一歩進んだビジネスパーソンになるために:「DQ」を意識する
EQとはなにか?
知能指数を表すIQ(Intelligence Quotient)はみなさんご存じかと思いますが、心の知能指数と呼ばれるEQ(Emotional Intelligence Quotient)についてはどうでしょうか?
これは「感情をうまく管理し、利用する能力」のこと。(カギカッコ内引用元:Schoo for Business|EQの高い人の特徴とは? EQ(心の知能指数)を高める人材育成について解説)つまり、自分の感情を理解してコントロールする力を指します。
このEQ、じつは仕事に必須の能力です。「感情のコントロールが大切なのはなんとなくわかるけれど、仕事スキルのほうが必要では?」という気持ちが湧くかもしれませんが、仕事は自分ひとりでなく誰かと一緒にするもの。だからこそ、EQは仕事の処理能力と同じくらい重要な役割をもつのです。
次項から、高いEQをもつ人特有のコミュニケーションとその利点について見ていきましょう。
「EQが高い人」のコミュニケーション1. 周囲をうまく巻き込む
EQが高い人は、自分自身は客観的に認識しています。自分がどう見られているかがわかっているからこそ他者への気遣いや配慮ができ、信頼が厚くなるため、結果として周囲を巻き込む力に長けています。
EQの専門家である株式会社グロースウェル代表取締役の大芝義信氏は、EQが高い人は「怒りの感情が沸き起こっても立ち止まって考えるなど状況に応じた振る舞いができるから、対人関係においても協力者を多く得られ」るといいます。(カギカッコ引用元:リクナビNEXTジャーナル|EQとは?ビジネスで注目される理由と高める方法を解説)
たとえば部下の業務が遅れているとき、イライラしてしまう人は多いでしょう。しかし、EQが高い人は決して感情を相手にぶつけません。「手伝えばすぐに解決できるかもしれない」などと、いったん立ち止まって冷静に対応できるのです。
そのような対応を積み重ねると、「頼りになる」「自分のことを気にしてくれている」というように周囲はあなたに対して好印象を抱くでしょう。あなたが困っているときには助けてくれたり、誠実な対応をしてくれたりするようにもなるはずです。このように、EQが高い人のまわりには「その人を助けたい」と思うメンバーが増えるのです。
もし、困っているときに誰も助け舟を出してくれないなら、あなたのEQが低いせいかもしれません。自分の行ないとEQを紐づけて、振り返ってみてください。
「EQが高い人」のコミュニケーション2. ネガティブな指摘を受け入れる
仕事で指摘をされると、「これくらいいいじゃないか」と腹が立ったり、「自分には能力がないのかもしれない」と落ち込んだりする人も多いでしょう。しかし、EQが高い人は、他者からの指摘やアドバイスを素直に聞き入れます。
メンタルケア・コンサルタントの大美賀直子氏によると、EQが高い人は「失敗した自分を過剰に責めたり、間違いを指摘した相手を逆恨みしたりせず、まっすぐに自分の過ちを認めて自分の行動を正すことができ」るそうです。(カギカッコ内引用元:まいにちDODA|EQとは? 高い人はどんな特徴がある? IQとの違いも解説)
前項と同様、ここでも自分自身を客観的に認識する力が求められます。高いEQが身についてさえいれば、たとえ指摘を受けてムッとしたとしても、次に自分がなにをすべきかを考えられるのですね。
周囲からのアドバイスをあなたが素直に受けとれば、業務が改善するのはもちろん、指摘した相手からの信頼感も増して、より建設的な関係を築いていけるでしょう。
一歩進んだビジネスパーソンになるために:「DQ」を意識する
ここまで、EQの重要性をお伝えしてきました。EQは十分に身についていると感じた人は、さらに一段階上の「DQ(Decency Quotient)」も頭に入れてみてください。これは「良識指数」と訳され、「職場の全員にとってポジティブなことをやろうとし、全員がリスペクトされ、大切にされていると感じられるようにする」力を指します。(カギカッコ引用元:Harvard Business Review|リーダーにはIQとEQだけでなくDQが必要である)ビジネスリーダーを目指すなら、忘れてはいけない考え方です。
米国デューク大学フュークア・スクール・オブ・ビジネス学長であるビル・ボールディング氏は、次のように警告します。
EQを利用して、人を都合よく操ることもありうる。EQの高い人が、正しいことをするとは限らないのだ。
(カギカッコ引用元:同上)
EQが高い人のように他者と感情を共有し、良好な関係を構築するのはもちろん重要です。しかし、穿った見方をすれば、十分な信頼を得たあとなら人をコントロールすることもできてしまうわけです。そのような意図はなくても、いつの間にか道徳的な視点が抜け落ちる事態に陥らないためにも、DQの観点をもつべきですね。
リーダーや管理職になると、会社の利益を優先して考える必要が出てくるでしょう。しかし、利益ばかりを追求して周囲の人々について考えずにいては、真のリーダーにはなれません。ボールディング氏も、次のように述べています。
DQのあるリーダーは、重要なのは利益を維持することだけではないと知っている。彼らの決断は数百人、数千人、場合によって数百万人の人生に影響を与えるのだ。
(引用元:同上 ※太字は編集部が施した)
上の立場になればなるほど、仕事に関わる多くのステークホルダーの存在を意識しづらくなるもの。しかし、自分や会社の利益のために他人を利用していては、本当の意味でEQやDQが高い人とは呼べません。
自分の仕事には数えきれないほど多くの人が関わっているのを忘れず、その人たちの幸せのためにどうすべきか考えることで、あなたは周囲から慕われるかけがえのない人材として成長し続けられるでしょう。
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EQが高い人のコミュニケーションの特徴、くわえて理解しておきたいDQについて紹介しました。仕事の能力があるのにもかかわらず同僚たちとの連携がうまくいっていない人は、EQ・DQが低い行動をとっていないか振り返ってみてくださいね。
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