「書く瞑想」で心をリセット! メタ認知を活用したストレス解消法

笑顔のビジネスパーソン

仕事の疲れが溜まる一方で、なかなかリセットできない。そんな悩みを抱えていませんか?

日々のストレスやプレッシャーに押しつぶされそうになる時、その状況を客観的に捉え、適切に対処する力が求められます。この力こそが「メタ認知」です。

メタ認知とは、自分の思考や感情を俯瞰的に観察し、理解する能力のこと。この能力を磨くことで、ストレスの原因を特定し、効果的に対処することができるようになります。

本記事では、メタ認知を活用して心の整理を行う具体的な方法をご紹介します。筆者自身も実践してみましたので、その手順や感想もお伝えしていきます。

ストレス解消の鍵は、自分自身を客観的に見つめること。メタ認知を通じて、心の整理術を身につけていきましょう。

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

メタ認知能力が「心の整理」に重要なワケ

メタ認知能力は、“心の整理” に必要不可欠です。なぜなら、自分の思考を俯瞰して悩みの原因を特定し、それぞれに合った対処法をとることができるから。

公認心理師 ・産業カウンセラーである大美賀直子氏は、メタ認知を「ある出来事に遭遇したときに、自分が感じていることや考えていることを、より高い位置から俯瞰して捉えること」と定義しています。(カギカッコ内引用元:All About|「メタ認知」の力を高めれば、ストレスに強くなる!

つまり、「私はいま、何を考えているのだろう」と自分自身に問いかけることで、自らの認知を客観的にとらえ、そこにいたった経緯や理由を特定できるのです。

たとえば、メタ認知能力が十分に発達していない幼い子どもは、「部屋のなかが暑い/寒い」といった状況下でストレスを感じても、その原因を把握できません。そのまま放っておくと、倒れてしまうかもしれませんよね。

対して、子どもよりもメタ認知能力が発達している大人であれば、そのようなストレスの源泉を見抜くのは可能でしょう。暑ければ上着を脱ぎ、寒ければ上着を着るなど、それぞれの “負の感情” = 認知にあわせて対処できるのです。

大阪大学・鳴門教育大学の名誉教授である三宮真智子氏は、メタ認知に基づく活動をふたつに分け、自分の考えを客観視する「メタ認知的モニタリング」、それを修正・実践する「メタ認知的コントロール」と区別しています。これらは「循環的に働」くのだそう。(カギカッコ内引用元:日本心理学会|心理学ワールド 100号 「弱み」を「強み」に変える心理学 メタ認知の心理学

たとえば、プレゼンで思ったような反応が得られず、次回の内容に悩んでいる場面を想像してみてください。漠然と今回の失敗を悔やんでいるだけでは、次への成功にはつながりません。

そこで役立つのが、メタ認知的モニタリングとメタ認知的コントロールです。まず、「聞き手はこの資料に興味をもつはずだ」といった予想、「この部分の説明が不足していないか」といった点検により、現状を客観視します。これを受けて修正すれば、ただ悩むよりも前向きな対処ができますよね。

次に、メタ認知能力を応用した心の整理法を見てみましょう。

考えるビジネスパーソン

メタ認知能力を応用した心の整理法

メタ認知を用いて気持ちを整理するには、「書く瞑想」という方法が有効です。その考案者であり、習慣化コンサルティング株式会社 代表取締役の古川武士氏によると、次のふたつの要素によって書く瞑想は構成されています。

  • 「放電日記」= その日「気分を下げたこと」を書く
  • 「充電日記」= その日「気分を上げたこと」を書く

(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|1日の気持ちの「放電」「充電」を書き出すだけでストレスが緩和される

気分を下げたことといっても、何も大きな出来事ばかりを書くわけではありません。いつもの電車に乗れなかった、洗剤を買おうと思っていたのに忘れて帰宅してしまった……といった日常の出来事でいいのです。小さなストレスを無視せずに拾い上げてください。

放電日記の効果について、古川氏は次のように語っています。

放電の感情をスルーして放置すると、どんどん累積していき自分の気分を落ち込ませます。
 しかし、このように書き出すだけで、自浄効果が出て、ストレスが緩和していきます。
 放電ログを書くと、日々の不安、心配事、後悔、葛藤、自己嫌悪、怒りなどのマイナス感情が浄化されて減っていきます。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|1日の気持ちの「放電」「充電」を書き出すだけでストレスが緩和される

つまり、自分のエネルギーを吸い取っている原因を言語化し、ストレスの種を認識することで、マイナス感情を消していくのが放電日記なのです。

一方、「小さな達成感や感謝、学び、つながり、温かさなど、見過ごしていることを味わえて心の充足が得られ」るのが充電日記。(カギカッコ内引用元:同上)書き出すことで、自分でも気づいていなかったプラス感情まで知ることができるのですね。

「書く瞑想」をやってみた

では、筆者が実践した例を紹介していきましょう。

いずれの日記も、「1日の中で、あなたの感情、気分、エネルギーを下げた/上げたものは何でしょうか?」と自問することから始めます。これらふたつの日記には、次のふたつの書き方があるそう。

  • 「ログ」頭に浮かんだものを「箇条書き」する
  • 「セルフトーク」「独り言」のように文章化する

(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|1日の気持ちの「放電」「充電」を書き出すだけでストレスが緩和される

今回はより手軽な「ログ」の手法に絞り、実践しました。実際に書いたものがこちらです。

放電ログと充電ログ

まずは、放電ログから詳しく見ていきましょう。

筆者は普段、大学に向かう際に筆箱や学生証を家に忘れがち。この日も学生証を忘れ、図書館や自習室に入れずストレスを感じたため、ログに書き込みました

さらに、次回から同様の現象が起こさないためにどうすべきか考えると、次のような対策案を思いつきました。

  • 毎日帰宅したら玄関に置いておく
  • カバンから出さずに常に入れておく

そして、翌日から玄関に箱を置き、そこに鍵と学生証を入れるようにして対策案を実践したところ、改善できました

次の充電ログには、「友だちと休み時間に話せた」「1本早い電車に乗れた」などと書き込みました。普段から友人との会話は少なくありませんが、この日は放電パートで挙げたようなストレスもあり、いつもより嬉しく感じたのだと思います。また、通学時間の混雑を避けて学校に行けると、気分が軽くなって勉強にも集中できるので、これも充電要素に加えました。

勉強している2人

感情を「言語化」すれば、原因や対策がわかる

書く瞑想で気持ちを整理してみた結果、マイナス感情とプラス感情を言語化することでストレスが軽減され、落ち着いた気持ちで生活できるようになったと思います。気持ちが明るくなるというよりは、心の揺れ幅が少なくなり、焦らなくなったと言うほうが近いかもしれません。

また、「よく学生証を忘れてしまう」などマイナス感情の起点となる出来事を客観的にとらえ、次回への対策を練れたという点で、先項で確認したメタ認知的モニタリングとコントロールの実践にもつながりました。

普段の生活のなかで、いつも何かに追われていたり焦ってしまったりする人は、書く瞑想で心の疲れを軽減しましょう。

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自分が何にストレスを感じているのかを言語化して初めて、その原因や解決策を考えられるようになります。心の疲れや悩みの理由がわからない人は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

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