「目標を立てても挫折してしまう」「一生懸命勉強しても身につかない」
こんな悩みを抱えていませんか? 実は、これらの問題は意欲不足ではなく、むしろ意欲の高さゆえに陥りやすい落とし穴かもしれません。
本記事では、意欲的な学習者がつい犯してしまいがちな3つの失敗と、それぞれの改善策を紹介します。効果的な目標設定から、優先順位の付け方、そして効率的なアウトプット方法まで、あなたの学習効果を最大化するヒントをお伝えします。
【ライタープロフィール】
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。
- 1. 「高すぎる目標」を設定してしまう ⇒「達成可能な短期目標」を設定する
- 2. 「完璧な理解」を目指してしまう ⇒ 「優先順位」をつける
- 3. 「インプット」を優先してしまう ⇒「アウトプット」をこまめにする
1. 「高すぎる目標」を設定してしまう ⇒「達成可能な短期目標」を設定する
「勉強するぞ!」と決意したその瞬間は、やる気に満ちあふれていますよね。そんな時は自分の体力や仕事のスケジュールを無視して、「帰宅後に毎晩2時間勉強する」「問題集を毎日5ページ解く」などと目標を立ててしまいがち。
このような高い目標設定は、やる気があっても成果が出ない原因となります。「無理に続けても、やる気や自信を失うことにつながったり、途中であきらめてしまうことになったりするかもし」れないと話すのは、学習・教育アドバイザーの伊藤敏雄氏。(カギカッコ内引用元:All About|勉強ができる人の目標の立て方・学習計画はココが違う!)
実際に、筆者も疲れて勉強どころではなかったり、明日やろうと思ったまま勉強の習慣が途切れてしまったりした経験があります。毎日勉強をしていれば、やる気が出ない日もあるもの。目標は高すぎても低すぎてもいけません。
精神科医の樺沢紫苑氏は、目標設定の立て方のポイントを以下のように述べています。
人間の脳は「ちょい難」、つまり「ちょっとだけ難しい」を好みます。一生懸命頑張ると、ギリギリでなんとかクリアできる難易度です。「ちょい難」の課題に挑戦するときに、脳はドーパミンを最も多く分泌します。
(引用元:Smart FLASH|精神科医・樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」目標達成率10倍アップの5習慣 ※太字は編集部が施した)
つまり、楽すぎず、かつ無理のない目標を立てるのがよいのです。やる気を高める脳内物質によって、効率的な勉強が望めます。
また、前出の伊藤氏によれば、試験合格などの「長期の目標を達成するためには、具体的な目標(=短期目標)を設定する」のも重要だそう。「試験までの日にちを逆算」することで、「1日単位でできる達成可能な目標」を導き出しましょう。(カギカッコ内引用元:All About|勉強ができる人の目標の立て方・学習計画はココが違う!)
筆者には、国際中医師試験合格という長期目標があるため、自身のキャパシティーを考慮しながら、短期目標を立ててみました。
毎日解く問題数は、「1問だと余裕すぎるけれど、5問だと難しい」という理由から3問に。また、問題を解いたり、暗記したりする余裕のない忙しい日専用のTo Doも設定しました。
短期目標を決めると、何をすべきか明確になります。また、毎日目標を達成することで、一歩ずつ着実に進んでいる実感を得ることもできました。短期目標は、自分の限界のやや手前を意識した設定にするのが望ましいでしょう。
2. 「完璧な理解」を目指してしまう ⇒ 「優先順位」をつける
たとえば、資格取得に向けて勉強をする際、「テキストをすべて理解してから問題を解こう」と時間をかけすぎてなかなか問題演習にたどり着かず、勉強が思うように進まなかった経験はありませんか? このように完璧を求めすぎるのも、成果が出ない一因です。
一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏は、以下のように述べます。
まじめな学生は、取り落としがあってはいけないと思って、すべてを同じようにカバーしようとします。
しかし、これでは努力に見合った成果を上げられません。それどころか、成績が上がりません。
(引用元:プレジデントオンライン|「成績が悪い学生は、頭が悪いのではない」まじめで長時間努力する人ほど成績が伸びない決定的理由 ※太字は編筆部が施した)
もちろん、丁寧な理解も大切です。しかし、先ほどの例であれば、資格取得を目指すという本来の目的を忘れ、その分野の知識を完璧にするという別の目的に逸れる結果になりかねません。すべてを同じ熱量で理解しようとすると、不要な箇所にも多くの時間を費やすため、勉強の効率を下げてしまうのです。
勉強ができる学生は「まず重要なことを勉強し、時間が余ったら、残りに手をつけ」ると話す野口氏。(カギカッコ内引用元:同上)これは学生に限らず、社会人の勉強でも同様でしょう。
筆者も、苦手な分野の勉強を最優先にすると決め、頻出事項をノートにまとめました。
すでに頭に入っている分野はサッと復習するなど優先順位をつけて勉強した結果、以下のメリットを得ました。
- 試験で押さえるべきポイントの把握ができた
- 自分の得意・不得意に合わせた効率的な学習ができた
完璧を求めるあまり思ったような成果が出ていない人は、一度自分が勉強する本来の目的を振り返ってみましょう。すべてを完璧に覚える必要はないはずです。点数につながりそうな分野を厚めに勉強すると効率的ですよ。
3. 「インプット」を優先してしまう ⇒「アウトプット」をこまめにする
勉強へのモチベーションが高まると、必死にインプットしようとする人も多いでしょう。しかし、インプットにばかり時間をかけてアウトプットが後回しでは、勉強成果が出ないかもしれません。
明治大学文学部教授の齋藤孝氏は、知識がストックされたままの「ホコリをかぶっているような状態」だと新たな知識を「補充しようとして」難しく、「意欲が損なわれ」るといいます。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|著書700冊の齋藤孝先生は、なぜこんなにたくさんアウトプットできるのか?)
以前、時間をかけてテキストを読み込んだ筆者。日にちを空けて問題を解いてみたところ、まったく回答できなかったのです。いま考えると、インプットに力を入れすぎて、アウトプットを後回しにしてしまったのが原因だと反省しています。
「アウトプットすることで、インプットした情報が脳の記憶に定着しやすくなる」とも述べる齋藤氏。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|アウトプットが苦手な人の3つの特徴)以前の筆者のようにアウトプットが後回しになっているなら、小単元が終わったらひとまず問題集にとりかかるなど、優先的にアウトプットする勉強法に切り替えるのはいかがでしょうか。インプットした知識が自分のものとなり、勉強成果につながっていくはずですよ。
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やる気があっても勉強がうまくいかない3つの原因とその対処法について紹介しました。本記事を参考に、あなたのやる気をしっかり成果へつなげていきませんか?
All About|勉強ができる人の目標の立て方・学習計画はココが違う!
Smart FLASH|精神科医・樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」目標達成率10倍アップの5習慣
プレジデントオンライン|「成績が悪い学生は、頭が悪いのではない」まじめで長時間努力する人ほど成績が伸びない決定的理由
ダイヤモンド・オンライン|著書700冊の齋藤孝先生は、なぜこんなにたくさんアウトプットできるのか?
ダイヤモンド・オンライン|アウトプットが苦手な人の3つの特徴