記憶には3つのプロセスがある――。脳科学的に理にかなった「最強の記憶法」【中野信子『カリスマの言葉』第1回】

新連載『カリスマの言葉』。 教育学者・明治大学文学部教授の齋藤孝氏に続くカリスマは、脳科学者である中野信子氏

脳を知り、脳をコントロールすることで、勉強や仕事、人間関係などのあらゆる悩みを解決できるとしたら……? 科学的エビデンスにもとづいた格言は、明日からの人生をきっと変えてくれるはずです。

*** それぞれの個人差があるとはいえ、勉強をしているとどうしても問題になってくるのが「記憶力」です。「エビングハウスの忘却曲線」に示されているように、人間はそもそも「ものを忘れていく」生き物ですが、たとえそうだとしても、せっかく勉強したことをすぐに忘れてしまうとちょっと哀しい気持ちになりますよね。

しかし、中野信子さんは、長期間にわたってものを忘れにくくする方法があるといいます。中野さんによると、記憶には3つのプロセスがあり、脳が記憶するときの仕組みを知ることで効果的に記憶を定着させることができるのだそう。

記憶力が上がると、勉強の成果はもちろんのこと、人とのコミュニケーションがうまくいくなど人生が大きく変わっていきます。ぜひ試してみてください。

【格言】 「五感」を総動員させて記憶することで、 忘れっぽい自分を変えることができる

記憶には「記銘」「保持」「想起」の3つのプロセスがあります。「記銘」とは覚えること、「保持」とは記憶を貯蔵しておくこと、「想起」とは貯蔵してある記憶を必要なときに取り出すことです。

人間は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚という五感を介して脳に情報を送り、記憶や学習、判断などの処理をしています。長期間しっかり覚えるには、五感をしっかり働かせるのもひとつの手段。働かせる感覚器官が多ければ多いほど、記憶は強化されやすく、長期間にわたって残りやすいとされています。

また、忘れっぽくて困る、記憶力に自信がないという人は、じつは「記銘」や「保持」に問題はなく、「想起」するところがうまくいっていないだけ。授業で受けたこと、会ったことがある人の名前が思い出せない場合は、「想起」のプロセスに弱点があると考えられます。

この場合も、五感をうまく使って覚えることで記憶にタグづけがなされ、うまく想起されやすいかたちで記憶を操ることができるようになります。

【プロフィール】 中野信子(なかの・のぶこ) 1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。脳科学者・医学博士・認知科学者として横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学の知見を生かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週木曜コメンテーター)『英雄たちの選択』(NHK BS プレミアム)『有吉ゼミ』(日本テレビ系)、近著に『サイコパス』(文藝春秋)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館)などがある。

Photo◎佐藤克秋

*** 音読や「書いて覚える」ことの効用はよくいわれることですが、やはり脳科学の観点から見ても理にかなった記憶の定着方法のようです。

忘れっぽいのは覚えられないのではなく、じつは「思い出せない」だけ。必要なときに必要な記憶をいつでも引き出せるように、「五感を軸にしたタグづけ」を意識して勉強してみましょう。

■中野信子さん『カリスマの言葉』一覧はこちら nakano-ver1

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