最初の印象はとても良かったのに、いざ一緒に仕事をしてみると「前に話していたことと全然ちがう!」「期待し過ぎたのかもしれない……」とがっかりしたことはありませんか? 脳科学者の中野信子さんによると、このようなことを平気で行う「サイコパス」と呼ばれる人たちが、世の中にはかなりの割合で存在しているそうです。
そんな人とトラブルに巻き込まれるのを避けるためにも、今回はビジネスパーソンなら知っておいて損はない、「一緒に仕事をするのが危ない人」の簡単な見分け方をご紹介します。
【格言】 見事なプレゼンを披露した人と、 すぐに契約を結ぶのは危険かもしれません
ビジネスで新商品のプレゼンテーションを行う。そんなときに大事なのは、いかに自社商品が優れているかを強調することではなく、相手がなにを求めているか、どんな話題を振ったらよろこぶのかを察知し、それに沿って話を進めることです。そのためには相手を見抜く能力が必要で、いかに優秀なビジネスパーソンといえどもプレゼンはなかなかに難しいものです。
その点、サイコパスは、人が考えていることを見抜きそれに合わせた演技をし、相手を自分の手のひらで転がすことができます。だから、プレゼンはかなり上手なはずです。
一方でサイコパスは、事務的な仕事や協調性を必要とされるチームワークは苦手で、すぐにぼろを出す傾向にあります。
素晴らしいプレゼンを受けて感動し、「契約を」となったとき、サインをする前に、一度その人と簡単な業務をともにしてみるのもひとつの方法でしょう。さもないと、プレゼンだけの中身のない商品をつかまされかねません。
【プロフィール】 中野信子(なかの・のぶこ) 1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。脳科学者・医学博士・認知科学者として横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学の知見を生かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週木曜コメンテーター)『英雄たちの選択』(NHK BS プレミアム)『有吉ゼミ』(日本テレビ系)、近著に『サイコパス』(文藝春秋)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館)などがある。
Photo◎佐藤克秋
*** むかしから、「美辞麗句を並べる人には用心が必要だ」とは言われますが、一見魅力的に見える人ほど、じつは人を転がしてなんとも思わない「サイコパス」の可能性があります。
プレゼンテーションはまさに人を惹きつける場。「わかりやすい話し方だった」「雰囲気に説得力があった」などと安易に信用せず、あまりにその人が魅力的だった場合には、一度その人物を疑ってみるに越したことはありません。