勉強には暗記が欠かせない。
よく「暗記なんていらない、全部理屈で説明できる!」という謳い文句を目にするが、それは言い過ぎだ。確かに「暗記しろ」と教わったものの中には、理屈で説明できるものや、計算で導出できるものもある。
しかし、暗記してしまった方が明らかに早いもの、絶対に暗記する必要のあるものは存在する。計算できるとはいえ、三角比の値は暗記するし、物理の基本公式だって丸暗記。古文単語や英文法は言わずもがなだ。
だから、私たちは暗記から逃げられない。しかし、その暗記を効率化する方法はある。今日は、あなたの暗記ライフを圧倒的にクールでスマートにするツールを提案しよう。
「カラーBATH」で関連情報をまとめ獲り!
カラーBATHというアイデア創出法をご存知だろうか。これは一つの色を意識することで、目に入ってくる情報量を格段に増やす方法だ。
例えば1日の初めに「赤」を意識すると……
赤色を意識していると、赤い色に塗られたものが次々と目に入ってきます。家の中にも結構あるはずです。ペンに本の表紙、靴下にパソコンソフトの箱。外に出るとさらに赤いものだらけ。クルマはもちろんですが、歩いている人たちが身につけている洋服にバッグ、冬ならマフラー。商店街のお店の看板にも赤色って多いです。
(引用元:加藤昌治著(2003),『考具 ―考えるための道具、持っていますか?』, CCCメディアハウス.)
何か網の目を一つ決めてあげることで、そこに引っかかった情報を全部拾うことができるのだ。これを勉強にも生かしてみよう。さすがに「色」は難しいから、何か適当な単語を一つ決めてみよう。
今自分の目の前に生物の教科書があるので、「ハエ」という単語一つを決めて、教科書から情報をまとめ獲りしてみたい。
まず「遺伝情報」の分野でショウジョウバエの遺伝子について記述が見つかる。次に母性遺伝についてビコイドとナノスタンパク質について。さらには唾腺染色体、遺伝子発現の際のパフなど、広範に渡る情報が見つかる。
歴史や地理の教科書でも同じことを試してほしい。例えば「コメ」と決めると、戦国時代の百姓一揆から、近代の米騒動に至るまで、たくさんの史実や人物を拾い上げることができるはずだ。地理なら米の栽培可能な気候、土壌、国、生産量上位国家、輸出量上位国家、さらには流通経路など、多角的視点で知識を集めることができる。
これまでは勉強する順番、学校で習う順番でしか繋げられなかった知識が、「ハエ」「コメ」という一つの軸によって新たに繋がっていくのだ。
マインドマップで関連情報をつなげる。
さて、カラーBATHで収集した情報を、そのままにしておくのはあまりにもったいない。
次にご紹介したいのは、「マインドマップ」という技術。すこし前に話題になったものだから、ご存知の方が多いかもしれない。大きな紙に単語を書いていき、それを線で結んで繋げていくというものだ。
まず真ん中にテーマを書きます。そしてそのテーマから思いついたこと、そのテーマを分解して見つかる要素、サブテーマになる言葉をその周辺に書きます。場所に決まりはありませんから適当に離して書いてください。(中略)書いたら中心のテーマと線で結んでおきます。続いて、サブテーマをさらに分解するような調子で、周りに言葉を加えていきます。
(引用元:同上)
これを、先ほどカラーBATHで収集した単語に応用してみるのだ。同じ単語の関連性で集めているから、確実に繋げられるはず。ハエの発生後、どんな風に遺伝子が発現していくんだっけ? そのときの様式はこうだったよな……。単語と単語を線で結んでいくうちに、より深い理解が得られるだろう。
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いかがだろうか。このようにして関連付け、視覚化を行うことで、暗記の効率はかなり上がるはずだ。
ただ暗記するだけでは、当然つまらない。何か自分なりの工夫をすることで、暗記を楽しく効率の良いものに変えてみてほしい。
参考 加藤昌治著(2003),『考具 ―考えるための道具、持っていますか?』, CCCメディアハウス.